同じ釜の飯 ナショナル炊飯器は人口680万の香港でなぜ800万台売れたか

  • 平凡社
3.32
  • (3)
  • (5)
  • (11)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 59
感想 : 12
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582824445

作品紹介・あらすじ

松下幸之助が絶対的に信頼し、口約束で海外代理店を任されて半世紀、中国商人・蒙民偉の突飛な発想と行動力とは?それを受け止め生かす日本企業の知恵とは?華商と日本企業のパートナーシップ成功譚であり、巨大市場・中国ビジネス成功への必読書。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ふむ

  • 角田光代さんの旅エッセイ「世界中で迷子になって」で知った本。香港でナショナルといえば、なんといっても炊飯器なのだそう。へええ。
    香港にナショナル/パタソニックを普及させた立役者、松下電器の香港代理店・信興グループの蒙民偉と、その要望に応え続けた松下電器のビジネス戦記。

    香港と中国の変遷、白物家電の変遷のなか、突き抜けた発想と華僑商人魂とで市場を切り開いていく様は圧巻。
    現地の人でないと本当の市場の声はわからない、現地を信頼してまかせられるかにつきる、を地でいく物語。香港のエネルギーと文化が感じられて非常におもしろかった。

  • 角田光代さんの旅エッセイで、この本を読んで香港という国の内情をよく知ったと書いてあったため、読んでみた。
    パナソニックと香港の代理店の話。前半はパナソニックの香港代理店を築き上げた蒙さんの武勇伝と歴史。パッションがすごい。香港で炊飯器といえばナショナル、と言わせた人。相手が誰であろうと妥協は許さない、商機を逃さない、人との信頼。パナソニックの歴史に残る人なんだろうな、と。
    残り半分は香港の家電事情や、華僑ネットワークなど。
    正直、香港の歴史や事情をあまり知らなかったので、非常に勉強になったし、内容が面白かった。

    答えとしては、香港を通して、中国、インドネシア、東南アジア、カナダなど、様々な土地に輸出されていったから。香港人のお米の炊き方、お粥の炊き方、デザインを徹底的に追及したから。香港は自由貿易港で、時代の最先端をいっており、香港で売れるものは他でも売れた。

  •  自由貿易港としての香港 小さな窓だが、後背地に中国、そして東南アジアが控えていて、華僑のネットワークがある。東アジア交易網の存在を知った。蒙氏の世界展開 日本側はあまりそれを重視していなかった。対策が後手になった。
    特に、華僑は政府や国家を当てにできないから、人のつながりを大事にする 市場の求めるものを売る 商売の基本が示されている 利益を社会貢献に向ける、かつての日本の商人にもあった徳 明治期の商人は、公会堂や大学に講堂などを寄付する使命感を持っていた。
    それに対して、現在、利益の社内留保をして、労賃をケチり、景気回復に回さない大企業の経営者、法人税も免除させて、納めていないらし? なんだろうね。

  • 角田光代さんのエッセイを読んでいて、こちらの本が紹介されていた
    角田さんが何故に炊飯器ネタのビジネス書?
    そこも気になったし、読書会の本に良いかもと手に入れてみました

    機械製品メーカー勤務の私としては、とても面白い内容でグングン読めたけど
    この手の業界に興味がないと飽きちゃうかもね(苦笑)
    昔、NHKで放送されていた「プロジェクトⅩ」的な香りがする本です
    2005年に初版が出版された本なので、もう9年前のもの
    若干「もうこのやり方じゃ厳しいんじゃん?」って思う部分もあります
    ただ、こういう熱い想いで、今どれだけの人が仕事をしてるんだろう?とも思いました


    付箋が貼ってある部分をご紹介すると・・・

    ・「マーケットを知らずして、その人たちを知らずして、製品はできないということを
      教えてくれたのが蒙さんだと思います」(p52)

    ・明日は何が起こるかわからないという不安。しかし、そこでしりごみせず、逆に不安を
     バネにして、大胆に出る。そして、時代の流れをいち早く読み、幅広く、粘り強く手を打つ。
     それが、蒙のビジネスの原点でもある(p56)

    ・後に、国平は、商売のひけつを聞かれて、「人より先んじること」だと答えている(p66)

    ・「永遠の敵はいないし、永遠の味方もいないんですわ」
     つまり、臨機応変であれ。これは、世界中でビジネスを展開する広東人の信条だという。
     常識や周りの声に流されず、ものさしは自分自身。(p85)

    ・「そんなサラリーマン根性じゃだめだ!」(p113)

    ・「我々の売る一台一台が、お客さまにとっては100パーセントだ」(p155)



    この本の最後に書かれてある一文で、この本が伝えたかったことが全てが詰まってると
    私はホロっとしました

    「オヤジにいつも言われるのは、商品に対して愛情がないとダメってことです」(p264)

  • 面白かった。

    香港人の豪腕代理店オーナーによって松下の製品が香港の市場に浸透していく過程が詳しく描かれています。単純に日本で売れているものを香港に導入するのではなく、香港人の趣向に合わせた仕様変更を松下側に躊躇なく要求し消費者に製品の良さを直に見せることに拘り続けた代理店と、仕様や納品数の無理な要求にどこまでも応えた松下の双方の努力があってこその成功なんだと思います。そしてその成功は香港を窓口に世界に広がっていく。過去には海外市場で安かろう悪かろうと言われた日本製品の、今のステータスを作り上げた立役者なんだと思います。

  • サブタイトルは「ナショナル炊飯器は人口680万の香港でなぜ800万台売れたのか」で、日本で売れたものをそのまま香港に持っていっても売れるわけではなく、香港の消費者の生活や習慣や感覚や、つまりそんなものに基づく「改良」を徹底して要求して実現させた華僑・蒙民偉の話しである。

  • 思ってたのとちょっと違った。
    もっとビジネス書っぽいのかと思ってたら、ナショナルの契約代理店をやってた蒙さんという人の話や、それにかかわった中国の人たちの物語だった。
    エネルギッシュだな、おもしろい人だなとは思ったけど、書き物としてはややまとまりに欠ける印象。
    仕事で海外進出を考えている人は、ちょっと参考になるかも。

  • 松下幸之助の信頼が厚かった中国商人・蒙民偉を中心にしたビジネス書なんだけれど、アジア(主に香港)の近代史としてもおもしろかった。
    あくまで庶民目線で、炊飯器や冷蔵庫がウチに来た!みたいな感じで、それがそんなに昔の話でもないという。
    香港にも、また行きたくなった。いろいろな文化が入り混じっているあの雑然とした雰囲気を思い出した。

  • 今流行の中国進出ハウツー系かと思いきや、熱いメーカーと熱い華僑商人の物語。一気に読めちゃう面白さ。海外進出前に読んだらどうだ。

全12件中 1 - 10件を表示

王向華の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×