新装版 私の絵本ろん: 中・高校生のための絵本入門 (902;902) (平凡社ライブラリー あ 17-2)

著者 :
  • 平凡社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582769029

作品紹介・あらすじ

『スーホの白い馬』などで知られる国際アンデルセン賞受賞の絵本作家が平易な言葉で語る絵本論。自著創作秘話や評論など絵本への愛と創作への熱意があふれる名著、新装版。

感想・レビュー・書評

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  • 絵本ろんというか、赤羽さんと絵本、ご自身の製作風景を振り返ったエッセイでした。

    その飄々としたお人柄を偲ばせるユニークな文章。一気に読んでしまいました。

    国際アンデルセン賞の授賞式でのヨーロッパの旅はすこぶる楽しまれたようだ。生き生きピカピカした赤羽さんに対し、お供の斎藤さんはお疲れのようでした…と、奥さま。きっと好奇心のおもむくまま、飛びまわってらしたんだろうな。

    約四十年前に当時出版された絵本群への評論。今でも子どもたちに愛される現役絵本たちだ。作家さんたちも、ビッグネームなお歴々でござる。

    赤羽さんの1作1作にかける情熱と姿勢。
    背景から小道具、国や時代の調査。
    試行錯誤して、物語と語りにぴったりの描き方やシーン、展開を考えに考え尽くす。

    満州で暮らし、敗戦後日本に画材道具と家族だけで戻る。
    どこまでも広がる乾いた大陸と小さいけれど緑したたる島と。


    赤羽末吉さんの宮沢賢治をみたかった。どの作品を取り上げてらしたのかな。

  • 1983年単行本(偕成社)、2005年平凡社ライブラリー入、生誕110年没後30年の節目にあたって今回新装版にて復刊。
    日本の風土・文化・文学についてのエッセイ、自分の作品の解題、1980年頃に出版された絵本の批評、紀行文、最後には国際アンデルセン賞画家賞受賞にあたっての挨拶。

    五味太郎、長新太、谷川俊太郎などに一目置くまなざし、作品や画風の方向性が全く違いつつも同じ国際アンデルセン賞受賞者(赤羽末吉のほうが先)である安野光雅へのライバル意識などがわりとダダ漏れで興味深い。こうした錚々たる才能が福音館書店の松居直のもとで絵本作家として切磋琢磨(それぞれが個別に才能を伸ばしただけかもしれないが)した結果が今のゆたかな絵本界なのだなぁと改めて思う。そして登場する人々(巻末にリストあり)の多くがすでに亡くなっているのがさびしい。(新装版復刊にあたってここは情報アップデートしてほしかった)
    しかし、この著作と同時期に制作されたと思われる「おへそがえる・ごん」(1986年)が絵本リスト(1990年の没年まであり)に載っていないのはどういうことだろう? (赤羽末吉の新境地というかんじですごく気に入っているのだけど…)

    読みかけのまま1年近く経ったところで、教文館の「赤羽末吉展」をみた(2021.6.24)。代表作「スーホの白い馬」の原画全点を中心に、中国の民話の絵本の原画や取材の様子などをじっくりみることができ、青年期をすごした戦前の満州での経験やその後の思いが、中国各地に取材した絵本として結実したと思うと、一つ一つの作品の奥行きも増すと感じた。

  • 赤羽末吉という絵本作家のいる国に生まれてよかった。

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著者プロフィール

赤羽末吉 1910年東京に生まれた。1959年、日本童画会展で茂田井賞受賞。1965年、『ももたろう』(福音館書店)、『白いりゅう黒いりゅう』(岩波書店)、1968年、『スーホの白い馬』(福音館書店)で、それぞれサンケイ児童出版文化賞。1973年、講談社出版文化賞。1975年、小学館絵画賞と国際アンデルセン賞特別賞、またブルックリン美術館絵本賞。1980年、それまでの絵本の業績に対して、国際アンデルセン賞画家賞を受賞。1982年には、東ドイツのライプチッヒ国際図書デザイン展で教育大臣賞および金メダル賞受賞。1983年にはイギリスのダイヤモンド・パーソナリティ賞を受賞した。ほかに『つるにょうぼう』『したきりすずめ』(福音館書店)、『源平絵巻物語・全十巻』『絵本よもやま話』(偕成社)などがある。1990年没。

「2020年 『おへそがえる・ごんセット(3冊)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

赤羽末吉の作品

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