少女への手紙 (平凡社ライブラリー)

  • 平凡社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582768220

感想・レビュー・書評

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  • 19世紀イギリス、
    数学者にして聖職者、童話作家でもあった
    手紙魔ドジソンおじさんが
    いたいけな乙女たちに書き送った、
    愛と優しさとユーモアと、
    ちょっぴりビターな毒を含んだラヴレター集。
    但し、あのアリス・リデル宛ての手紙は無し。
    至近距離で暮らし、頻繁に顔を合わせていたのだから
    当然と言えば当然――と、あとがきにあり。
    なるほど。

    少女は必ず、いつか少女でなくなるが、
    少しずつスライドさせるように相手を変えて
    幾人もと交遊を持てば、長いスパンで眺めたとき、
    理想的な少女の結晶と言うべきものを
    叙述の空間に留め置くことが出来るに違いない、と
    内気な作家は考えたのではあるまいか……
    そんな訳者の考察に深く頷いた。
    物語を書くというのは、そのための作業に他ならない。

  • 几帳面すぎるキャロルがナンバリングした十万近い手紙の中から、少女に宛てた手紙をさらに厳選した一冊です。とにかくユーモアに富んだその手紙の内容に、思わずくすりと笑みがこぼれます。小難しいことは考えずに、「少女を楽しませるためにだけに」書かれた数多の手紙を、私たちもまた楽しむのが吉でしょう。
    一番いいなぁと思ったのはビアトリス・アールへの手紙。やさしかったビアトリスにこわくなってしまったキャロルの筆跡が、ふるふるとふるえている…! なんてかわいらしいのでしょう。あと、晩年の「ひどく老いさらばえた老人」のキャロルが書いた手紙の謙虚さ、温かさにも胸を衝くものがありました。

    『ためになるのは「愛」です。世界中がそれでいっぱいだったら、どんなにいいでしょう。』

  • この本、めっちゃ楽しい。面白いのではなく、楽しい。
    タイトル通りルイス・キャロルが少女に宛てた書簡集なんだけど、その手紙がナンセンスで可笑しくて、イラスト入りだったり、鏡文字だったりとムフフ可愛いとしか言いようがないし、こんな手紙貰っちゃったら嬉しくて鞄に入れて持ち歩いて、時々こっそり読んでニヤニヤしてたい。
    この本は文通相手の美少女達の写真も掲載されてて、これがヴィクトリアンで何ともラブリー!こんな本を古本屋にお金を払えば買えるなんて素晴らしい。つうかお手紙読めて写真も見れるなんてもはや実質無料。

  • 生涯に書いた手紙の総数は十万弱…
    すごい!すごすぎる!!と思ったけど今の時代のラインや
    メール好きな人ならこれぐらい書くかな?
    キャロルのすごいところはこれらの手紙の詳細をすべて記録していたところ

    手紙の内容は作品同様ユーモアにあふれている上に
    最後の本名の前に書かれた一言がとてもしゃれている
    「きみゆえに苦しむ」とか「遠くから君を愛する友」とか
    「まちがいなく君を愛する」とか、こんなことばが書かれた手紙
    人生に一度くらい欲しかったかも…と思ったけど少女時代に
    年齢が離れた男性からもらうのは無理。きっと封を切らずにお返しするでしょう。

  • 手紙まで公開されてしまって可愛そうに。
    しかし、高橋先生のあとがき。
    「むしろ、よりしばしば、彼は少女をからかう。困らせる。かつぐ。叱る。なぶる。ときには、おどしさえする。そこには、まぎれもなく、孤独な地獄から、愛する対象を得てよみがえった魂の声の全音域がある」
    これに尽きる。
    ただの性欲おじさんでもなく、ただの聖人君子でもなく、ただのユモリストでもなく、ただの人嫌いでもない、ぎりぎりの存在だったからこそ、この人は「いい」んである。

  • 何とも不思議な、そしてチャーミングな本だ。ルイス・キャロルという人は今のぼくたちの目からすれば異常なほどの筆まめさや几帳面さを持ち合わせ、そして言語感覚や論理的思考能力がおそらくは鋭かったり高すぎたりしたせいで巷間でささやかれる「発達障害」の気質を備えた異常者/マニアとして見えてしまう。おそらくはそこにペドフィリアの性格を見つけることもできるだろう。だが、そうした見方はぼくたち大人の勝手な見方であり、ルイス・キャロルの稚気やユーモアを圧し殺すものでしかない。この本の手紙を読み込む楽しさを奪うことはできない

  • なんて慈愛とユーモアに溢れた人物だろう!私も少女の頃にキャロル氏に出会いたかった。どの手紙にもキャロルの創意工夫が窺え、微笑ましかった。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99730424

  • キャロルが書いた手紙がひたすら載ってるけど、手紙というよりもう物語では!?という内容ばかりだった。
    こんな手紙貰えたら、嬉しいだろうなぁ。
    読んでて楽しいから、届くのが楽しみになるよね。
    手紙でここまで毎回センスの効いた内容を書けるの凄い。
    さすがキャロルと脱帽した。

  • (後で書きます)

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著者プロフィール

ルイス・キャロル (Lewis Carroll, 1832-98)
イギリスの作家。本名Charles Lutwidge Dodgson(チャールズ・ラトウィッジ・ドッドソン)。チェシャー州の牧師の家に生まれ、オックスフォード大学クライスト チャーチ学寮に学び、卒業後、同大学の数学講師となる。『不思議の国のアリス』(1865)、『鏡の国のアリス』(1872)の作者として最もよく知られているが、本来の数学者・論理学者としての、また最初期のアマチュア写真家としての功績も高く評価されている。

「2021年 『鏡の国のアリス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ルイス・キャロルの作品

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