スロー・イズ・ビューティフル (平凡社ライブラリー)

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 372
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582765014

作品紹介・あらすじ

「スロー」をキーワードに、スピードに象徴され、環境を破壊しつづける現代社会に抗するライフ・スタイルを求めて、さまざまな場所で模索し、考える人々の言葉に耳を澄ます。人と自然とのつながり、人と人との結びつき、身体、日常生活、文化-その根拠にある"遅さ"という大切なものを再発見するユニークな試み。

感想・レビュー・書評

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  • タイトル表紙に惚れた。真新しいことそんななくパラ読み

  • 久しぶりに出会った名著。
    畑を少しだけかじってみたり、稲刈りを手伝うときに感じること。それは思い通りにいかないことの気持ちよさというか、受け入れることの納得感。人間はなんでも思い通りにいくように、なんとかさせるように空間も時間も支配しようとしているが、その流れに支配されると、実はもう心も身体もついていかないところまできているのではないか。
    仕事をさぼりたいとか、家庭の時間がないとかという表面的なことではなく、人は本当はどういう時間の流れの中で生きていくべきなのかということについて、最近はとても興味がある。この本は自分で手に入れなきゃな。ページが折れないもの。

  • ・世界危機を救う方法は、スローイングダウン、減速すること

    ・生態系は、奇蹟ともいうべき自然界の「デザイン」。
     そこから謙虚に学びつつ、模倣するという態度こそが良い技術の基本。

    ・「360度何やってもいい」という自由は、発明の原動力である集中力を
     損ねる。

    ・現代文明、科学、技術、経済とビジネスの各分野に共通して欠如して
     いるのが、
     1)循環の思想 
     2)人の痛みがわかる感性 
     3)人間は完璧でないという認識

    ・ビジネスとは、ビジーネス、つまり忙しさのこと。
     ビジネスとは、時間との競争。

    ・エネルギーを使って、時間を速めて金を得る。エネルギーから時間へ、
     時間から金へと変換を行うのがビジネス。

    ・人生とは、雑事の集積。「動くこと」だけでなく「留まること」も大事

    ・勤勉思想、一生懸命に働くことが道徳的であると感じさせることで、
     搾取の構造をおおいかくす。

    ・功利主義と効率主義の文明の本質。それが何かのためになるのでなければ
     それは意味がないとする社会。

    ・「目的と手段」の関係から外れるものは「無駄」「非効率」と見なされる
     休むことや遊ぶことは、それ自体では時間の無駄。

    ・怠惰の思想こそが、昔から民衆のうちで育まれ伝えられてきたもの。
     
    ・社会とは、そもそも同質の人々が同じ目標に向かって、競争的に生きる
     場所ではない。

  • ふむ

  • 現代社会(できる限り早く、簡単に、多く、生産・流通・消費する社会)とは対極にある「スロー」な社会や生き方を提示し肯定する本。

    主題が面白いのに加えて、心に響く言葉も見つけられた。

    ・商いは、お客さんと、一緒に育てる。
    ・好きと、社会貢献と、利益が重なることをする。
    ・抗議や反対運動よりも、より良いものを作りみんなに示してあげる方が有効。
    ・「自分の行動が他人への迷惑だと考えて、それらを避けようとすれば、自分には家の中で寝たきりの一生しかない。人生に多少の迷惑のかけ合いはつきもの。骨がいつどこで壊れるかもしれないが、自分は外へとび出して、人に声をかけながら生きていく方を選んだ」p.204

  • 2020年 9冊目
    『スローイズビューティフル』
    効率とか便利とかじゃなくて、
    無駄とか留まることを大事にしたい。たわいもない会話とか誰かとご飯を食べるとか畑で作物を育てるとか家事とか。そういう遅さにこそ大切なものがあるし、地球との共生にも繋がる気がする。

    合間にある詩がとても素敵。

  • 生態系を危機から救う人とは、まずその生態系を楽しむ人だろう。問題を解決できる人とは、答えを生きている人であるはずだ。森を楽しむのには時間がかかる。生きることは時間がかかる。食べて、排泄して、寝て、菜園の世話をして、散歩して、子どもたちと遊んで、セックスをして、眠って、友人と話をして、本を読んで、音楽を楽しんで、掃除をして、仕事をして、後かたづけをして、入浴をして。スロー・フード、スロー・ラブ、スロー・ライフ。近道をしなくてよかった、と思えるような人生を送りたい。(p33)

  • 思索

  • "文化人類学者が書いたスロー文化、スローなライフスタイル提案書。カルチャーショックを受けた本。
    私たちは、あまりにも急ぎすぎているのではないか?ファースト・フードのアンチテーゼとしてスロー・フードという呼び名があり、その考え方はしっていた。さらには、時間の概念、生き方そのものを普通だと私が思っている世界と全く別の視点から見つめている。住むこと、日常、身体、こうしたものをひっくるめた日常生活を見つめ直したくなった。スローな視点を忘れずに持ち続けることを今年の目標にしたい。"

  • 以前農業は行き方そのものだった。それが解決すべき問題となった。
    科学技術で浮いた時間は別のことに使われ楽にはなっていない。
    頑張ることが賞賛されるのは良いが、怠けることも認められる世の中だと良いかも。
    アメリカの車社会は車会社が電車会社を買ったから。
    人間は本能が壊れている。
    スローライフの中でも自分の成長のために猛烈に働くことはありなのか。スローライフとは、自らの向上を目指さないことなのか。
    相手の親切を断る、なぜなら新たな人の親切を受けるチャンスを逃したくないから。

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著者プロフィール

福岡女子大学国際文理学部教授

「2024年 『捕鯨史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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