フランクル『夜と霧』への旅

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582746129

作品紹介・あらすじ

一心理学者の強制収容所体験の記録『夜と霧』は、日本でどのように読み継がれてきたのか。フランクルの数々の著作が大震災後さらに広く読まれ、私たちの心に強く語りかけてくるのは何故か。「それでも人生にイエスと言う」-生きる意味を訴える思想の深奥を追う渾身のノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • ドイツ強制収容所に送られ、両親、兄、妻、すべてを失って、地獄から故郷に戻った神経科医フランクルが綴った『一心理学者の強制収容所体験』(邦訳『夜と霧』)は、ナチス告発、復讐、報復のあらゆる衝動を乗り越え、極限の悪を克服した果てに〝それでも人生にイエスと言える〟心境、苦悩を受け入れ、引き受けて生きていく人間精神の高揚を謳いあげました。本書は朝日新聞編集委員である著者が、生きることの意味を語り続けた思想家フランクルの『夜と霧』の精神世界を探求した、こころ揺さぶり震えさせてやまないフィクションの秀作です。

  • 日刊ゲンダイ、2012年12月13日版、BOOKレビュー

    烏兎の庭 第四部 書評 6.1.13
    http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto04/bunsho/yorukiri.html

  • 図書館で「夜と霧」に並んでいたので、解説本として借りた。「夜と霧」という本、フランクル本人についてわかりやすく教えてくれる。フランクルに影響を受けたたくさんの人々のエピソードを取り上げることで、読者がフランクルの思想をより身近なことに置き換えて考えることができると思う。私自身、この本に出てくる著名人の活動や著書に新たに興味を持てたし、生きる意味について、新鮮な思いを持てたことが大きな収穫だった。ここから枝葉をゆっくり伸ばしたい。心に灯った小さな火を消さない生き方をしたい。

  • 世田谷一家殺害事件、池田小学校事件、著名な事件の遺族を支える一つとして、「夜と霧」はあった。夜と霧と、ミシュカの森と、べてるの家と。

    ・一本の松明が消えたとしても、それが輝いたということには意味がある。―V・E・フランクル 『人間とは何か』

    ・「霜山先生は、帰りも『さようなら』と言わずに『ごきげんよう』とおっしゃった。特攻隊員がそうあいさつして飛び立っていったって」

    ・「人間は、宗教で自殺を禁じなければならないほど死に魅せられる、弱い存在である」―霜山徳爾

    ・「『すなわち最もよき人びとは帰ってはこなかった』。『夜と霧』の冒頭へフランクルが差し挟んだこの言葉を、かつて疼くような思いで読んだ。あるいは、こういうこともできるであろう。『最もよき私自身も帰ってはこなかった』と」―石原吉郎(シベリア抑留帰還後詩人になった)

    ・ヴィクトールがいつも言っていた言葉を贈ります。人間は誰しも心のなかにアウシュヴィッツを持っている。でも、あなたが人生に絶望しても、人生はあなたに期待する事をやめない。

    ・本を開く、人に会う、手紙を書く、心が動いたら何か行動していれば、熟した柿が自然に落ちるようにいつか時がくる。

    ・「体罰を受けてサバイバルな日々を過ごした」中学時代、向谷地は、自分の苦しみが、ベトナム戦争や飢餓など、不条理な暴力を受けている人の苦しみや痛みにつながっているという感覚を持つことで生きられた、という。
    「だから、悩み事、というプライベートな包みでくるんでしまうのは嫌だったんです。どうせなら、苦悩していたい」

    ・「人格の尊厳は、利用価値と混同されてはなりません」と『苦悩する人間』のなかでフランクルは言った。人格がもっとも客体化したのは強制収容所だった、と。医学実験の対象にされ、害虫のように撲滅対象とされ、奴隷の利用価値しか見られず、それも労働に役立つあいだだけのことだった、と。
    私たちの社会も、尊厳と利用価値をごっちゃにしてきたのではなかろうか。いや、社会とは誰のことか…。人間の尊厳と利用価値を混同しないように、私は心にとめていこう。

  • 夜と霧』の入門書、道案内。朝日新聞女性記者の執筆。人生の意味、人生に期待するのではなく、人生が私たちに何を期待するのかを問いている。
     平易な文章ではあるが難解で何度も読み返さなくてはならない覚悟が必要であることを示唆している。

  • この本から読み始めた。さて次は夜と霧を読もうと思った。

  • 与えられた事態にどんな態度をとるかという人間の最後の自由を奪うことはできない。(29ページ)

    あなたが人生に絶望しても、人生はあなたに期待することをやめない。(68ページ)

    変えられない運命に対して、どのような態度をとるか、その事実をいかに引き受けるのかという心構えと態度によって、人はなお意味を見出すことができるのだ。(71ページ)

    人は生まれた瞬間の高みから、死に向かって毎日降りていく。人は死ぬのだというわきまえを持っていると、思いやりが生まれる。(83ページ)

    『夜と霧』は、昨今求められる「ぱっと見てわかる」ものの対極にある。『夜と霧』にせよ、フランクルにせよ、私にはいまでも「わかった」とは言えないし、簡単に「わかり」たくない気持ちがある。(215ページ)

    あたかも今が二度目の人生であるかのように、生きなさい。(241ページ)

    死においてただ数があるとき、それは絶望そのものである。人は死において、ひとりひとりその名を呼ばなければならないものなのだ。(243ページ)

  • どの集団に属していても品性のある人間の側でいたい。フランクルの読んだことのない本にも興味がもてた。

  • 哲学

  • ★『夜と霧』を理解するための副読本として

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