ルヴァンとパンとぼく

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 79
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (164ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582632255

作品紹介・あらすじ

パン屋を続けているのは「矛盾がないから」――今の働き方に悩む人、食を仕事にしたい人必読! 東京・富ヶ谷と長野・上田に店を構える自然酵母パンの草分け「ルヴァン」の哲学。

日本における国産小麦と自然酵母パンの草分け「ルヴァン」。オーナーの甲田幹夫さんは、パン屋を続けているのは「矛盾がないから」と言う。安全な素材を使い、日常に欠かせない「食」をつくり、人に喜んでもらえ、生計を立てる。パンづくりを通して見えてくる、食べること、働くこと、人と自然との付き合い方とは? 「好きなこと」と「働くこと」のバランスに悩む人、「食」を仕事にしたい人、そしてパンを当たり前のように食べている人に読んでもらいたい一冊。超人気餃子店「按田餃子」店主・按田優子さんとの対談付き。

【著者・甲田幹夫より】
どうして長続きしているんですか? とよく訊かれるが、本当のところは僕にもよくわからない。お客さんとスタッフに恵まれたんですよ、と答えても、それはどうしてですか? とまた訊かれてしまう。僕なりに考えてはみるのだが、大正解は見つからない。ただ、矛盾がなかったから、ということだけは言えると思うようになった。
僕は最初からパン屋を目指した職人ではない。最初に就いた職は小学校の教師だ。パンの仕事は30歳をゆうに過ぎてから、友人に誘われて軽い気持ちで関わったのが最初だった。
やり始めて、これはひょっとしたら続くかもと思った。日々ご機嫌のちがう酵母の面白さは飽きない。なにより生きるために不可欠な「食べ物」を仕事にするというのが、気に入った。
 この本では、僕と僕の店のこれまでの物語を綴ってある。パン屋のはなしと思ってもらってもいいし、僕個人の記録でもある。飽きっぽい僕が35年間パン屋を続けるなかで思ったこと、感じたことから浮かび上がるものがもしあれば、迷っている若い人の道しるべくらいにはなるだろうか。

【目次】
第1章 パンとか、小麦とか
僕のパン遍歴――パン屋になる前のこと
酵母との攻防……
現代の麦、古代の麦
国産のライ麦をもとめて
よもぎの季節
玄米とパン
コラム)ルヴァンのパン生地

第2章 仕事とか店とか
大学、バイト生活、そしてパン屋
卸のパン屋 ルヴァン調布店
35歳、甲田幹夫、社長になる。
富ヶ谷開店ものがたり
ル・シァレ開店ものがたり
野外フジロックフェスティバルでパンを売る
スタッフのおかげでルヴァンあり
ルヴァンの給料袋
僕の定番、店のレギュラー
カンパーニュができるまで
僕に名刺はいらない
コラム) ルヴァンのパンの材料

第3章 僕のこと
母のこと
薪の季節
庭の梅
3月11日
100歳のパン
すべての山に登れ
対談)甲田幹夫×按田優子

感想・レビュー・書評

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  • 好きなことをぶれずに追い求める強さがすごい。パンへの混じり気のない愛。

  • ただわからないなりに続けてきた僕がひとつ言えるとしたら、「ルヴァンとパンには矛盾がない」ということだ。
    .
    工場製品とちがい、うちのパンは季節や天候で味が違ってよいと思っているし、日持ちもするから、少々失敗しても売れ残っても、割引したり試食に出すなど工夫して、とにかく捨てないようにしてきた。
    .
    僕自身が毎日食べたい、本当にうまいと思うパンをつくり、お客さんに買ってもらうことを生業にする。そこに矛盾はなかった。
    .
    僕にとってパンは目的ではなく、命をつなぐ食べ物であると同時に、人や自然、社会や世界の問題につながる手段だった。
    .
    僕は矛盾のない仕事がしたく、矛盾のないパンがつくりたかった。日本人が食べるなら、当然ながら日本の小麦がいい。
    .
    同じ仕事を続けるのは大変だが、悩みや問題を解決しながら乗り越えた経験は他の仕事にも必ず役にたつ。
    .
    自分が会社員だった頃は、お金は時間を提供する代わりにもらうものという考えもあったが、今はやはり仕事はお金に換算できないと思う。世の中の本当に大切なもののほとんどは、お金で買えないだろう。
    .
    自分の足で歩き、目で見、肌で感じる。それを「経験」という。山に限らず、すべての小道に、すべての角に経験は待っている。青春時代にワクワクした見知らぬものとの出会いと同じように、今でも僕は心が躍る。

  • ルヴァンのパン美味しいよね

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著者プロフィール

国産小麦自然発酵種パン店「ルヴァン」オーナー

「2019年 『ルヴァンとパンとぼく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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