- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582527339
作品紹介・あらすじ
日本の空に甦れ、トキ、コウノトリ、アホウドリ…。明治末年、わずかな人数で発足した日本鳥学会。分類学から生態学まで、わが国の鳥学をリードしてきた人々の軌跡を辿り、これからの鳥学の役割、人間と鳥の共存を問う。
感想・レビュー・書評
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日本の鳥学について書かれた貴重な本。どんな人達がどのように鳥や鳥学と関わってきたのか、詳細に書いてある。内容は濃いが文章も読みやすく、背景を知らない人でもわかるように書かれており、何より人々の鳥への愛がよく伝わってくるところが好き。
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日本鳥学会設立100年を記念して書かれた書籍。鳥学会100年の歩みを日本人と鳥にまつわるエピソードを中心に書かれている。
前半は鳥学会黎明期を支えた人々の話。はく製集めやフィールドワークなどは非常にお金のかかるもので、それを貴族・皇族関係の研究者が支えていたという事実は面白い。中盤は托卵や渡りなど研究者と鳥の行動解明にまつわる話。現在のような進んだ技術のない時代に、研究者の地道な活動でさまざまな事実が明らかになってゆく過程が書かれていて興味深い。そして後半は絶滅しつつある鳥とその保護活動について。都会にはツバメが巣を作るための土がないという事実が悲しい。リョコウバトやアホウドリの受難は人の欲深さがどれだけ罪深いかということを思い知った。
私自身2羽の鳥と共に生活して、鳥の賢さや可愛さに魅了されているので人間の身勝手な行動や欲でさまざまな鳥が絶滅に追い込まれてゆく事実はとても悲しい。多くの子供が動物に触れる原体験なく大人になってゆくような社会ではますます動物たちに不幸な社会になってしまうのではないかと思う。
この本は学会の記念本なので一見堅苦しそうに見えるが、中身はとてもわかりやすく多くの事例をもとにかかれた読みやすい本。多くの人に読んでもらい、鳥を始めとする動物が暮らしやすい社会は人も暮らしやすいと思うような人が増えてくれることを願うばかり。 -
前半は鳥に魅せられ、財を投げ打って日本の鳥学に貢献した人物のエピソードを中心に、後半は絶滅の危機にある種々の鳥類について、その保護と課題を中心に叙述。
普段あまり鳥類に興味を持っていなくても楽しめる一冊。序盤の鳥貴族のエピソード(列伝?)は読み物としても面白く、後半部の鳥を巡る危機については環境問題を考えるきっかけにはもってこいか。
後半部については以前、NHKの「ダーウィンが来た!」で見たことのある内容もあったため流し読み。
個人的に前半部については、京極夏彦作『陰摩羅鬼の瑕』を思い出してにやにやがとまらなかった。