中国メディアの現場は何を伝えようとしているか: 女性キャスターの苦悩と挑戦
- 平凡社 (2014年4月26日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582482201
作品紹介・あらすじ
もう官製報道などと侮れない! 圧倒的な支持を集めるテレビ報道番組「看見」メインキャスターが見た中国の〈今〉。2013年中国で最も読まれた超話題作、待望の日本語版。
感想・レビュー・書評
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中国で2013年に発刊されたベストセラー。中国中央テレビの看板キャスターである柴静が、SARS問題、四川大地震、大気汚染、ドメスティック・バイオレンスなどの現代中国の社会問題を取り上げたドキュメンタリー・シリーズ番組『看見』を作成する過程での、苦悩と挑戦を書き綴った記録。
中国人の友人がいることもあり、当局による報道・言論統制の実態を知りたいと思って手に取った。
中国メディアの中にも真実を伝えようとするリベラルなスタッフが少なくないことは予想していたものの、実際に放映された番組においても(少なくとも、このドキュメンタリー・シリーズにおいては)、想像したほどの規制は受けておらず、事実に近い報道がなされているように感じた。
また、著者の物事に対する感じ方・考え方も、真実を追求し、伝えようとする並々ならぬ覚悟も、共感できるものだった。
しかし、本書が出版された後でも、SNSのような通信手段に関して従来以上に制限が強まるなど、言論規制は一方的に緩和されている訳では無い。中国当局は今後どちらに向かうつもりなのだろうか。
(2014年7月了) -
50 頁:同僚の範(ファン)が持ち込んできた。
台湾の国語辞典で,「範」という字を引いても,「姓」という説明はない。
http://dict.revised.moe.edu.tw/index.html
この訳者たちは,近現代文学しか読まないから,范仲淹や范曄を知らないのかもしれない。
歴史の授業は取らなかったのかな?
それとも,簡体字を訳す場合は一律画数が多いのがいいと思っているのか?
「皇后」を「皇後」に変換するのは,やめてほしい。 -
これが生活なのだ。スローガンを叫ぶだけで生きていくことはできない。
家に帰ると、私を待ってるのは、何枚もの請求書と空っぽの冷蔵庫だ。スーパーに買い物に行くと、バランス感覚を失う。女の子たちがジュースを飲みながら化粧品や映画の話をしている。彼女たちの輝く笑顔と染めた頭髪を見て、言葉を失い、視線を下ろして自分の靴を見ると、血の跡がある。
私も映画を見に行き、友達を訪ねることはできる。しかし数日後、自分が飛行機の時刻表を見て、報道の場所と事件を探していることに気づく。
そこから身を離し、何の影響も変化も受けないでいられると思っていた。だが実際には、離れることはできなかった。見て見ぬふりはどうしてもできない。たとえ声を聞かなくても、苦痛は内心の深い所に入り込む。
というアンダーソン・クーパーというアメリカのCNNの記者の言葉が印象的。
タイトルからの期待と、コンテンツはかなりずれるので、そこはどうかと思うが、それを置いたとしてもとても興味深く読めて良書だと思った。 -
699.222||Sa
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中国のメディアというと、表現が制限され、伝えられることが統制されるようなイメージを持っていたが、なんということはない日本とたいして変わらない感じだ。現場の真実を伝えようとする、女性キャスターが様々な現場での抵抗に対して、それを乗り越えながら本当のことを伝えようとするその姿勢が、様々な出来事、事件を通じて紹介されている。
中国の一面を知るための良い資料である。