- Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582286083
感想・レビュー・書評
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傑作。四の五の云わずに早いとこ復刊してください
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絵画にまつわるエッセイ集。佐藤さんならではの毒舌でバッサバッサと啖呵を切る。口調が痛快で冒頭からおかしくって笑ってしまった。
今は言ってはいけないみたいなこともこの本が書かれた1995年は言えた。
絵画についての本は沢山あるけど、これは切り口や内容が他とはまるで違う。
多くの点で共感したし、とても面白かった。
取り上げている作品の図版がカラーで収められているので分かりやすい。
取り上げている作品は以下
1)アーニョロ・ブロンツィーノ「時と愛の寓意」
2)ジャック=ルイ・ダヴィッド「ナポレオンの戴冠」
3)ジャンバティスタ・ティエポロ「アントニウスとクレオパトラの出会い」
4)ロレンツォ・ロット「書斎の男」
5)パルミジャニーノ「自画像」
6)ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル「トルコ風呂」
7)ルーカス・クラナッハ「ヴィーナスとキューピッド」
8)カナレット「サン・マルコ船着場」
9)モンス・デジデリオ「地獄」
10)J.サンチェス・コタン「マルメロ、キャベツ、メロン、胡瓜」
11)ヨハネス・フェルメール「天文学者」
12)ヴィットーレ・カルパッチォ「聖ウルスラの殉教」
13)ファン・メーヘレン「楽器を弾く女」
14)ギュスターヴ・モロー「スカイア門のヘレネー」
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久々にこの方のエッセイ(?)を読んだが、やっぱ小気味良くて気持ちいい文だわ〜。
「喜びのない知識くらいつまらないものはない」「結局のところ、思想なんぞ、出来のいい絵の前では一文の値打ちも持たない」「女体籠盛りが食欲をそそるのは精々一桁〜省略〜ハレムと
いうよりはトドの営巣地」 -
ただ単に目を開いて見るだけで実に幸せ。言葉は何の役にも立たない。本当にそう。だから美術館に自然と足が向いてしまう。至福。見たい絵が増えた。楽しい。
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絵画をテーマにしたエッセイ集。
佐藤亜紀のエッセイは時々無性に読みたくなるので、この本がぽろっと見つかったときは嬉しかった。品切れになって長いもんなぁ……。嬉しいといえば、取り上げられている画家の中にアングルが含まれていたこと。ベタに『グランド・オダリスク』が一番好きなのだが、本作では『トルコ風呂』を取り上げている。 -
ヨーロッパの名画をめぐるエッセー。読む前は、佐藤亜紀にも名画を解説するしおらしい時期があったのかと錯覚していたが、蓋を開ければいつもの佐藤亜紀節、対象と関係ありそうななさそうなエピソードから始めてどんどんずれてゆき、忘れた頃に400字詰2枚でケリをつける。口絵のロレンツォ・ロットの「書斎の男」のいい男っぷりに度肝を抜かれ、「これで1作書ける!」とか思ったが、すでに実践した人がいるらしく、残念。
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絵画を情報として知識を語る本は多いが、絵画を眺める快楽を語る本は少ない。<br>
眼の快楽に浸れる14の絵画を中心に時に脱線しながらも、絵画を巡る旅や、作家の自意識、モチーフ(『クラナッハの描く女って絶対ヤリマンだよな』)について大いに語っている。
美術館で作品を人々と分かちあう事に疑問を呈し、本当に愛する名画なら美術館から掠奪して囲い込みたいという作者の欲望を大いに賛同したい。