「 1対21 」 のサッカー原論 「 個人力 」 を引き出す発想と技術

著者 :
  • 二見書房
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784576100920

感想・レビュー・書評

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  • パーフェクトスキルというそうですが、トラップなどの基礎的な技術が高いレベルで正確にこなせることが、戦術を行う上の前提となるようです。ボールをとめられないと作戦どころではないということですね。風間さんはオーバーヘッドができないので、選択肢にないというところが面白かったです。そういう目で代表の試合を見ていて、確率の低い人が混ざっていることに気づくと、なぜボールを支配しているのに点が入らないのかがわかります。

  • ・選手育成の目的
    指導者がいった練習メニューをうまくやれる選手ではなく、サッカーが好きで、自分から練習したくなり、うまくなると同時に、人間力が高まる。

    ・示すのはゴールや選択肢。
    大人が手段について決めると、子どもは自分で考えなくなる。サッカーの練習に通うのに「車で行かなきゃいけないけど、送迎ができないから諦めて」ではなく、「車ではサッカーに行けない」とだけ伝える。そんなに気持ちがなければ辞めるだろうし、本当に行きたいなら電車でいくのか誰かに迎えに来てもらうのかなど考える。私生活から、自分で考えて決めさせる。
    「どうしてパスするんだ?」とは言わない。「ボールを取られるな!」という。パスしたのが間違いなのではない。取られたのがだめなんだから。

    ・5mのパスをミスしたら怒る。
    「なぜだ?できないのではなくてやっていないだけ。やらされるな。自分で考えてやれ!」

    ・ポイントを理解してボールを触っていれば、触れば触るほどうまくなる。

    ・どこで蹴るのがベストは、個人差がある。風間さんの場合インサイドはかかとで蹴る。硬いから一番強いパスが出せる。止めたらすぐ蹴れる位置に止める。

    ・本物の選手は、インステップもインサイドもアウトサイドも、置く場所はすべて同じ。

    ・スペースへのパスと足元へのパスはどちらがよいか?
    速さ:足元へのパスのほうが速い。スペースへのパスは、味方の走るスピードに合わせてスピードを調整する必要がある。足元へのパスは、全力で蹴れる。
    相手との兼ね合い:スペースへのパスは相手の足の速度との勝負になる。足元へのパスは、相手を外していれば、絶対に通る。
    ゴールへの直結性:場所次第。

    ・相手より多く点を取って勝つということがサッカーの目的。そのための個人戦術は、「止める」「蹴る」「運ぶ」「外す」

    ・ヨーロッパの選手は、「自分が相手より、どの点で優れていて、どの点で劣っているか」を理解するのが速く、その理解の上でプレーするから試合に強い。

    ・ヨーロッパの指導者は、「個」を見る力がある。選手の特徴によって指導を変えられる。

    ・よい選手はボールを大切にする。奪われたらすぐに奪い返す。

    ・子どもには「お手本」を見せる。それができると、刺激を受けて勝手にできるようになる。

  • 技術の基礎的なテクニックを示し、試合中どの様な事を考えるかと言った事を示している

  • 小難しい戦略や監督論が書かれているわけではなく、サッカーの基本動作からサッカーのあるべき姿、それに作者のサッカーに対する熱い気持ちが込められた本です。プロとして活躍した後指導者の立場になった作者が思ってきたこと・感じてきたことがストレートに書かれていて、心に響くものがありました。
    「自由に」プレイすることの大切さ・おもしろさは、サッカーをする人・見る人全員に共有されるべき事柄ですね。
    サッカーを指導する立場の話はほかのサッカー本にはあまりない内容なので新鮮でした。

  • 風間氏のサッカー原論の本。表層的な戦術論でなく、深層的な個人技をまとめていて、ボールを蹴る者には必読な本だと思うし、ボールを蹴る人の気持ちを知りたい人にもお勧めできると思う。
    サッカー経験者の自分としては、ボールを蹴っていく上で、経験的に知っていたことをうまくまとめていたり、こんな考え方あったんだって驚きがあって、読んでいて楽しかった。

    ■内容で気になった所

    序章 技術は決して裏切らない
    ・真剣に考えて、ボールに触って身につけた技術は裏切らない。

    第1章 「個人技術」で摑む勝利への布石
    ・個人技術は、目標を達成するための方法と、それを行うための技術。
    ・考えることを放棄して、リスクを掛けない。目標達成に最も近い選択肢を選ぶ。
    ・監督からの指示は最低限の仕事。それに加え、自分の持ち味を出す。
    ・考えるためには、情報収集とスピード(=動作を行うための時間)

    第2章 戦える「技術」
    ・サッカーの基本技術は「止める」「蹴る」「運ぶ」「外す」
    ・様々な種類のプレイができるボールを置き場所を知る
    ・強いインサイドの蹴り方は、カカトをボールの真芯に当てる
    ・ボールの高さの軌道を変えるには、真芯に当てる角度を変える

    第3章 日本サッカーに必要な「確かな指導力」
    ・指導時によくある、バッドノウハウが書いてある。
     ・長所を生かすことより、短所を隠すポジションチェンジをして、個性を潰してしまう
     ・練習をやることでなく、技術を向上させることを目的にする

    終章 日本にも「当たり前のサッカー」を
    ・選手の個性を生かすより、指導者の型にはめ過ぎていないか? もっと自分を出して自由にやっていいのでは?

  • テレビでのサッカー解説、大学サッカーの育成でも一格言のある風間八宏氏の著書。

    新書の「超戦術」に比べて、より具体的に戦術について述べている。戦術の基本は、数的有利などの項目になるが、1対2でも戦うことはできる。戦術の基本は1対1の戦いに勝つことで、ボードで選手の位置を確認することだけではないと言っている。

    どうしても戦術=布陣 の話になり、新しい布陣がよいことのように報道されがちであるが、サッカーの本質とは何か、それらをもう一度考え直すきっかけを与えてくれる書。

  • 選手のプレーについての部分を読んでいたら、もっとサッカーをうまくなりたいと思った。
    それは、サッカーがうまいということがどういう事かがわかりやすく書かれ、取り組むべきことが明確になっているからであろう。
    サッカーの目的は、相手よりも多くゴールをあげること。
    そのための手段として、「蹴る」「止める」「運ぶ」「外す」という基本とそのポイントが挙げられている。
    ここを押さえれば、各々のレベルに応じてサッカーを楽しむことができるし、楽しみながらレベルアップしていけるだろう。

    また、指導者については、個々人の持つものを見抜き、引き出して行かなければならないと言う。
    著者の様々な経験を引き合いに出しつつ、「個を見る」ということの意味合いが述べられており、その考えは日本のサッカー界のあり方についての意見ともリンクしている。
    指導者としても、一読の価値があると思う。

  • ボールは触った分しかいうことを聞いてくれない。
    子供に常に考えさせるためことをしながら取り組まなければ、たとえ毎日練習させても技術は身につかない。

    自分で考え、真剣にボールと向き合って見につけた技術だけは、世界中のどこに行っても決して裏切らない。
    (・・?)個人戦術
    1.考える力
    ~ボールがないときに周りの状況を見 ておく
    ~次にボールが来たときにどう動くべきかを常に考える
    2.技術
    止める
    イチで蹴ることができる位置に
    蹴る
    運ぶ
    マークを外す

    敵を外して足元に速いパスを出すというサッカーは、日本人が不利なフィジカルの勝負になりにくい。スペースにパスを出すというサッカーは、パスのスピードを加減する必要があり、ゴールに近づけば近づくほどできる選択肢がせばまる。

    相手を外す連携プレーを成立させるためには、
    出し手には、止めて蹴る技術
    受け手には、止めて運ぶ、もしくは止めて蹴る技術が必要

  • 武蔵野

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著者プロフィール

1961年10月16日、静岡県生まれ。清水商業高校時代に日本ユース代表として79年のワールドユースに出場。筑波大学在学時に日本代表に選出される。卒業後、ドイツのレバークーゼン、レムシャイトなどで5年間プレーし、89年にマツダ(現サンフレッチェ広島)に加入。日本人選手Jリーグ初ゴールを記録。1stステージ優勝にも貢献。97年に引退後は桐蔭横浜大学サッカー部、筑波大学蹴球部、川崎フロンターレ、名古屋グランパスの監督を歴任。サッカークラブ「トラウムトレーニング」の代表を務めるなど、独特の技術論とメソッドでサッカー選手が楽しく伸びる指導に心血を注ぐ。2021年よりセレッソ大阪アカデミーの技術委員長を務める。

「2022年 『サッカー外す解剖図鑑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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