- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575525366
作品紹介・あらすじ
『幸せだ』と言い聞かせながら、主婦として埋もれた日々を過ごす西沢円香。唯一の楽しみは、端正な顔立ちの男子高校生とすれ違うことだった。そんな些細なことに幸せを感じ生活を送る中、夫が自分を裏切っていることを知った円香。すべてが狂い始めて、すべてが動き出す。そうしてまた―――巡り逢う。『京都寺町三条のホームズ』の望月麻衣が送る、初の純愛小説!
感想・レビュー・書評
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2022年1月双葉文庫刊。絶対に読まないジャンルの作品ですが、京都寺町三条のホームズから入ったので、つい読みしてみました。さすがに望月さん、安心できるきれいな展開とまとめ方です。エブリスタで初めてランキング上位をとった作品の刊行だとあとがきにありました。ファン心理をくすぐる上手な企画です。
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ほんの数ヶ月にも満たない人生の一部を切り取った非日常のような、日常の話。
人と人との出会いは、ほんの僅かな時間でも人生の分岐点になり得るのだと感じた。
よくある夫婦の不倫騒動にも関わらず、ここまで繊細に綺麗に物語を練り上げて、でも夫サイドの物語はドロドロとしていて…。
すごいバランスで成り立っている作品で、面白く一気読みしてしまいました。 -
甘酸っぱい、切ない風が吹いた。円香が「推し」に求めた癒し、わかる気がする。そして課金してしまいそうになる気持ちも。ひとときの癒しでいい。それが一日の活力になるのだから。
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望月先生、こんなちょっぴり大人向けの作品も手掛けることができるのですね。広瀬くんも円香さんもそれぞれ心の内にはほかの人には話せないモヤモヤしたものを抱えており、そんなふたりが出会い、お互いがお互いを癒す存在から徐々に愛しい存在に変化するまでが描かれている、といったところでしょうか。なんだかとっても切ないお話しで、ふたりが内面に抱えたものを想うと読んでいるほうもちょっと苦しくなるというか。。。
ここのところ読んだ望月作品、「京都船岡山~」も「わが家は~」もそんな感情移入が続いていてため息ばかり出てしまう今日この頃です。 -
切ない‥最後の宿題の答え、涙が出そうだった。感情に身を任せ流されてしまうような恋も情熱的でいいけど、お互いを尊重し理性を維持して想いを伝え、かけがえのない時間を生涯の宝物にする。とても美しいと思った。
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甘酸っぱい青春とはまた違った爽やかさのある中にも陰もあるような魅力あるストーリーですらすらと進むので読みやすく面白かった。
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紹介文読んだときに、どういう風にまとまるのか気になっていた。あー、こんな展開でよかったよ。一安心だ。
テンポ良くサラサラと読める。ホテルなどでの性描写あるのと、扱っている心理描写的に、20代後半以上の女性向けの本。
本をたくさん読んでいる人がわざわざ買って読むのには向いてないけど、普段ドラマ見ていて、たまには本読むかーって人にはとても良いかと思った。私もすれ違うだけで嬉しい位のイケメン高校生と仲良くなりたいなぁ。 -
ファンタジー。
きっちり一線引いてしっかりドキドキする触れる推し。現実にいるわけないって思っちゃう。しかも痒い所に手が届くキメの細かい絶妙なフォローとか。 -
高校2年生の楓くんは、すごい人。
優しさが王子様。
恋愛とは違うかもしれない。
14歳も年下だけど、尊敬できる。
そんな2人の出会いと別れの話。
31歳の主婦と17歳男子高の少年、
恋していいのか?ドキドキする。
憧れなのか?
「口にしてはいけない言葉ってあるのです。」
楓くんがすごい。
すごいを、連発したくなる。
思いやりがあって、優しくて、頼もしくて。
マジ、いい人。
楓くんは、自分のことを、優しい子を演じているだけの自分というものがない欠陥人間というが、違う。
円香のよりどころになっている。
頼りになる。
不倫の旦那に対して、冷静に会話ができたのは、そのよりどころがあったから。
とても頭の良い素敵な高校生。
最後の大会のスピーチは、本当に頭良すぎる。
感動した。
良い出会いだった。
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切なく美しい純愛小説。
平凡な、しかしもやもやとした行き場のない気持ちを抱えた日常の中、広瀬楓という男子高校生と関わりを得た円香は、彼との会話の中に、日々を見つめ直し、救われていく。そんな円香のかける言葉は、優しく染み入るように楓を癒していく。円香の夫の浮気をきっかけに起きる不穏な変化の中で、彼らはお互いをより深く理解し思い合うけれど…
大事なところがちょっとテンプレート感はあるけれど、円香の言葉が時折とても印象的で美しく、楓の告白が切ない。
私のベストのうち、二つはこちら↓
○彼はこれからも側にいてくれるわけじゃない。人生を共にするわけじゃない。
でも今この時、しっかりと自分の心の支えになってくれている。
『彼に恥じない自分でありたい』
○どうか、眩しいほどの大人になって。
この2つ目の言葉を、真っ直ぐに言えるような大人でいたい。
これ以外にも直接ストーリーに関わるところに名文が多く、人に響く言葉を書ける作家さんなんだなぁと思いました。