聖母 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 151
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575521481

作品紹介・あらすじ

東京都藍出市で、幼稚園児の遺体が発見された。被害者は死後に性的暴行を加えられていた。事件のニュースを見た主婦・保奈美は、大切なひとり娘も狙われるのでは、と恐怖を覚える。警察は懸命に捜査を続けるが、犯人は一向に捕まらない。娘を守るため、母がとった行動とは。ラスト20ページ、世界は一変する。驚愕の長編サスペンス・ミステリー!

感想・レビュー・書評

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  • 幼児連続殺人事件の犯人を探っていく話。

    犯人は比較的早く分かるようになっているが、動機も含めて「???」な事が最後まで続く。最後まで気が抜けないとても面白い話でした。
    全てが分かった後に最初の部分を読むと、全てが違った風に見えました。

    本筋とは関係ないのですが、印象的だったシーン。男性刑事の坂口に軽くセクハラトークをされた女性刑事の谷崎が「坂口さんはED ですか?奥さまが出ていかれたと噂で聞いたのですが、そのせいですか?」と言うと坂口が真っ赤になって怒鳴る。そこで谷崎の一言「ねっセクハラってウザいでしょ?」この台詞で一気に掴まれました。

  • 割と初めの方で衝撃の事実が発覚するので、そこから惹きつけられて最後まで一気読み。
    300ページ弱なので、読みやすい量でした。
    すっかり騙されましたし、ラストの展開にも戦慄が走りました。

  •  もう、やられたー! の一語しかありません。
    内容の仕掛けやサプライズの驚きはもちろん、母性というテーマも濃密に描かれており、優れたミステリーに出会った感いっぱいでした。

     物語は、①娘のためには何でもする母・保奈美、②事件を捜査する中年刑事・坂口と女刑事・谷崎、③剣道部在籍の高校生・真琴、という3つの視点で描かれますが、何と! 早い段階で犯人が読み手に明かされるのです!
     これはもう、『刑事コロンボ』『古畑任三郎』みたいで、犯罪を犯す様子が先に描かれ、犯人視点で物語が進んでいきます。
     犯人の目論みがどう暴かれていくか、他のミステリーとまた違った読み方ができ、気が逸りました。

     やはり終末の驚愕の度合いは、読んでいただくしかありません! 怒涛のように続く伏線回収と明かされる全貌に、茫然自失するか思わず二度読みすること必至と思われます。

     ミステリーの要素としての醍醐味だけでなく、母性としての癒し・強さ・怖さを、強烈にかつまざまざと見せつけられた作品でした。
     秋吉理香子さん作品は『暗黒女子』に続き2作目でしたが、個人的には本作が数段優れているという印象でした。

  • 完全に騙されてしまった...。
    狂気的な母親と異常な変質者と刑事の視点で進んで行く物語がこういう形で終息していくのかという驚きとどんでん返しぶりが面白かったです。
    真琴という犯人が直ぐに登場し保奈美と真琴の攻防戦のような内容かと思わされました。真琴が殺した男児の指が切り取られたり、性的暴行を行ったりという偽装工作を行ったのは誰なのかという謎やなぜ性器を切り取るのか、なぜそこまでして護りたいのかという謎が物語を盛り上げていてとても面白かったです。そしてその謎の答えを出すかのような形での”あのどんでん返し”が全てを説明していてスッキリしました。
    真琴が実は女性という事実が明かされたのが驚きだったのもののそれはまだどんでん返しの序の口でしかなく、保奈美と真琴という母親と殺人者という別々の関係かと思いきや、まさかの親子だったというのはとても驚きmした。あらすじの中にある、「娘」が薫の事だけではなく真琴のことも指していたという二重の意味になっていたのがびっくりでした。
    それにしても真琴の本当の動機が分かったときは少し切なかったのと同時に、それを護ろうとする母の保奈美は真琴からすれば全てを覆う”聖母”だったんだなと思いました。
    どんでん返しの物語がお好きな方は是非読んでみてください。

  • 皆さんのレビューを読んで興味を持ちました
    えぇぇーーッ?!そう来たかーーッ!!
    と、予想外の着地でした!(◎_◎;)
    ラスト25ページから話がわからなくなり、
    徐々に真実を明かされ、納得した様なしない様な、驚きの連続、そして少しずつ頭の中を整理して。。。
    お陰様で、刺激的な休日を過ごせました!(^O^)

    初、秋吉理香子さん
    読みやすい文章、流れる様なテンポ、そしてイヤミス
    不妊治療、性的暴行等女性にとって辛い描写があるので、読みたくない人は注意です
    娘を守る為なら悪魔になれる、そんな強い母親の姿、全てがそこに繋がる驚愕のサスペンスでした

  • トリックに関しては完全に右フックハナヂブー。
    でも何故でしょう。好きな女性作家様は沢山いるし、秋吉理香子さんも大好きなのだが、頂点に君臨する事がないのだ。

    個人的には恐怖感より美しさを感じた。愛は盲目。読者の脳内を支配する力が長けており、後味悪いはずなのに首を横に振れない不思議な読了感。

    ーこの子は私の命に変えても守るー
    母もまた子である。
    ハートフルとは程遠くなりがちな題材だが、不思議と「こうなりたくない」とは思えない。憧れとはまた違うのだが、完全に否定できない。不思議だ。

    • tomooさん
      ハナヂブー 好きです
      ハナヂブー 好きです
      2021/02/08
    • NORAxxさん
      tomooさん
      初めまして^ ^
      コメントありがとうございます!
      ハナヂブーしがちな私です。中山七里作品でよく垂れ流してますよろしくお願...
      tomooさん
      初めまして^ ^
      コメントありがとうございます!
      ハナヂブーしがちな私です。中山七里作品でよく垂れ流してますよろしくお願いします(笑)
      2021/02/08
  • 我が娘のためなら、悪魔にさえなれる母親か…
    確かに自分の子供の為なら、何でもするのは分からんではないけど…
    ええんか…

    母親に悪魔になられた娘は、これからどうするんやろ?
    幸せに暮しましたとさ〜
    になりそう^^;

    何か、バッチリ騙されたけど、面白かった!
    更に、スイスイ読めるし、スイスイと騙される(⌒-⌒; )
    これが、何かハッピーエンドに思えるの自分も何かなぁ〜(−_−;)
    過去に色々あったんやろうけど、やっぱりあかんで〜〜〜!!!

    前から面白ろそうやったんで、手元にあったんやけど、もっとはやく読んとば良かった〜(^_^)v

  • 京都藍出市で、幼稚園児の遺体が発見された。被害者は死後に性的暴行を加えられていた。 事件のニュースを見た主婦・保奈美は、大切なひとり娘は無事だろうか、と不安に陥る。 警察は懸命に捜査を続けるが、犯人は一向に捕まらない。 娘を守るため、母がとった行動とは。


    序盤で○○トリックの方は簡単に気付けたが、更にそういう展開か!?

    読みやすく、一日で一気読み!

    キャラクターも全員味があって良いのだが、これがどういう方向で繋がるの!?
    と思いきや!!そこですか!そうきましたか!

    いや、ミステリ好きにはなかなかに楽しめる一冊だと思う(*^▽^*)

  • 不妊治療の末に授かった子供を
    大事に大事に、行き過ぎな程愛する母親。
    自分のエゴを満たすためにではなく
    子供を愛するが故の行動だけれど
    本当にその子供にとって
    それは必要なのか、考えてしまった。

    読みながら騙されまいと思ったものの
    思い切り騙された。
    描いていた情景が変わる驚きを味わえて
    楽しかった。

  • 秋吉理香子さんの作品は本作が初読み。

    いや〜凄かった!
    読後鳥肌が立って暫し放心状態になった。
    圧巻のラストとミステリーの醍醐味とも言えるトリックに見事に騙された。これが実に痛快で気持ち良い!!

    薫と真琴かぁ…
    これ以上はネタバレになるので我慢我慢…笑
    改めてタイトルの『聖母』の意味を辿りながら、再読したい衝動にかられた。

    猟奇殺人が表立った事件となっているが、作品自体は女性がもつ特有の悩みや問題が裏テーマとなっているように感じた。また、性の先入観という意味で読者に訴えかけている作品だとも思う。

    折を見て必ず再読したい作品であり、ミステリー好きには是非お勧めしたい作品。
    他の作品も読んでみたい。

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著者プロフィール

兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。ロヨラ・メリーマウント大学院で映画・TV製作の修士号を取得。2008年、短編「雪の花」で第3回「Yahoo!JAPAN文学賞」を受賞、翌年、同作を含む短編集『雪の花』で作家デビューを果たした。ダークミステリー『暗黒女子』は話題となり、映画化もされた。他の作品に『絶対正義』『サイレンス』『ジゼル』『眠れる美女』『婚活中毒』『灼熱』などがある。

「2021年 『息子のボーイフレンド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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