- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575314090
作品紹介・あらすじ
野球ノンフィクションの傍流に身を置いてきた著者による、初の短編集。どの原稿も、雑誌の表紙を飾るメインの人へのインタビュー記事ではなく、その特集の最後に載っているような、でも、特集のテーマ性をもっとも色濃く出しているような、シウマイ弁当でいうならあの筍煮のような、そんな珠玉の作品たち。我々が愛した野球は試合とかデータとか、そういうグラウンドの中の出来事だけじゃなかった…ですよね?
感想・レビュー・書評
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野球そのものというよりは、取り巻く人々を丹念に取材した内容。どのエピソードも野球愛に溢れ、読むだけで微笑ましくなる。まったりと読めて、この時期だからこそ、読んでほしい一冊
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面白い!
タイトルも野球用語だしサブタイトルにも「野球短編」とあるんだから、当たり前のようにプロ野球選手もしくは甲子園の話ばかりかと思ったら、ほぼ「その周辺」の人々の話で構成されている。
硬軟使い分けた文章はどちらも読みやすく、一行目からついつい引き込まれてしまった。 -
主役になれない人たちにもドラマがある。人生、誰でもドラマチックに生きることができる。野球に関わる熱い脇役たちの物語がバカバカしくも羨ましく思えてくる。
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プロ野球、パリーグが好きでよかったと改めて感じる。筆者は横浜ファンのようだけど、パの熱い部分をうまくくみ取ってくれてる。白球のファンタジー歌いたい
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野球にまつわるドラマ?を取り上げる。
これだけ情緒的な話が出てくるのは国民的スポーツといえる由縁であろう。 -
タイトルと帯のコピー(雑文書き)から、ゆるいコラムを連想して読み始めましたがガチです!
十人十色、いろんな野球バカが愛くるしく描かれてます。
トメツーの由来も面白く、捨て章なしで楽しめました! -
野球に関するノンフィクション集。扱うのはスター選手から様々なファンや野球に生活の一部を捧げている人など。奇特な面白さを求めているように思えるが、野球が生むロマンや夢を追う人そのものが描かれている。
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NumberWEBで読んだ記憶があるものもあるけど、こういう群像劇を集めた短編集にはそれ相応の良さがあると思う。「ヤクルト弁当屋」とか「宮本武蔵、大谷二刀斎を語る」とか、なんといっても茶化し方が絶妙だし、最後にもってきた表題作のインパクト(特に前半)は凄まじい。どうやら少なくとも一回は著者に会ったことがあるはずなのに記憶に残ってません。残念。
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この人の本はクセがある。クセがあるぶんテーマ設定や読み手であるこちらのコンディションによってはピンとこないこともあるにはあるのだが、この本の多くはおもしろかった。
まず「止めたバットでツーベース」って題名からして秀逸だ。軽く常軌を逸した題名だが、一発で覚えられるし、想像力が掻き立てられる。これ自体が人生訓のようで哲学的だ。
numberはなぜこの題名で連載させなかったんだろう?
numberだからか。ネット記事とはいえ決して権威ある雑誌の連載とは思えないもんな。
そうなんだよ。この本自体が威厳や権威とは遠いところにあると思う。
選手が中心でもなければデータが中心でもない。
この本の多くは市民が野球とともに歩んできた人生をテーマにしていた。
プロ野球の外側にいる人達の生活や野球との向き合い方がわかる本。野球と共生してきた市民の本なんだよな。
プロレスを見ていてこういう本や企画があればいいなと思うことは何度もあった。それをこんな形で野球が表現してしまうとは。悔しい思いもある。
市民がプロスポーツ、エンターテイメントとどうお付き合いしているのか、そこにはどんな哲学やお作法があるのか。
自分が好きなラーメンを他の人はどう食べているのか?何を思ってこの店に通っているのか?
店のレシピや味のこだわり、売れる要因を探ることもおもしろいけど、隣の誰かにとってこのラーメンがどんなものなのか知るのもまたおもしろい。
おとなもこどももおねーさんも。
作家も芸術家も坊さんも。
元プロ野球選手もプロレスラーもそして作者自身も。
かくもプロ野球は広い。大きい。そういうプロ野球の持つ広さを感じさせてくれる本でした。