4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ 涙の球団史

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575305180

作品紹介・あらすじ

12球団最多4522敗、5年連続最下位。でも、応援するんだよ。"98年の奇跡"から一転、泥沼にはまった最弱球団が「熱く熱く立ち上がる」まで。現役選手、OB選手、歴代の監督やコーチ、球団社長など総計34人の関係者が語り、生まれついての横浜ファンの作家が魂を削って綴った、ホエールズ&ベイスターズの歴史を徹底総括する渾身のノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • むっちゃクチャ面白い。
    当事者の声をしっかりと集め、当時はいわゆる「叩かれていた」人の功罪を、改めて忖度なく提示する。時々本音の声を漏らして。
    著者のスポーツ系著作には外れがない印象なので、最新刊(タイガース関連)も楽しみだ。

  • 「負けの美学」などプロの世界において無い。どんなに素晴らしいパフォーマンスをしようが勝たねばダメ。ベイスターズにしても例外ではない。それでもなぜ負け続ける球団をファンは応援するのか?本書にはその答えがある。決して美談を散りばめた提灯記事ではなく、圧倒的なリアル。それをリズムの良い文書で伝えてくれた著者。全てが帯コメントにある「でも応援するんだよ!」に繋がる。生粋のヤクルトファンだが、ベイスターズにちょいと心が動き出す。関内駅の右手に見えるYの字を模した巨大な照明灯とスタジアム。その先の風景を見たくなった。

  • サブタイトルはホエールズ&ベイスターズ涙の球団史。永年タイガース通じてプロ野球を見ているが、常につきまとう2大疑問がある。
    ①タイガースはなぜ常勝球団になれないのか?
    ②ベイスターズはなぜかくも長く低迷し続けるの
    か?
    共通するのは、同じ人間が野球をやりながら、良好な結果が伴わず、多くのファンに失望を与え続けている。本書はベイスターズ版「負の系譜」を当事者たち34人の愛憎入り混じる証言を丹念にすくい取りながら「ベイスターズの伝統とは?」「あらためて問う1998年の奇跡」「その奇跡はやはり奇跡であり、凄まじい落日感」を300頁の大部ながら飽きさせない筆致であぶり出す。果たして、負から一体何を学んだのか?

  • ホエールズからベイに至る
    負の歴史を書いている。
    ベテランを追い出していく
    球団としての体質には
    うなづけるところがある。
    長年のベイファンとして
    そうだよなって感じ。

  • 疑いなくプロ野球最弱球団である旧大洋ホエールズ、旧横浜ベイスターズ、現横浜Denaベイスターズの苦闘の歴史を一ファンの視点から忠実に辿った一冊。

  • 負の習慣が根付き、閉塞感から抜け出せない組織を立て直す原動力は、その組織を愛する気持ち。これはビジネス組織にも通じる話である。人間の本気は、人間の本気によって呼び起される。かつて自分がジャイアンツファンだった頃はベイスターズを「お客さん」として見ていたが、今となってはそれは恥ずかしい思い出にも感じる。むしろベイスターズを応援したくなる自分がいるような気がする。

  • 近年の弱いベイスターズを見て、どんなに嫌になってもファンを止められない人たちの気持ちを代弁しているかのような、「そうなんだよなぁ」としみじみと思ってしまう内容でした。横浜ファンならではの自虐ネタも盛り込まれていて、クスッと笑ってしまうことも。横浜ファンなら楽しめるのではないでしょうか。

  • 野球チームの要素とは、選手や監督・コーチだけでなく、ファン、フロント…複雑だなと思いました。そのすべての要素のバランスが良くおまけにチームを運営し勝ち続けるための努力を惜しまない風土があるか否かが重要であることが分かりました。選手も個人事業主であって、おのれの成績を重視する傾向があるのは当然でありチームのための野球をすると考えるには、監督・先輩後輩の意識のすりあわせが欠かせないように思えました。負けても次は勝つと信じ続けるファンの姿勢もスタジアムのただのお飾りではなく、チームの推進力の一助になっていることも間違いないようでした。たまたま横浜スタジアムで試合がある日にJR関内駅で降りたところ、ユニフォームのレプリカを着たたくさんのファンがそのままスタジアムに吸い込まれていく光景を見ました。良い立地と多くの熱心なファンがおり恵まれたチームだなと思いました。

  • プロ野球12球団の中で最多の負け数4522敗。大洋ホエールズから横浜DeNAベイスターズまでの歴史を振り返る本だ。私は残念ながらベイスターズのファン暦は浅い。小学生のとき初めて見たプロ野球が川崎球場での大洋対巨人で、大洋は良いところ無く惨敗。巨人を好きになるしかなかった。しかしその後巨人の選手補強の滅茶苦茶さに嫌気が差し、ベイスターズファンとなるも、期間の殆どが最下位という辛さである。しかも補強の滅茶苦茶差はある意味巨人をも上回っていることを知るのであった。この球団の選手は他球団に比べて豪快だ。移動の新幹線で選手のグリーン券を普通券に変えて差額の現金でビッフェの酒を全て飲んでしまう。酔っ払って寮に帰ってきてから夜中に練習する・・・。他にもナベツネが親会社にTBSをごり押しする様や、球団社長が年始の挨拶で「金だけあって下品な球団にだけは負けるな」と檄を飛ばす話、平松田代斉藤遠藤佐々木谷繁三浦内川村田といった一流選手を輩出しながらも、この成績であるのも不思議だが、それら選手のベイへの想いが熱い。社会人で4年間一度もバットを握らなかった金城は2年目にスイッチヒッターとして首位打者と新人賞をとるなど、規格外の選手も多い。しかし、あの遠藤や内川にして、球団に入ったとき、他の選手の実力を見て「これはえらいところに来てしまった」と感じ、また練習量も半端なく多かったようだ。この本に書かれている選手・ファン・フロントまでもベイスターズ愛に溢れているが、はっきり言ってこの球団運営はマルハからTBSに至るまでは最低だ。DeNAは変えてくれるだろうか、今の社長はハマスタの近所で生まれ育った35歳だ。

  • この本はベイスターズがなぜ伝統的に低迷をつづけるのか、そしてなぜ98年に優勝できたのかというのが現場にいた当時にOBや首脳陣、フロントからの証言をもとに綴られています。その証言の内容も結構「え、そんな事言っていいの?」という所まで踏み込んでいて非常に興味深かったです。

    内川の横浜在籍時の葛藤やFA移籍後の様々な発言の真意も綴られていて、内川に対する考えを少し改めました。(これからもネタにし続けるとは思いますが←)

    ほとんどが低迷の歴史なので全般的にはネガティブな内容ですが、最後にDeNAフロントの取り組みと、中畑監督の情熱で明るい未来が待っているのではないかと感じさせ、良い読後感を得られることができました。

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著者プロフィール

1975年生まれ。神奈川県茅ケ崎市出身。ライター、コラムニスト。著書に『気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている』『それでも気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている』『プロ野球最期の言葉』『4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史』『止めたバットでツーベース』『ドラフト最下位』など。

「2023年 『地方に行っても気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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