- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575244175
作品紹介・あらすじ
明治十六年(1883年)。葛野を出て実に43年、甚夜はついに行方知れずとなっていた鈴音と対峙することになった。鬼神へと至ろうとする妹との再会は、甚夜だけでなく彼の周りの人々の運命をも大きく変えることになる。人よ、何故刀を振るう――平成までの長い旅路の折り返し地点で、甚夜が出した答えとは。大人気和風ファンタジー巨編、衝撃の第七巻。
感想・レビュー・書評
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表紙絵が1冊の内容を貫いているので、もはや言葉による紹介はいらない…気がする。
「鬼人幻燈抄」シリーズ第7作!
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鬼として覚醒した妹・鈴音の手によって最愛の人を失った甚夜。
人間の身に鬼の力を宿し、鬼となった甚夜は、遥かな未来に鬼神となって降りたつ妹と対峙すべく、いまは明治の世を生きていた。
孤児の野茉莉も大人へと育ち、育て親の甚夜と蕎麦屋を営みながら暮らしていた。
平和そのもののような穏やかな暮らしは、ある鬼との出会いにより変化して…
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あらすじが難しい第7巻。
人間の時を生きる愛娘・野茉莉と、鬼である甚夜は、いずれ何かしらの形で別れがくることを想像していましたが、まさかこんな別れとは…
誰が悪いのだろう?いや、誰も悪くないのではないか?
ただ、それぞれのおもいや願いが違って、タイミングが少しずつずれ、おもいが強すぎるが故にねじれ、そしてこうした出来事となっていく…
いやもう、どうしたらいいの、どうしたらよかったの、という気持ちが、読みながらぐるぐるまわっていた巻でした。
そしてこの1枚の表紙絵が、第7巻のすべてをあらわしていて、読み終えたあと眺めていると、言いあらわしようのない気持ちになりました。
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「鬼人幻燈抄」は単行本として第1巻が発売されたのは2019年ですが、もともとはネット上で2011年~公開されたものです。
ネット上では、単行本として出版される前の「鬼人幻燈抄」を読むことができ、わたしも第7巻部分をすこし読んでみました。
ネット版も単行本もお話の筋こそ変わらないものの、読み比べてみると言い回しや順番が単行本ではだいぶ修正されているのがよくわかり、単行本はより読みやすくなっているなあと感じました。
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「鬼」というキーワードが共通するが故、「鬼滅の刃」と比較されがちな「鬼人幻燈抄」。
特に今回の第7巻の116ページ、139ページの内容は、「鬼滅の刃」とも共通する考え方が記されています。
かかれた年も、書き手も、鬼という共通点こそあれ、敵も味方も主人公もちがう「鬼人幻燈抄」と「鬼滅の刃」という作品にも関わらず、2つの作品の中に共通する、ぶれない志が貫かれていることこそ、驚くべきことなのではないか、と思います。
「鬼滅の刃」は爆発的な売れ方をしたので、そちらの方が持ち上げられがちですが、対して「鬼人幻燈抄」はじわじわと徐々に徐々に広がっていく物語であり、そもそも味わい方がちがうので、比較して優劣をつけるものではないと思います。
むしろそれぞれの作品をお互いに認め合い、高めあっていくことで、もっともっと本のおもしろさの中に入っていけるのではないかと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
寂しいなぁ、浸ってたいなぁ...。
明治編終わりということで物語も大きな節目。
ついに鬼女となった妹、鈴音が甚夜の前に現れる。甚夜も妹を討つために鬼へと堕ちた身。鬼とはすなわち執着の塊、鬼が持つ異能とはすなわち生前に叶えられなかった「思い」の体現。これまでに数々の鬼を討ち鬼の異能を自らに取り込み強さを得た甚夜であるが果たして鈴音に通用するのか。
鈴音も兄に異常な執着を見せる。現実世界にも思考回路をこじらせて鈴音のようになる人はいそうだなぁ...とファンタジーだからと一笑することはできない。
明治編で出てきたキャラ(人間)に愛着があったのだが甚夜は千年生きると言われている鬼。この時点でいつか別れがくるのはわかっていたのだが、明治編が終わるということで「ついに来てしまったか」という思い。
新しい時代で甚夜は誰に出会い、何を見出すのか?続きが非常に気になります。 -
江戸から平成へ、百七十年もの途方もない時間を旅する鬼人の物語、鬼人幻燈抄シリーズの7作目『明治編 君を想う』です。前巻が先の気になる終わり方をしていたので、続けて一気読みしてしまいました。
明治16年(1883年)、京都で娘の野茉莉とともに昼はそば屋を営み、夜は変わらず鬼退治を生業としていた甚夜。第二の故郷である葛野を出てから43年、ついに行方知らずだった妹の鈴音と対峙することに…。
3冊続いた明治編の終章でもあり、平成までの長い旅路の折り返し地点でもあるらしいです。前巻から予想していた通り、いや予想以上に辛いお話でしたが、辛いまま終わらなくてよかったです。
さて、次巻は大正編へ突入です。大正編も3冊あるようだし、お話がどんなふうに展開されていくのか…今のところ見当もつかないので、楽しみです。 -
めっちゃ悲しくて泣きそうになった。
愛娘に忘れられるってすんごい悲しいと思うし、よく離れられたなあと思った。
平吉の知り合いだって言ったら行けそうなものだけど、それは選ばないんだなあと思った。
鈴音狂いすぎてて気持ち悪かった。
次も楽しみ -
明治時代最終章。遂にマガツメと甚夜陣営が対決。えぐいって…なんてことするんだよぅ…正に鬼の所業。涙が溢れて読むのが大変でした。表紙に描かれた甚夜の背中を見るだけで泣ける。平吉が一筋の光明となるか。
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#読了 甚夜が築いてきた人間との絆を根こそぎ奪っていくような巻だった。死別、離別、いろいろあったけど、最後に懐かしい人と再会できて、弱みを見せられて本当によかったね。
表紙の甚夜の背中があまりにも寂しそうで、なんとなくの結末はわかっちゃったね。それでも、最後まで読まないとわからない仕掛けがあって面白い。
想像していたよりはるかに辛い結末に、外出先で読んでいたものだから涙をこらえるのに必死になってしまった。 -
あたたかくも切ない、人との別れが涙を誘う明治編最終話
甚夜と鈴音、歳月を経て、その来し方は天地程離れてしまった
これまで生きてきた選択は正しかったのか、己に問う甚夜
その生き方こそ好ましい
お気に入りキャラ『三代目 秋津染吾郎』伏線回収を楽しみに待っています
…三浦母(夜鷹)と息子は甚夜を忘れていないのか?
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辛い。
それしか出てこない。