青い孤島

著者 :
  • 双葉社
3.60
  • (25)
  • (64)
  • (79)
  • (7)
  • (1)
本棚登録 : 550
感想 : 67
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575243864

作品紹介・あらすじ

広告・イベント制作会社で働く小島佑は社長に僻地の離島・小鬼ヶ島へ行くよう命じられる。この島はちょっと変わった離島で、住民が東と西で対立。村長選挙や村議会議員選挙のたびにガチンコの争いになる。佑は島の居酒屋に働きにきた絶世の美女・るいるいさんと一緒に島の問題を解決するため、とっておきの作戦を実行する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 東京からおんぼろフェリー「竹丈丸」に乗って30歳の小島佑(たすく)が会社の仕事で小鬼ヶ島へ行こうとしますが、人生初の船酔いで同じ船に乗っていた27歳の美女るいるいさんに助けられ、島に到着します。
    佑の仕事は島の活性化とは名ばかりのぼったくりをやってこいという上司命令。

    その島は、島民が東と西に分かれて反目しあっているという大変な状況。
    るいるいさんは東の居酒屋で働き始め東の男性にモテモテ。るいるいさんの奪い合いが始まります。

    佑は西の割烹で出会った村長や息子の翔と交流を始めます。そして佑は巫女の椿姫から絶対に当るというとある重大なお告げを告げられます。

    しかし、島で反目しあっている、西の翔と東の奈々ちゃんがこっそり付き合っていることがばれてしまいます。
    佑はるいるいさんや椿姫たちと地球防衛軍を作り、東西の融和をはかり、翔と菜々をなんとかくっつけようと作戦を立てますが…。

    ミステリー小説のようなタイトルとはかけ離れた森沢さんらしい明るく楽しいどたばたとした人情劇でした。
    森沢作品『キッチン風見鶏』とのリンクも楽しめました。

    森沢語録
    感動は『心の食べ物』。だから常に与え続けていかないと心がやせ細って、しまいには病気になってしまう。

  • ◇◆━━━━━━━━━━━━
    1.あらすじ 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    ・島を活性化するための企画を考えるために、至って平凡な社員の小島佑が小鬼ヶ島に行くことから物語が始まります。この本の半分は島めぐりしているシーンで、本の半分はいろいろな島民に会い続ける場面が綴られていきます。

    ・後半から物語が動き始めます。特徴的な登場人物と、佑との関係が二転三転していきます。愉快で爽快な物語になっています。


    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    2.感想
    ━━━━━━━━━━━━◆
    ・サクッと読むことができました。
    人間の負の部分と、善の部分のどちらも見えて、面白かったです。

    ・主人公の佑くんは、けん玉できて、マジックもできてら全然平凡ではなく、十分優秀でした。優しさを持って人と接することができるのが、とてもよかったです。

    ・森沢明夫さんの作品は、島とか海が必ず出るんですかね。読んでいると、海の見える島で暮らしたいな〜と、想いが膨らんでしまいます。

    ・今作も読後感は気持ちがいいね。海辺でゆっくりとしたいな〜と、感じました ^_^


    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    3.主な登場人物 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    (訪問者)
    小島佑 たすく 30歳 凡人、特徴がない
    粟野留美 るいるい 27歳 金髪、美女

    (島民)
    西森大樹 おデブ 50歳 村議会議員
    枝野翔 美少年 22歳
    東岡玉三郎 もじゃ 65歳
    西森憲一 村長
    虎徹 一徹店主 65歳ぐらい
    丸林ヒロム 島の広報 40歳くらい 顔がまん丸
    俊行 小柄 パッションフルーツ栽培
    理香子 菩薩 35歳くらい
    葉月ちゃん 生徒 保健室登校 理香子娘
    東岡花蓮 巫女 可憐 20歳
    椿姫 妖怪
    宿谷佳美 先生 20代の後半ぐらい
    おトメさん 85歳 愛されキャラ
    吉田照子 
    吉田菜々 照子娘 20歳ぐらい
    星矢 27歳 ITオタク ユリポンファン


    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    4.語彙
    ━━━━━━━━━━━━◆
    ・憶う(おもう)
    「憶う」は、思い出すや追想すること。
    例として、「初恋の人を憶う」など。

  • 小さなイベント会社に勤める平凡な主人公が仕事で向かう離島へのフェリーでひどい船酔いになってしまう
    そこで出会った絶世の美女に介抱され…

    もうなんか始まりそうな気しかしない導入部ですよね
    うまいなぁ〜なんて思っちゃいましたw

    小さな島で出会う人々のおおらかな優しさにふれその秘密を知ることで主人公は仲間たちとともに島を分断する諍いを治める作戦の決行を決意します

    ほんわかな笑いありドキドキあり、ちょっぴり切なさあり
    今回も楽しめました

  • 読み始めは面白かった。徐々に中だるみ…ラストスパートで再び盛り上がる。島ならではのあるある話。都会で疲弊した若者が辺鄙な孤島で再生する姿は島の人々の優しさと自然のなせる技か?

  • 安定の森沢作品、今回はすべてが平均点の自他ともに認める目立たない男性 小島佑が会社指示で東京から遥か彼方の孤島に出向く。本人はどうせ買われないなら会社費用で休暇気分を満喫してから辞めてやろうと不埒な気持ちで出掛ける。住民200人足らずの島では東西に割れて険悪な仲の状態が常態化している。そんな中、島の活性化の切り札的期待を抱かれた小島佑は事実が判る事を恐れながらも少しずつ溶け込んで行くのだが…
    彼の実態が住民に知れてからの急展開が俄然面白くなり、ドッキリを仕掛けた積もりが仕掛けられるくだりもなかなかでした♪

  • 天気も悪くて何もできないGWでイライラしていたところ、立ち寄った地元の図書館でふと手に取った本だったけれど、この本を読めただけでもいいゴールデンウィークだったと言えるくらい、心の底から感動した。

    会社から無能扱いされてきた30歳の主人公の小島佑が嫌味な社長により人口200人に満たない島に異動させられ、町の活性化を目指す物語。最初は島でバカンスを楽しむ予定だった主人公も、住民との出会いや今までに味わったことのない温かな居場所を感じられたことで、生きる喜びや自信を身につけていく様子にはすごく励まされた。

    とにかく最高な一冊。

  • 何もかもが平均で「特徴がないところがお前の特徴だ」と友人から言われる、主人公の小島佑。
    そんな佑が、過疎化が進む島の活性化の仕事のため、船酔いに苦しみながら小鬼ヶ島へやってくる。
    船で一緒になった不思議な美女るいるいさんも、偶然同じ島へ。
    読みやすく、島の人達との交流もなかなか面白い…が、いくつか気になる部分があって、楽しみきれなかった。

  • 八丈島の南に浮かぶ小島をモデルに孤島を盛り立てようというテーマのお話。雄大な自然と人との触れ合いが印象に残った。

  • 感動って心の食べ物なんですよね だから常に与え続けていないと、心がやせほそってしまいには病気になってしまうって
    まさにこの本は感動しました

  •  広告・イベント企画会社で、使えない奴とレッテルを貼られ自信をなくしていた小島佑が、会社から押しつけられた離島での町おこしの仕事を通して変わっていく成長物語。
     8章からなる物語は佑の視点で語られる。

         * * * * *

     ゲームのような展開でした。
     誠実だが弱気で頼りない主人公が、旅先でよき仲間たちと出会うことで課題をクリアしながら成長していくというストーリー。

     大まかな筋立ては予想できるので、あとはそのプロセスをどれだけ楽しませてくれるかという作品です。

     残念ながら主人公の佑の心情描写が少し浅いため、自身で殻を破りながら成長する姿を楽しめるという作りではありませんでした。

     次にポイントになってくるのは、やはり仲間でしょう。どれだけ個性的で、いかにして主人公を支えるのか。そこが見どころになります。

     るいるいさんは諸葛亮なみの名参謀として十分魅力的に描かれていましたが、その他のメンバーは存在感が弱かったように思いました。

     特にそのスキルなくしては作戦の成功が成り立たなかったIT担当の星矢をもう少し取り上げるべきだと思いました。さらにおトメさんにも知恵袋としての活躍シーンを用意しなくてはいけないとも思います。

     『どうする家康』のように、頼りになる脇役が個性を発揮して頼りない主人公を守り立てていくという作りを徹底して欲しかった。

     中学生向けぐらいの作品でしょうか。

全67件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1969年千葉県生まれ、早稲田大学卒業。2007年『海を抱いたビー玉』で小説家デビュー。『虹の岬の喫茶店』『夏美のホタル』『癒し屋キリコの約束』『きらきら眼鏡』『大事なことほど小声でささやく』等、映像化された作品多数。他の著書に『ヒカルの卵』『エミリの小さな包丁』『おいしくて泣くとき』『ぷくぷく』『本が紡いだ五つの奇跡』等がある。

「2023年 『ロールキャベツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森沢明夫の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×