鬼人幻燈抄 明治編 徒花

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 332
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575243390

作品紹介・あらすじ

明治五年(1872年)。武士身分の廃止に帯刀の禁止――近代化が進む明治の世は、武士という存在を置き去りにして進みつつあった。娘の野茉莉とともに京都に移り住んだ甚夜は、昼は蕎麦屋を営みながらも、夜は相も変わらず鬼退治を生業にしていた。新時代になったものの、鬼の討伐依頼は増え続けるばかり。その陰には、どうやら「マガツメ」なる存在がかかわっているようだが……。大人気和風ファンタジーシリーズの第五巻。切なくも美しい時代の徒花たちの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 表紙の甚夜のとなりに在るのは、予想外の人でした…
    (詳しくは収録短編「余談 林檎飴天女抄」を読んでね)

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    鬼人幻燈抄シリーズ第5巻。
    哀しい出来事から鬼の力を得た主人公・甚夜。
    ある目的のために彼は、鬼を退治しながら、江戸から平成の世までの、長い時を生きていきます。
    今回も帯に既刊が紹介されていて、すごくわかりやすかったです。

    毎回、鬼人幻燈抄を読むときには表紙と裏表紙の絵をじっくり眺めてから読み始めます。
    なぜならこの絵さえも、物語の大きなヒントであり、読み終えてから眺めるとこの絵にこめられた想いがよくわかるからです。

    ちなみにこの表紙絵には「林檎飴」の屋台は描かれていませんね。
    ということは、この絵の時代は…ゴニョゴニョ…(何者かに口をふさがれる)

    あ、そう言えば、「余談 林檎飴天女抄」では林檎飴を知っている人物が“2人”いましたね。
    ひとりは朝顔という女の子、もうひとりは…ゴニョゴニョ…(またしても…以下略)

    というわけで、「余談 林檎飴天女抄」オススメの短編です。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    今回の「登場人物紹介」を見たとき、すごく違和感がありました。
    なぜなら幕末編で別れを告げたはずの2人の名前が載っていたからです。

    目次を見て「余談 続・雨夜鷹」があったことから、その2人の人物は“雨夜鷹”とつながりの深い人物だったので、こちらの余談に登場するのかと思って読み進めてました。
    がしかし、これまた予想外の展開になり、びっくりしてしまいました。

    「余談」は、時代を歩んでいく甚夜と、平成の世が重なりあう物語ですが、明治時代の甚夜と平成の甚夜はおなじ人物なのに、すこし印象がちがっていて、そんなところにも平成と古き時代の甚夜の間にある、長い時の流れを感じられます。

    ただ、平成の世での人物関連図がなく、甚夜と関わりのある人物の断片しかわからないこと、また甚夜はどのようにして平成の世に溶け込んでいるのかがわかりません。
    そのため、余談で甚夜以外の平成を生きる人物が出てきても、なじみが薄くて「誰だろ??」となってしまうところが、ちょっと残念でした。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    しかし、甚夜の妹・鈴音本人はまったく出てこなくなりましたね。
    また甚夜の生きる目的も、物語を経るごとに逆に迷いを感じ、揺らいできているような感じも受けます。

    鬼となった出来事から受けた心の痛みはありながらも、皮肉なことに時間が経てば経つほど、甚夜のまわりに愛おしい人があらわれればあらわれるほど、平成の世で甚夜が出会うであろう鬼神との結末がどうなるのか、まったく読めません。
    そして、甚夜の娘・野茉莉との行く末も、どうなってしまうのか…そちらもハラハラしています。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    第6巻「明治編 夏宵蜃気楼」は、2021年2月発売予定です。

  • 死別はいい。
    この2人の結末は残酷。
    友とすれ違うことはある。そのまま生涯の別れもある。こんな形で再会させんでも。
    この作者結構残酷なことしますよねぇ。。。

    それにしても現代と過去の行き来がわたしには若干馴染まない

    2022.9.26
    143

  • シリーズ5作目。読み始めて「?」と感じる描写があり、よく考えてみたら4作目をまだ読んでなかった...。

    復讐の鬼となった主人公。江戸から時代も移り変わり明治へ...。時代に取り残されていく者、時代を超えて邂逅する者、鬼として時代を跨いでいく者、それぞれの立場や思いが綴られていて面白かった。

    1000年も生きると言われている鬼、彼らにとって昔の記憶や思い出ってどんな風に捉えられているんだろうな。長い時の中で希釈してしまわないものなんだろうかとふと思う。人間との別れも寂しいよなぁ...と思ったり。だけどその中で得るものもあると主人公。最終回に向けってどんな風になっていくんだろうと期待させる展開でした。

  • 読み始める前、表紙をなんとなく眺めていたのですが、「あれ? これ明治時代なんだよね?」と違和感を覚えました。こんなに設定がしっかりしている小説なのにこんなミスするのかなあ、と思いながらも読み進めていくと、表紙の意味と違和感の理由が分かって、表紙と裏表紙を見比べて、本当によくできているイラストだと思いました。そして思ってもみなかったまさかの人物の登場で、今まで散らばっていたたくさんの点が一気に繋がって線になりました。このすごくスッキリする感覚が、たまらなくよかったです! ただ、絶対まだ何かある気がするんですよ…あの男性…
    いつも思っていたのですが、どの章も最後の数行がすごくいいんです! すっと美しく締めてくれるから、心地良い余韻に浸ることができます。
    最初の頃と比べてどんどん丸くなっている甚夜が、友人と軽口を叩き合う姿を見ると、なんだか微笑ましい気持ちになります。このあたたかい気持ちに触れながら、そして何となく背後に感じる影に警戒しながら、次の巻も楽しもうと思います!

  • 直次の気持ち考えたら、
    国のために命懸けで戦って、それなのに刀奪われて、可哀想だと思ったけど、他の人からしたら武士が刀を持たなくなるのはいい事だと思うし、怯えずにすむってことだから、それはそれでいいところだし、難しいところだけどやっぱり直次かわいそう。
    ちよさんがちとせちゃんやったのがびっくりした!
    そして、タイムスリップの話も、現代にまで繋がってて、甚大ちゃんとりんご飴のこと覚えてて、イケメン・・・
    6巻も続けて読む!

  • 時代は明治になりました
    甚夜は蕎麦屋を営んでいた
    その名も鬼そば
    ひねりなし

    ある晩、鬼に遭遇している向日葵という少女を助ける
    鬼はマガツメという言葉を残し消えた

    秋津からの紹介で兼臣と鬼を退治に向かった甚夜
    鬼、地縛との戦いが優勢になった時に現れたものは…


    甚夜と友の悲しい話

    表紙のお話も入っています
    こちらも懐かしのあの子が

  • 明治五年(1872年)、甚夜は京都で蕎麦屋を営んでいる。側には野茉莉、時々、秋津染吾郎が弟子の平吉を連れてやって来る。

    また少し現代編の人物関係が明らかに、そして新たな闇の出現、最後は悲しい対決もあり盛り沢山!

  • 時代の移り変わりの前後で、価値観が大きく変わる。手のひらを返された人はどうやって生きればいいのだろう。生き残ってしまった人はどうやって生きればいいのだろう。なんかそんなことを考えてしまった。

  • いつの間にかシリーズ5作目、少しづつではあるが1作目より人間性重視の物語に変わってきた感がある。悪い評価でなく家族や主人公甚夜を取り巻く環境、家族また京の情景、勿論緊迫した戦闘シーンも非常にバランスよくなっているようなった気がする次作が非常に楽しみである!

  • 現代と過去をつなぐ鏡。それは葛野で作られた鏡だった。葛野の幼馴染との再会、平成から明治へとトリップした娘との平成での再会。
    江戸で出会った直次との悲しい再会。激動の時代を経て、時代に取り残される者と、穏やかに生きる者が対照的に描き出された作品。
    直次が鬼になったこと、甚夜の苦悩…前半は幸せに溢れてた分、後半は息が苦しくなるほど辛かった。

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