悪意

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 537
感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575232646

作品紹介・あらすじ

「衝撃のたくらみ」加賀刑事執念の捜査。翻弄され尽くす快感と、くらくらするような結末。

感想・レビュー・書評

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  • 他人視点でその人の全体像が見えて来る感じが、個人的に湊かなえの作風に似ていると感じた。(この作品は湊かなえ作品よりも前に描かれているが)
    タイトル通り、まさに悪意渦巻くこの作品、読んで損なし。

  • ゾッとする話。
    読んでから自責が多めな自分的には救われました。
    他人なんてコントロールできないので、どうにもならない事実はどれだけ辛いが、それでも現実に向き合わないと。
    はじめての加賀シリーズですが、結構読みやすくて、面白かったです。

  • 加賀シリーズで、初手から犯人が明かされる。
    犯人の動機を解明していくミステリ。
    人間の『悪意』というもの、
    私で言うと『何故かわからないけどこの人とは合わないし好きになれない』と感じることがある『悪意』に
    共感する部分も感じつつ、殺意まで芽生えるものだろうか?とイマイチ感情移入できなかった。
    でも、人生の折り返し地点に到達していない私には理解出来ない、終焉間際だからこそ感じる嫉妬や妬みそう言ったものが複雑に絡み合った『悪意』というのが存在するのかもしれない。

    ストーリーとしては二転三転して面白かったが、衝撃的とまではいかなかったかもしれないです。

  • 東野ミステリーでは個人的に一番かも。犯人探しでも手口の解明でもなく、「なぜ犯人は被害者を殺したか」の動機を探すという新しい切り口。そして、その結末は…。インターネットがない時代に、姿の見えない悪意を描き切ったという点でも素晴らしい。謎解き以外の部分では、「パソコン通信で原稿を送れるらしいね」などというセリフがなかなか味わい深い。加賀刑事って今何歳なんだ?

  • 2015.1.19読了
    加賀作品3作目。いつもの形態と異なり、手記を加賀と被疑者の野々口の両面から進んでいく。この手記方式こそが今回のトラップにつながっているわけである。ともかく、読みやすかった。
    最後の追い詰め方はもっとぐーっとくるかなと思ったけれど、そこまで。
    それよりも加賀が教師を辞めた理由がリアルすぎる。これは怖い。とリアルに思った。

  • 物語が重層的で、ひじょうに読み応えがありました。犯人の動機が焦点になってきますが、そこに加賀が何故教師を辞めたかの原因も深く関わってきて興味深いです。至る所に現れる「悪意」の繋がりが浮かび上がってくる終盤には唸らされます。作家が当事者の話だけあり、「作家論」みたいなものが出てきて作者の考えの一面が見えたような気がします。加賀の過去が一つ明らかになるなど、加賀シリーズを読む上で欠かせない作品ですね。

  • 高2 ◎

  • 2000.5

  • 東野圭吾らしいサスペンス。恩人であり作家仲間である友人を殺害した主人公。ゴーストライター、友人妻との恋愛が原因と思ったが・・・実は・・・。人の印象は真実を写すことがある。

  • 売れっ子小説家の日高が自宅で死体となって見つかる。
    加賀恭一郎の調べによって、簡単に日高の幼馴染でもある野々口が逮捕される。野々口は犯行動機を語ろうとしないが、加賀は野々口の家で少しずつ犯行に至った手掛かりを見つけ始める。

    観念した野々口は犯行理由を明らかにする。
    野々口は日高に脅されていた。日高の小説は野々口が書いたものだった。野々口は日高のゴーストライターだった。
    明らかになっていく被害者と加害者の関係。世間は野々口に同情し始める。

    だが、加賀は野々口の供述に騙されない。
    日高が野々口を脅すどころか、手助けすらしていた。もちろんゴーストライターなどではなかった。

    野々口が日高から奪おうとしたのは彼の命と彼の名誉。
    なぜ野々口はそこまでしたのか。歪んだ嫉妬。妬み。それは汚い悪意。

    みんな大好き加賀恭一郎シリーズ。
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    「死人に口無し」は、死者は何も語れないから何の釈明も出来ない、という意味のことわざ。

    例えば、2013年10月に起きた三鷹女子高生殺害事件では、被害者が亡くなった後も加害者が被害者の裸の写真をネット上に拡散させた。訳知り顔コメンテーターたちは”悪質なセカンドレイプだ、リベンジポルノだ”とかなんとか喚いて鼻息を荒くさせていた。
    それらの写真がどのように撮られたのかを想像することはできるけど、真実がどうなのかはわからない。死人に口はない。
    結局ストーカー殺人という、便利なカテゴリーに振り分けられたその事件は、何週間かはテレビを騒がせたけど、次の大きな事件が起こるとみんな一斉に見向きもしなくなった。人々が事件を忘れても、彼女の写真はインターネット上に残り続ける。
    死人には口もないし、何もできない。悪意が死者を汚す。辛辣を極める現象。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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