【ドラマ原作】転職の魔王様2.0 (PHP文芸文庫)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569903248

作品紹介・あらすじ

2023年7月 ドラマ化決定!魔王様VS天使様!? ワケあり求職者達を正しく導けるCAは誰なのか――ビジネスパーソン必読の痛快転職エンタメ、待望の第二弾!

感想・レビュー・書評

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  •  労働観というものについてのクライアントの気づきと再生を描くヒューマンドラマ連作短編集。また、サポートする CA を描くお仕事小説としての側面もある。
     
     物語は基本的に、主人公の羊谷千晴と各話のクライアントの視点で交互に語られていくが、最終話のみ魔王様・来栖嵐視点の述懐が挿入されている。シリーズ2作目。
             ◇
    「内定ですか! ありがとうございます」
     千晴は受話器を持ったまま、見えない相手に向かって何度も頭を下げる。そしてうれしさを抑えきれない千晴は、通話を終えても電話機を拝んでいる。

     羊谷千晴が転職エージェント会社シェパード・キャリアの CA になって丸1年が経つ。上司の来栖嵐や先輩の広沢英里香には及ぶべくもないが、こうしてクライアントと企業とをうまく繋げられたときの喜びはひとしおだ。千晴が上機嫌で広沢とおしゃべりしていると卓上の電話が鳴った。午後5時に千晴と面談予定のクライアントが来ているという連絡だ。

     先ほどの余勢をかって意気込んで面談に臨んだ千晴だったが……。( 第1話「大事な部分って、働いてみないとわらないんですよ」) 全5話と、プロローグ及びエピローグからなる。

         * * * * *

     千晴のキャラが少し変わってきたように思います。
     前職でメンタルをやられかけてシェパード・キャリアに来たときと比べ、気持ちを素直に表現するようになってきました。社内でのびのび振る舞っているし、魔王・来栖にも結構な物言いをしています。
    本来の千晴に戻ったということ ( あるいはドラマ原作になるのを意識してのこと)なのかも知れませんが、とにかく来栖の対極にあるという人物設定から外れつつあります。

     だからか本作では新キャラを、中途採用という形で登場させてきました。
     天間聖司。クライアントの身になった手厚いフォローを惜しまない仕事ぶりから、転職の天使の異名を持つCAです。

     突き放した面談で甘さを捨てさせ、自立を促す魔王・来栖 VS 行き届いたフォローで気持ちよく転職意欲を掻き立てる天使・天間。その対照的なサポートぶりがとてもおもしろくて、いいお仕事小説だったと思います。

     また、クライアント側の事情も興味深いものでした。
     第1話のフランクリン恵恋が違和感を持つ現職場の明るく押しつけがましい体育会系気質。自分も苦手なだけにかなり恵恋に共感できました。
     さらに第4話で描かれる、ある程度優秀で嫌と言えない性格の人間に仕事を押しつける風潮のある「家族的」な会社。
     言いやすい人間にだけ無理を強いるくだらない中間管理職こそ会社には不要だと思います。(多いですが……。)

     転職は、最近でこそ増えてきたようですが、それでも日本ではまだ大きな決断が必要な進路変更ではないでしょうか。
     そんな人生の一大事を決心するに至るヒューマンドラマの側面と、そのサポートをする転職サービスを描くお仕事小説としての側面の、両面が楽しめる作品でした。とてもおもしろかったです。

  • 「転職の魔王様」の続編。
    前作は大絶賛したけど、まさかのドラマ化。
    それに合わせての続編刊行。
    ドラマ用か・・・
    それはしようがないけど、正直ドラマ化ありの原作はあまり好きじゃない。
    でも、そこは好きな作品。やっぱり手が出る。
    舞台は千晴がCAとなって働き出した前作から2年後。
    CAとして、来栖の教育期間を終え、独り立ちしていたところに、新たに天使のようなCA・天間がシェパード・キャリアにやって来る。
    職場のノリについていけない、産休・育休制度の体制が整っていない、一つの会社に居続けるのが苦手・・・
    問題ありの求職者を無事に転職させるのは誰なのか?
    それぞれの求職者の悩みが本当にリアル。
    どの悩みも痛いほど分かる。
    分かるからこそ、CA達の言葉がまた妙に心に刺さる。
    続編も十分面白かったけど、ドラマ化の為に書かれたと思うと少し残念。
    ドラマも観てみるけど、ドラマより小説の続きが気になる!
    次はドラマ関係なく、続編を!


  • 転職の魔王様 第二弾

    転職をする側から転職を支援する側に変わった
    主人公が、転職希望者の悩みや希望に耳を傾け、
    心の奥にある本音を掬い上げる手助けをして
    くれる物語。

    転職を通して仕事や働き方を考え、
    どんな人生を歩みたいか、何が好きで、
    何が好きでないかを見つめ直す。

    モヤモヤした不満や漠然とした不安、
    曖昧でぼんやりしたものを言語化する
    手助けをしてくれる、一見お節介だけど
    親身で優しいCA達と出会えるお話。

    『気持ち悪い社畜』と来栖に言われた
    主人公が、転職希望者や同僚と関わりの中で
    次第に変わっていく様子はきらきらしていて
    読んでいて眩しくて心地よいです。

  • 転職エージェントシェパード・キャリアに、「天使」と呼ばれている天間が転職してきた。
    魔王様の来栖と真逆の仕事っぷりで、物語が更に面白くなってきた。
    第4話「優等生は、社会に出たら気をつけないといけないんですよ」は、妙に納得。
    損な役回りを引き受けがちな人に対し、適切なアドバイスをしてくれるなんて、さすがプロの仕事だなと思った。
    続編もありそうなので、今から楽しみ。

  • 2作目。
    転職とは。
    色んな考えあるけど、
    今思うのは転職できる人はすごい人やとおもう。

    1社で15年続けるおじさんはそう思います。

  •  ドラマ化もされた「転職の魔王様」の続編。短編連作で、転職エージェントを題材に、働くとは、生きるとはを考えされられる作品。

     前作で未谷千晴は、新卒で就職したブラックな広告代理店を退職した。その後、叔母が社長を務める転職エージェントの『シェパード・キャリア』社でキャリアアドバイザー見習いから、正式にキャリアアドバイザーとして働くようになった。

     転職の魔王様2.0でも、来栖嵐の歯に衣を着せない毒舌ぶりは健在。
     毒舌ながらも、転職希望者に現実を突きつけ、働くことについて否応なく考えさせてから、適した職に再就職させる手腕は確か。

     さらに、シェパード・キャリアに転職の天使様こと天間聖司がやってきた。来栖とは反対に、手取り足取り丁寧に世話を焼き、紹介先の企業で一日職場体験までしてくる過保護ぶり。
     個性豊かな仲間に囲まれて、千晴はキャリアアドバイザーの仕事に向き合っていく。

     ◇

     自分の仕事観について考えさせられた。
     働くことも大変だと感じるし、仕事との距離感を考えた。
     この小説の第四話「優等生は、社会に出たら気をつけないといけないんですよ」が自分にも刺さってしまった。
     真面目に努力すれば、できると評価される。けれどそれが当たり前になって次々と仕事の負担が増えてくる。できて当然の空気になって誰からも感謝されなくなる。ストレスだけが溜まっていく。
     なんか仕事してるとき辛かったなあって思い返してしまった。

     仕事について、考えさせてくれる作品でした。
     ドラマも楽しんで見ています。
     2.0に出てきた転職王子の話もあるとは。

    • naonaonao16gさん
      よぴ吉さん

      こんにちは!
      コメントでははじめましてかもしれません^^

      わたしもドラマ観てますー!
      面白いですよね!
      成田凌が美しくて、わ...
      よぴ吉さん

      こんにちは!
      コメントでははじめましてかもしれません^^

      わたしもドラマ観てますー!
      面白いですよね!
      成田凌が美しくて、わたしの担当が成田凌みたいなイケメンだったら仕事の紹介ぶっちぎりまくってずっと相談し続けたい!笑
      と、思いながら観ています爆
      2023/08/20
    • よぴ吉さん
      naonao16gさん

      こんにちは!
      コメントでははじめましてですね。
      いつもいいねをありがとうございます♪

      額賀澪先生の話...
      naonao16gさん

      こんにちは!
      コメントでははじめましてですね。
      いつもいいねをありがとうございます♪

      額賀澪先生の話は大好きで、小説が先だったんですけど、いざ映像化されると、成田凌さん美しい……となってしまいます。
      こんな人その辺の会社にはいないですよ〜笑
      小芝風花ちゃんの千晴もかわいい♪
      2023/08/22
    • naonaonao16gさん
      よぴ吉さん

      おはようございます!
      ご返信嬉しいです!!

      なるほど、もともと小説からだったんですね!
      原作好きだとドラマとか受け入れにくく...
      よぴ吉さん

      おはようございます!
      ご返信嬉しいです!!

      なるほど、もともと小説からだったんですね!
      原作好きだとドラマとか受け入れにくくないですか?

      成田凌はクールな中にも色気がだだ漏れており、どんな作品に出てても魅了されてしまいます、、
      最初は千晴ちゃん苦手だったんですが、回を重なるにつれ好きになっています!!
      2023/08/24
  • 転職の魔王様 第2弾。
    自分の仕事に対しての気持ちに折り合いをつけたりして何とかやっているが転職という言葉には強烈に惹かれている自分がいます。真摯に向き合ってない自分もいます。
    続きがあるといいなー。

  • 続編嬉しいです!

    天使の天間と言う魔王様と真逆のCAが仲間になり、ますます魅力的な会社になったシェパードキャリア。
    来栖の元同僚がヘッドハンティングをしにやってきて…

    社長と来栖の内緒の会議、来栖のヘッドハンティングなどハラハラしっぱなしでしたが、千晴にとってそれがCAとして大きな転機になるとは。しかも、くっつきそうでくっつかなかった来栖と千晴の微妙な距離感が少し縮んだ様で嬉しかったです。
    成長して東京へ戻った千晴にまた会いたいです。

  • いやー面白かった!!読み始めるとページをめくる手が止まらなくなりました。
    前回の巻ではお仕事観をびしばし刺激され、勉強になるなーと思っていたけど、今回の巻では読み終わった後、読んだ内容を活用したい、お仕事したい、と思いました。皆川さんのお話がかなりクリーンヒットしたからかも。わたしも来栖さんに言わせれば気持ちの悪い社畜なのかもしれない。

    また、今回の巻では主人公の環境が大きく動いてどきどきした。これ、続くよね??続き読みたい!ここに楽しみにしてる読者がいますよ!額賀先生!

    表紙に惹かれて購入したご本ですが、内容は勉強になるしとっても面白く、良い出会いをしたなと思いました。本文を書いているかたもそうですが、本当にご本のデザインをされてるかたにも頭が下がるばかりです。尊敬です。
    どうかどうか、続きをよろしくお願いします…!楽しみにしていますね!

  • 正論は耳が痛いという典型ですね。
    シリーズ第二弾です。
    テレビドラマ化で出たと思うけど面白いです。
    ドラマ原作は関係無いです。
    次が読みたいですね。

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著者プロフィール

1990年、茨城県生まれ。日本大学芸術学部卒業。2015年、「ウインドノーツ」(刊行時に『屋上のウインドノーツ』と改題)で第22回松本清張賞、同年、『ヒトリコ』で第16回小学館文庫小説賞を受賞する。著書に、『ラベンダーとソプラノ』『モノクロの夏に帰る』『弊社は買収されました!』『世界の美しさを思い知れ』『風は山から吹いている』『沖晴くんの涙を殺して』、「タスキメシ」シリーズなど。

「2023年 『転職の魔王様』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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