婚活食堂9 (PHP文芸文庫)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569903064

作品紹介・あらすじ

女将の恵がプロポーズされる!?
結婚を選ぶべきか、仕事を選ぶべきか……波瀾のシリーズ第9弾

四谷のしんみち通りにあるおでん屋「めぐみ食堂」の女将であり、元占い師の恵は、人と人とのご縁が見える。
常連客の友人で介護士の川添ありさは、十年越しの恋をなかなか終わらせることができずにいた。一方、恵は、初めて来店した社会福祉法人の経営者から心を寄せられるが……。
ヤムウンセン風サラダ、シラスと空豆のアヒージョ、ピリ辛トマトトッポギなど、新メニューも続々登場の人気シリーズ第9弾!
文庫書き下ろし。

目次
一皿目 縁は異なもの鯵なもの
二皿目 灼熱の恋はトッポギ色
三皿目 長すぎた春のクスクス
四皿目 困ったつぼ焼き
五皿目 愛と未練と梅和えと
『婚活食堂9』レシピ集

感想・レビュー・書評

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  •  元・人気占い師の玉坂恵が営むおでん屋「めぐみ食堂」を舞台にした婚活ヒューマンファンタジー。本巻はシリーズ9作目で、5話からなる連作短編集。 
              ◇
     5月のある日、口開けの客として暖簾をくぐって入ってきたのは、織部杏奈と麻生瑠央の2人。2人の華やかな出で立ちの理由を恵が尋ねたところ、友人の愛茉が結婚式を挙げたその帰りだという。
     彼女たちは元々4人グループで、かつてはイケメン実業家の藤原海斗を巡って鞘当てをした関係でもある。けれど外見や経済力だけに囚われずに、自分に合った愛し方ができる相手と出会い結ばれていく彼女たちを見て、心から祝福する恵だった。

     翌週の金曜日、沢口秀が友人2人を連れて来店した。どちらも美人だが、気の強そうな方は薬剤師の二本松楓、柔らかな雰囲気の方は介護士の山添ありさであると秀が紹介してくれた。
    聞けば、ありさには10年のつきあいになる恋人がいるのだが未だに結婚の話が出てこないという。秀と楓はそれを心配して、恵に鑑てもらおうとめぐみ食堂にありさを連れてきたとのことだった。話を聞いた恵は……。(第1話「一皿目 縁は異なもの鯵なもの」) 全5話。

          * * * * *

     本巻での中心になるのは介護士の山添ありさの婚活です。
    大学の先輩でTV局ディレクターの桐ヶ谷壮太と10年間交際してきたありさですが、未だにプロポーズされていません。
     ありさから水を向けても桐ヶ谷は煮えきらない返事しか返さない状態が続いているといいます。そんな不誠実なモラトリアム男との関係をどうするかが作品を通して描かれます。

     桐ヶ谷は超イケメンというわけでも男らしくグイグイ引っ張っていくというタイプでもないのですが、細やかな気遣いで意外によくモテる男性です。
    そんな男性がTV局というハデな世界に身をおいていると……。
     介護という地味な世界で堅実に仕事をこなすありさとは、どうしてもズレが生じていくものなのでしょうか。
     32歳になったありさの決断は ⁉

     桐ヶ谷に引きずられるだけだったありさの成長と自立を描く一方で、2つの淡い恋も挿入されます。

     その1つが、福祉事業家の名高が恵に一目惚れした挙げ句、正式にプロポーズしてきたという出来事です。
     育ちがよく真面目で誠実そうな名高に恵もまんざらでない様子ですが、結婚したらめぐみ食堂は閉じてほしいと名高に言われた恵は……。

     もう1つは、恵の後盾でもある真行寺の想いです。
     かつて真行寺の恋人だった朝香椿が銀座のクラブを閉め博多に帰ってしまいます。
     椿のクラブは客筋もよく盛況だったのですが、コロナ禍でかなりのダメージを受けていたため見切りをつけて郷里に帰ったということでした。
     別れて久しいはずの2人。ですが、椿が遠く離れたことで真行寺の気持ちに変化があったようで……。

     個人的には恵と真行寺の「おとなの恋」を期待しているので、 ( ともに自分の気持ちに気づいていない状態だと見ているのですが ) 早く自身の心を見つめ直してくれないものかと密かに思っています。

     さて、本巻ではさらにもうひと組、恋に発展しそうな常連さんの男女 ( この2人の恋はなかなかおもしろそうです )も登場していて、続編が楽しみでなりません。

  • 恵に結婚を申し込む人が現れたけど、話の流れ的に亡くなった奥さんに恵を重ねている気がしてましたが、やはり…
    めぐみ食堂は、辞めないで欲しいです。

    そして、介護士のありさはキッパリ10年付き合った彼氏と別れられて良かったです。絶対にあのまま付き合っても上手くいかないだろうなとは思いました。幸せになって欲しいです。

  • 今回は婚活食堂の恵自身の結婚?というとてもレアな話だったので今まで以上に楽しめました。登場人物が多くて、誰だっけ?と思うこともしばしばでしたが、相変わらず終わり良ければ全て良しの安定感で面白かったです。

  • 今回もお腹が空いた。新たな展開面白かった。

  • ツッコミどころ沢山ですが
    楽しめました。

  • お点前のシーンを読んでお茶室の雰囲気を思い出しました。懐かしい。茶事も全然行って無いです。

  • 登場人物が多くなってきて、以前の話を思い出したりしながら、読み進めました。
    でも、登場人物が増えるから飽きずに読めて、シリーズ化されていくんだろうな、と。次回のお話はどうなるのか楽しみです。
    支援している子どもたちの成長も気になります。

  • あっという間に読み終えた9シリーズ目。
    恵の恋の予感⁉︎
    と思いながらドキドキしつつ、いつもながらの美味しそうなお料理にお腹を空かせました。
    季節のお料理、国籍も色々になりますますレシピを読むのが楽しみに^^
    次回はどんなお料理が登場するのかな。

  • シリーズも第9弾になり、登場人物=常連さんが増えてきたけど、
    久々登場の人は説明があり、何とかギリギリ思い出せる‥私、記憶力がだんだんと落ちていってるから(涙)
    第3章の薬剤師さんの仕事の幅広さににびっくりした。
    お宅に伺って投薬の手伝いをしたり、壁掛けお薬カレンダーに薬を補充したりもするという。
    4章5章が特に面白かったな。ヒール役がいると物語が引き締まる。

  • 安定の面白さ。
    会話が多くて読みやすいし、恵さんの洞察力にも、脱帽。
    ありささんと、月島さんお似合い。
    気難しいお父さんも最後はええ人。
    どんだけ現役時代活躍してても、仕事辞めるともう人との関わりも無くなるんだなーと思うと毎日出社で色んな人と関わるの煩わしいけど、今だけだと思うと貴重なんだろうな。

    現役なんだから、人と関わるのめんどくさいとか思ってはいけないなと思いながら、ストレス。。めぐみ食堂行きたい

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著者プロフィール

1958年、東京都江戸川区生まれ。早稲田大学文学部卒業。松竹シナリオ研究所で学び、脚本家を目指し、プロットライターとして活動。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務しながら、小説の執筆に取り組む。2007年、『邪剣始末』で作家デビュー。2013年、『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞。その他の著書に「婚活食堂」「食堂のおばちゃん」「ゆうれい居酒屋」シリーズや、『風待心中』『ゆうれい居酒屋』『恋形見』『いつでも母と』、共著に『猿と猿回し』などがある。

「2023年 『婚活食堂9』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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