成長の技法 成長を止める七つの壁、壁を越える七つの技法 (PHP文庫)
- PHP研究所 (2022年8月2日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569902449
作品紹介・あらすじ
あなたは、さらに大きく成長していける。
本書は、永年にわたって、数多くのプロフェッショナルを育ててきた著者が語る、成長論の決定版。「なぜ優秀な人ほど、成長が壁に突き当たるのか?」「なぜ、『勉強ができる人』が『仕事ができない人』になってしまうのか?」など、ビジネスパーソンの成長を阻む、「七つの壁」を明らかにし、その壁を乗り越える具体的な技法を述べています。あなたの中の眠れる才能が目覚める1冊。
●「優秀」と言われる人ほど陥る「三つの落し穴」
●なぜ、いくら本を読んでも、仕事につながらないのか
●伸びる若手は「深夜」に成長する
●仕事の速い「器用な人」ほど、実は危ない
●「逆境」だけが「飛躍のチャンス」を与えてくれる、他
「私自身がマネジャーになり、経営者になって、部下や社員を預かるようになると、やはり、優れた資質を持っているにもかかわらず、成長が止まってしまう人材を、数多く見てきました。そうした部下や社員の姿を、永年見ていて、気がついたことは、優秀な人ほど、成長が壁に突き当たるという「逆説」でした。では、なぜ、優秀な人ほど、成長が壁に突き当たってしまうのか。なぜ、そうした「逆説」が起こるのか。そして、成長が壁に突き当たっていることに気がついたならば、どうすれば、さらなる成長に向かっていけるのか。これから、本書では、そのことを語っていきたいと思います」(本書「はじめに」より)
『なぜ、優秀な人ほど成長が止まるのか』を、加筆・再編集し、改題して、新たに出版。
感想・レビュー・書評
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「優秀な人ほど、成長が壁に突き当たる」という逆説
その原因を3つの落とし穴と、7つの壁として、それを乗り越えていくための方法である、7つの技法を論じたのがこの書です。
筆者の願いは、7つの技法を実践した結果として ①プロとしての成長 および ②人間としての成長を遂げ、
人としての可能性を十全に開花させ、人生を拓いてほしいというものです。
■出発点 学校でまなんだ専門知識は、企業の営業や企画の実務を進めていく上では全く役にたたなかった。
3つの落とし穴 学歴、実績、立場
<学歴>
①学歴的優秀さ=勉強ができる 論理的思考力+知識の習得力からできている
②職業的優秀さ=仕事がてきる 上記に加えて 高度な直観的判断力+智恵の習得力
つまり、プロは、論理的に判断する問題よりも、直感的に判断しなければならない問題に対応しなければならない
<実績>
山の中腹なのに山頂であると勘違いしてしまっている。⇒井の中の蛙、お山の大将になってしまう
無意識の慢心、小成に安んでしまう
<立場>
現在の自分に縛られて、新たな「立場」に自分をあわせ変化ができない。
対人的な能力の問題
この3つの落とし穴には、7つの壁があって、それを乗り越えるためには、それぞれ7つの技法がある
■第1の壁 学歴の壁 「優秀さ」の切り替えができない
第1の技法 棚卸しの技法 「経験」から掴んだ「智恵」を棚卸する
・知識は本から学べるが智恵は体験からでないと学ぶことができない
・洞察力、説明力、判断力、交渉力、聴取力、人間力などの極めて高度な能力が必要
・プロの3つの強み
①職業的智恵は、けっして古くならない
②職業的智恵は、業種や職種がかわっても役に立つ いわゆるつぶしがきく
③職業的智恵は、簡単に代替されない
■第2の壁 経験の壁 失敗を糧として「智恵」を掴めない
第2の技法 反省の技法 「直後」と「深夜」の追体験を励行する
●「直後の反省対話の技法」 直後に振り返り、反省をすること 技術、直後、仲間と共に、1つ1つのシーン、言葉にする
・智恵とは言語にできないもの
・「直後の反省対話」を習慣にすると、反省の視点がより深まる。技の働き⇒心の動きへ
●「深夜の反省日記の技法」 自分だけなので、赤裸々に書ける、自分の心を率直に見つめられる
・自分との対話:夜、深夜、一人、反省日記をつける
・優れたプロは、「技の成長」だけでなく「心の成長」も同時に遂げていく
■第3の壁 感情の壁 感情に支配され、他人の心が分からない
第3の技法 心理推察の技法 会議で、参加者の「心の動き」を深く読む
・ビジネスを動かしているのは、生々しい「感情」であることを理解する
・自分しか見えてない ⇒ 人の気持ちがわからない
・いくら本をよんでも、人の気持ちはわからない ⇒ 自分の心の動きを見つめること
・苦労どれだけしたか 苦労人だから、われわれの気持ちを理解してくれる⇔苦労知らずだから、人の気持ちがわからない
■第4の壁 我流の壁 「我流」に陥り、優れた人物から学べない
第4の技法 私淑の技法 「師」を見つけ、同じ部屋の空気を吸う
・仕事の基礎ができていない⇒基礎ができていれば、「安定感」「安心感」が見て取れる
・「基本的なこと」こそ、「人」からしか学べない 仕事の基本の心構えは、「師」から体得するしかない
・私淑の7つの心得
①優れたプロを見つけ、心の中で、「師」と仰ぐ あわせて 謙虚に誰からも学ぼうという姿勢 「我以外、皆、我が師」
②師の「すべて」ではなく、「優れた一芸」を学ぶ どのノウハウを学ぶのか、また、師を好きになる
③心を動かされたことだけを学ぶ 修得ではなく、感得する、共感する
④「自分」を見つけるために、師を徹底的にまねる そして、まねできないものは何かを知る
⑤個々の技ではなく「技の全体像」をつかむ
⑥同じ部屋の空気を吸い、別の顔からも学ぶ 技だけではなく、人柄や人間性も同時に深く学ぶ 背後にある人生観を学ぶ
⑦自分の心の中に、もっとも厳しい「師匠」を育てる 自戒の師を自らの中に育成する
■第5の壁 人格の壁 つねに「真面目」に仕事をしてしまう
第5の技法 自分の中に、「様々の自分」を育て使い分ける
・真面目は誉め言葉ではない ⇒ 優秀だけど、頭が固い、融通がきかない
・自分の中に様々な人格を育て上げ、その人格が場面に応じて、仕事をこなしていく
・性格に向いていない仕事などない。自分の中に「様々な自分」を育て、使い分けるという「多重人格」の技法である。
■第6の壁 エゴの壁 自分の「エゴ」が見えていない
第6の技法 自己観察の技法 「自分を見つめるもう一人の自分」を育てる
・エゴは向上心を生むが、しばしば成長の障害となる
・無理に「自分を捨てよう」とする必要はない。エゴを抑制しない
・ただ、静かに見つめること、肯定も否定もせず、ただ、静かに見つめる
・第2の壁の「深夜の反省日記の技法」を使う
■第7の壁 他責の壁 失敗の原因を「外」に求めてしまう
第7の技法 引き受けの技法 起こったトラブルの「意味」を深く考える
・成功体験がふえるほど、無意識に「責任転嫁」をしたくなる
・自分に直接的に責任があるか否かを問わず、すべて「自分に原因がある」「自分に責任がある」と受け止め、「自分の問題」として引き受け、その失敗やトラブルが起こったのか、自分にどこに問題があったのか、「意味」を深く考える
・「逆境感」 逆境とは大いなる何かが、我々を成長させようとして与えるものであり、我々の人生を導こうとして与えるものである。
・「逆境」だけが「飛躍のチャンス」を与えてくれる
・古来、「艱難、汝を玉とす」「若い頃の苦労は買ってでもせよ」など、人間が育つために大切なものであり、決して否定的なものではいと感がられてきました。
目次
はじめに 「七年遅れのランナー」の成長戦略
序話 なぜ、優秀な人ほど、成長が壁に突き当たるのか
第1話 学歴の壁 「優秀さ」の切り替えができない
第2話 経験の壁 失敗を糧として「智恵」を掴めない
第3話 感情の壁 感情に支配され、他人の心が分からない
第4話 我流の壁 「我流」に陥り、優れた人物から学べない
第5話 人格の壁 つねに「真面目」に仕事をしてしまう
第6話 エ ゴ の壁 自分の「エゴ」が見えていない
第7話 他責の壁 失敗の原因を「外」に求めてしまう
終話 あなたの成長には、まだ「その先」がある
謝辞
さらに学びを深めたい読者のために
ISBN:9784569902449
出版社:PHP研究所
判型:文庫
ページ数:288ページ
定価:820円(本体)
発行年月日:2022年08月15日第1版第1刷詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自分に非常に謙虚な1冊。7つの壁と技法をわきまえれば、まだまだ成長し続けられると感じた。
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成長するとは、他人にしてもらうではなく、本人しかできない。本人の気持ちしだいと思っている。自分が成長したい、と思ったときは、この本の七つの壁を知り、乗り越える能力を学べば良い。自分として、多重人格の話が印象に残り、一貫した人格にこだわらなくても、と思った。
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成長を止めてしまう七つの壁とそれを乗り越える七つの技法について論じた本。優秀さの切り替えができない学歴の壁がもっとも印象深かった。自分自身が学歴のない人間で、その中でなんとか高学歴の社会を生き抜くために知恵をつけてきた自負もあり、自分のやってきたことは間違えていなかった自信も持てた。今後他の壁にぶち当たることもあるだろうし、自分が気づいていないだけですでにそれらの壁に阻まれている可能性もある。何度も読み返して、その先の人生を拓く技法を身に付けたい。
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田坂先生の作品は何回読んでも、得るものはありますが、改題の場合はもう少しわかるようにして欲しいです。出版社の陰謀ですかね
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優秀な人が突き当たる7つの壁とそれを乗り越えるための7つの技法について紹介されている。
学歴的優秀さと職業的優秀さは違うという冒頭の話がすべてのような気がしていて知識と知恵の違いを理解して、言葉には言い表し難い知恵を修得することの大事さを説明している。
私もよく壁にぶちあたる人間だと思っているが、壁にぶちあたるのは成長している証なのだろうとも思えた。
引き受けの技法における、この世の全てが成長のための機会として天から与えられたものという感覚は意識しようと思った。
また、シンクロニシティの部分、出来事に意味付けをして自分ごとで捉えるという能力、ぼんやりと意識していたものがふと腹に落ちてきた気もした。
そして死生観を持って今日1日が最後の日だと思ったら人生が開かれていくというのが印象的だった。 -
1 どんな本?
仕事の高度な能力を身につけ、プロとして成長
していくための技法について語る本。何故成長が
壁にあ当たるのか?をテーマに成長の7つの技法
を紹介する実践書。
2 なんで読んだの?
(1) 成長したいから。
(2) 成長する方法を学びたい。
(3) 1〜3個具体的な方法を学んだ状態になりたい。
3 構 成
全8話270頁
7年遅れのランナーの著者の就労経験から始まり、
7つの技法を実践されるならば必ず次に歩むべき
道が見えてくる。その成長の道を通じて人生を切
り開いて頂きたい。各話に壁と技法を説明してい
て技法は取り組みに対する心得までセットで説明
している。
4 著者の問題提起
何故成長の壁に当たるのか?壁を越える方法は?
5 命題に至った理由
著者の就労経験で優秀な人ほど成長が止まって
いるから
6 著者の解
自己限定の心が壁を作っている。まずは7つの
技法から始め人生を拓いて欲しい。
7 重要な語句・文
(1) 三つの落とし穴
(2) 職業的な知恵(汎用性があり古くならない)
(3) 棚卸しの技法(明確な課題を持った反省)
(4) 反省対話(鮮度が命)技術〜人の心まで
(5) 反省日記(自分の心まで目を向ける)
(6) 全ての仕事は人の心の動きを感じる事から始
まる。
(7) 自己の負の感情を見つめる事が学びになる。
(8) 私淑の技法(師を持つ)
(9) 感得
(10) 人柄や人間性を学ぶ
(11) 多重人格の技法
(12) 自己観察の技法
(13) 引き受けの技法
(14) 自己限定
8 感 想
終話と6話に深く感銘を受けた。これが無けれ
ば星3つでした。
刺さったのは引き受けの技法。これが出来るよう
になれば人生は充実すると思う。逆境や不遇に感謝
出来るように意味を見出したい。
深く知りたい事も引き受けの技法。コレは著者
の書籍を2冊読まねばならない。楽しみだ。
人に勧めるなら多重人格の技法。向いてる仕事
など無い。新たな人格を形成するのだ。
図や絵は無かった。
タイトルの成長の技法通りだが抽象度が高いの
で深い理解には著者の他の書籍を読まねばならな
い。
9 TODO
(1) 引き受けの技法を学ぶ(2冊読む)
(2) 自己観察の技法の実践
(3) 反省対話と日記の習慣化
10 問 い
仕事とは?
11 答 え
感情の運用である。 -
具体的な内容で、大変勉強になった。あとは実践あるのみ!
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まず入りの数ページで激しく共感して吸い込まれる様な感覚を覚える。
成長を妨げる7つの壁について、各々何が問題で、どう解決すれば良いかが丁寧に分かりやすく書かれている。
田坂先生の他の本を読んだことある人は、時折聞き覚えのある話があるので被る部分はあるが、成長という軸の中で求めてる回答を得られる流れに本書はなっている。
これもまたタメになった。 -
成長を止めてしまう7つの壁は著書が言うには以下である。
・学歴の壁
・経験の壁
・感情の壁
・我流の壁
・人格の壁
・エゴの壁
・他責の壁
本書は上記7つの壁に関してそれがどのような壁で、それらを乗り越える技法はどのようなものがあるかを説明してくれている。
これらの壁は今で言うとそこまで壁になるのかと少し疑問に感じる。例えば学歴の壁に関して学歴が高いからといって仕事ができるわけではないことは誰でも理解している。(とは言えあの人は〇〇大学卒業なのにね…と揶揄されることもあるのは理解ができるが…)
一定の足切りとして学歴がある訳で、いわゆるお勉強ができたかどうかは仕事ができるかを判断するのにほぼほぼ関係ない。
更に言うと流れの早い現代において中学受験をし、エスカレーターで整った環境で勉強し、高学歴を得た人たちがどこまで社会と言う荒波に対処できるのか疑問を感じる。学歴が高くても混沌とした状況にもまれてなければすぐにメンタルがやられてしまう。そのメンタルの強さを持つことがすべての壁を突破していく一番の技法ではないかと感じる。
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ジャンル:スキルアップ・キャリア
出版社:PHP研究所 出版社ページへ
定価:902円(税込)
出版日:2022年08月15日
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田坂広志(たさか ひろし)
1951年生まれ。1974年、東京大学工学部卒業。1981年、東京大学大学院修了。工学博士(原子力工学)。同年、民間企業入社。1987年、米国シンクタンク、バテル記念研究所客員研究員。同年、米国パシフィック・ノースウェスト国立研究所客員研究員。1990年、日本総合研究所の設立に参画。10年間に、延べ702社とともに、20の異業種コンソーシアムを設立。ベンチャー企業育成と新事業開発を通じて民間主導による新産業創造に取り組む。取締役・創発戦略センター所長等を歴任。現在、同研究所フェロー。2000年、多摩大学大学院教授に就任。社会起業家論を開講。現名誉教授。同年、21世紀の知のパラダイム転換をめざすシンクタンク・ソフィアバンクを設立。代表に就任。2005年、米国ジャパン・ソサエティより、日米イノベーターに選ばれる。2008年、ダボス会議を主催する世界経済フォーラムのGlobal Agenda Councilのメンバーに就任。2009年より、TEDメンバーとして、毎年、TED会議に出席。2010年、ダライ・ラマ法王14世、デズモンド・ツツ元大主教、ムハマド・ユヌス博士、ミハイル・ゴルバチョフ元大統領ら、4人のノーベル平和賞受賞者が名誉会員を務める世界賢人会議・ブダペストクラブの日本代表に就任。2011年、東日本大震災と福島原発事故に伴い、内閣官房参与に就任。2013年、思想、ビジョン、志、戦略、戦術、技術、人間力という「7つの知性」を垂直統合した「21世紀の変革リーダー」への成長をめざす場、「田坂塾」を開塾。現在、国内外から7300名を超える経営者やリーダーが集まっている。2021年、田坂広志の過去の著作や著書、講演や講話をアーカイブした「田坂塾大学」を開学。広く一般に公開している。著書は、国内外で100冊余。海外でも旺盛な出版・講演活動を行っている。
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flier要約
https://www.flierinc.com/summary/3178