最高の教養! 世界全史 「35の鍵」で流れを読み解く (PHP文庫)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569901039

作品紹介・あらすじ

中学・高校時代の世界史は、暗記することが多く、嫌いだった人もいるだろう。膨大な歴史事実ばかりが目の前にあると、全体が見えなくなり、興味が薄れてしまいがちだ。
しかし、世界史の道筋は単純化できる。従来の歴史の本とは違ってサクサク読める、映画フィルムを早送りしながら見ているような感覚で歴史を読めるように、という観点でまとめられたのが本書である。
「騎馬遊牧民がユーラシアの時代を生み出す」「国民国家はアメリカの独立戦争から広まった」など、現在につながる世界史の動きを、教科書とは違った視点で斬新に描きだす。
「35の鍵」で歴史の動きがサクッとわかり、「歴史の読み方」で現代から見た意味・着眼点が理解でき、「トピックス」で事件・時代の背景がつかめる。さらに、巻頭や本文にあるさまざまな図表が理解の助けとなる。
『世界全史』を改題し加筆した、最高の基礎教養が身につく痛快おもしろ講義!

感想・レビュー・書評

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  • 文明が生まれてから現在のコロナまでのながれを一気に掴める世界の歴史縦断書。
    知らない事も案外載っていて面白かった。
    教科書みたいだが、教科書では書けない本。

  • 学生時代は日本史専攻でほとんど世界史の授業は聞いていなかった。
    世界史の流れを見ることで、こういうつながりがあったんだ、だから今こうなってるのか、という思いになった。
    何度か読み返して理解を深めたい

  • 半分の所で挫折した者の一意見です。

    本書冒頭に「従来の歴史の本とは違ってサクサク読める」と書いてありました。
    これを私は、"あまり詳しくない私のような人にも"という意味で解釈しました。
    しかし実際には"歴史に素養がある方に"という意味合いだったんだと感じざるを得ませんでした。

    ということで、歴史に疎い目線からして星2としました。

    (初心者向けの歴史本で勉強してから再トライしたい!)

  • 遊牧騎馬民族が世界史に大きく影響したこと、大航海時代の急速な世界の広がり、大西洋が中心となって起こった資本主義、学生時代とは違う視点で世界史のつながりを読み進めていけた。

  • 古代から直近(2020年頃まで)の世界史を俯瞰している。

    もちろん、この1冊だけで世界史を網羅できるわけではないが、大まかな流れをつかむことはできるのではないか。

  • やっぱり最後は教科書みたいだった。

  • 今から40年程前に受けた世界史や日本史の授業を思い起こすと、真面目に受けていなかったせいもあると思いますが、文明毎、時代毎で分断されていたイメージが強く、その間の繋がりが理解できていなかったと感じています。

    成績を決める定期考査を乗り切るための勉強をしていなかった私は、特に世界史は興味を持てなかったのですが、最近になって「通史」というジャンルがあり、多くの解説本が出ていることを知って興味を持つ様になりました。

    この文庫本は500ページを超える大部な本で、令和3年の節分あたりから読み始めて、誕生日である3月末頃に読み終えた本ですが、世界の四大文明から始まって、それから現代に至るまで通しで解説されています。この本を呼んで、つくづく歴史は繋がっているのだと実感できました。

    以下は気になったポイントです。

    ・一般の人々が知っておくべき歴史は、専門家を育成するための内容ではなく受験にも関係ない、歴史の道筋と、ダイナミックな変化、それらが現代の世界に及ぼしている影響、そしてこうした事実を知った上で、これから世界がどう動いていくかを予測する力をつけることである(p39)

    ・殷(古代中国)では、10個の太陽(甲、乙、丙。。)が一日交替で大地を照らすと考えられていて、殷王はそれらの太陽神の子孫とされた。太陽が一巡する10日間が生活の単位とされて「旬」とされた。これを「十干」とされたが、後に西アジアから伝えられた「十二支」と組み合わされて、時間・方角を表す「干支」となった。暦は十干を十二支の最小公倍数である60を基準にして作られた(p77)

    ・主な古代帝国は、西から順に、ローマ帝国・アケメネス朝(ペルシア帝国)・マウリヤ超・秦帝国となる、古いのは前6世紀から前4世紀までのアケメネス朝であり、ペルシア人がエジプト、メソポタミア、インダスを征服し、イラン高原、小アジアを含む地域に成立させた、ギリシア北境のマケドニアのアレクサンドロス大王により滅ぼされた(p99)

    ・アテネが諸ポリスを高圧的に支配する様になると、一部のポリスはスパルタの下にペロポネソス同盟を結んで対抗、前5世紀後半、アテネとスパルタの間でポリスを二分する、ペロポネソス戦争が行われた。アテネが敗北してギリシアは衰退に向かう。ギリシア諸ポリスはマケドニアに制圧された(p116)

    ・ローマ帝国は、それ以上に征服、収奪できる土地が無くなった時に衰退期を迎える、衰退は内紛、内乱を伴う。混乱状態となる中で、救いのない奴隷、貧民の間に野火のごとく「キリスト教」が広がっていく(p126)ローマ帝国のコンスタンティヌス帝は、325年にローマ帝国各地から300人の司教を集めてニケーアで公会議を開催し、イエスを神とするアタナシウス派(神・キリスト・聖霊を1つとする三位一体説)を正統とし、イエスを人間とするアリウス派を異端とする決定をした。ローマ帝国はアタナシウス派と結びついた(p128)392年にはテオドシウス帝はキリスト教を国教とし、他の宗教を禁止した(p129)

    ・6世紀のユスティヌス帝は一時ゲルマン諸族を征服し、地中海周辺の旧ローマ帝国領の回復に成功したが、6世紀中頃にペストがコンスタンティノープルまで伝播、人口の約半分が死亡し、地中海統一の野望は果たせなかった。(p131)

    ・インドでは白人の遊牧民アーリア人は、インダス文明の担い手の、ドラヴィダ人(現タミル人)を征服し、人種・民族差別を体制化した(バラモン、クシャトリア、ヴァイシャ、シュードラ)カーストと呼ばれる身分秩序は血統を意味するポルトガルに由来する呼び方、古代インドでは「ヴァルナ」(色)を意味して、肌の違いによる身分制度であった(p133)

    ・鮮卑人の拓跋部族は、北魏から、西魏、北周、隋を経て唐の貴族へと引き継がれ、10世紀初頭に唐が倒されるまで400年間以上続いた、五胡の新入以後の王朝はほとんどが遊牧系となり、農民の帝国は、宋・明のみである(p157)

    ・儒教では親からもらった身体を傷つける武人が「孝」に反するとして卑しまれた、その上に軍閥の節度使(雇われた兵=募兵を監視する中央から派遣された役人)も官僚として体面を保ったために、部下の武人との関係は私的なものとし一代限りであった。日本のように私的な主従関係が世襲化され、武人が「武士」として階層化され、土地の所有権が世襲される封建制度は育たなかった(p161)

    ・キリスト教世界もペスト感染のリスクが高い地中海からリスクの低いアルプス以北に中心を移動させ、800年教皇レオ三世によるフランク王国のカール大帝への加冠(476年から中絶)(p184)で、ガリア地方に西ローマ帝国が復興されたとされる。ペストはササン朝ペルシアも弱体化させた(p182)地中海周辺から勢力を後退させたローマ教会は、フランク王国と提携し、新たな中心を築こうとした。教皇と皇帝からなる後の西ヨーロッパ世界の形成は、イスラム勢力による古代地中海世界の解体の余波と見なすことができる(p183)

    ・カール大帝は征服民にキリスト教への改宗を命じてキリスト教世界の拡大に尽力した。ゲルマン世界の分割相続制によりフランク王国は、843年のヴェルダン条約、870年のメルセン条約で、現在のフランス(西フランク王国)、ドイツ(東フランク王国)、イタリア(イタリア王国)に分かれた。東フランク王国のオットー一世が962年に新たに教皇から加冠されて、神聖ローマ帝国(再建されたローマ帝国)の初代皇帝になり、ナポレオンにより解体される1806年まで続く(p186)

    ・アラブ人の征服王朝(ウマイヤ朝)は、イスラム教徒を対等に扱うイスラム帝国へ変質し(アッバース革命)アラブ人とペルシア人との提携が進んだ。これによりイスラム帝国の中心をシリアからイラク(バクダットの建設)に移して、ペルシア人との共治体制を打ち立てた。そしてイラン高原からアフガニスタンを経て中央アジアに至る陸上の交易圏(シルクロード)、ペルシア湾と繋がるインド洋交易圏が、新たに地中海・西アジアの伝統的商業圏と結びついた、これはユーラシア規模のイスラム商圏の出現である(p190)

    ・火薬を使う大砲は欧州で急速に広まり、重装備の騎士による個人戦という中世欧州の戦闘法が大きく変化して騎士が没落した、そして大砲を小型化した鉄砲も登場し、これらが遊牧民によるユーラシア帝国の時代を終わらせることになった(p231)大砲の普及により城塞を補強しても地方領主は身を守れなくなり、王権に依存するしかなくなった(p262)

    ・ティムールの死後、ユーラシア世界の分裂は決定的になり、東地中海のオスマン帝国、イラン高原のサファヴィー朝、インドのムガル帝国、東アジアの明帝国の四大帝国が分立することになった(p236)そして、清帝国とロシア帝国の二大帝国が、モンゴル人・トルコ人を圧倒して中央アジアを東西に二分することになった(p238)ティムール帝国を引き継いだのが、北インドで再建されたトルコ系のモンゴル帝国=ムガル帝國を建てた(p239)

    ・オスマン帝国の領域は、地中海、黒海、カスピ海、紅海、ペルシア湾の5つの海に接していて、大商業圏と結びついていた(p244)

    ・欧州にアジア商品の販路を持たないポルトガルは、フランドル地方のアントワープにアジアから直送された商品を持ち込み、欧州各地の商人に売り捌いた。この結果、従来のイタリア諸都市から北大西洋沿岸に欧州経済の中心が移動した、これが商業革命である(p186)マゼランの後を引き継いだエルカーノは太平洋横断航海において命を落とした、太平洋は広すぎて欧州から商業用に利用できないことが明らかになった(p299)

    ・宗教戦争の時代になると神聖ローマ帝国は形骸化し、宗教戦争、三十年戦争の講和条約「ウェストファリア条約1648)」で国王の主権が認められて主権国家が一般的になった、その後に市民革命で国王を倒して議会が定めた法により国家が収められる「国民国家」が登場することになった(p320)

    ・17世紀にロンドンのコーヒーハウスは3000軒にもなった、オランダ商人はジャワ島、セイロン島でコーヒー栽培をして市場独占を図った、価格競争で敗れたイギリス東インド会社は、コーヒーを紅茶に切り替えざるを得なくなった。(p344)清で生産された茶葉にカリブ海の砂糖を入れて、清の磁器のカップに入れて飲むという喫茶スタイルを作り出した(p344)

    ・黒人奴隷の輸送量からして、イギリスなどの奴隷商人があげた利益は計り知れない、その膨大な富がイギリス経済を飛躍させるエネルギーになった。18世紀には、イギリス・北アメリカのイギリス植民地、カリブ海域の間にも、イギリス植民地から食糧、木材を西インド諸島に運んで砂糖や糖蜜を購入、ラム酒を欧州で売り、工業製品を購入するという第二の三角貿易が展開された、ただしブラジルに向けた奴隷貿易は一貫してポルトガル商人がリードしていた(p347)

    ・アメリカの独立戦争では、イギリスの弱体化を狙うフランス、オランダなどの軍事支援もあり植民地軍は、1781年のヨークタウンの戦いで勝利し、83年にパリ条約で独立が承認された、87年には憲法選定、89年にはワシントンが初代大統領に就任した(p371)

    ・太平天国の乱の終わった北京条約(1860)では、天津などの11港の開港のほか、外国公使の北京駐在が認められた。清は天下を支配する帝国から、並の国家への移行を迫られ、外務省に当たる総理各国事務衛門が創設された(p402)

    ・1860年に共和党のリンカーンが16代大統領に当選すると、南部7州は連邦を離脱して1861年に第二の合衆国(アメリカ連合国)を結成した、しかしリンカーンは離脱を認めなかったので、南北戦争が始まった。南部7州の後に4州が加わった南部11州と連邦側の23州の戦いである(p425)

    ・農民からの強制的な食糧徴収で危機を乗り越えた革命政府は、1922年にロシア、ウクライナ、ザカフカス、白ロシア(ベルラーシ)の4つの社会主義共和国からなる、ソヴィエト社会主義共和国連邦を成立させた(p448)

    ・第一次世界大戦後、ドイツへの報復とロシアの敵視に基づく欧州の新秩序が「ヴェルサイユ体制」である、ウィルソン大統領の14箇条に含まれる民族自決の法則は、アジア・アフリカの植民地には適用されず、ドイツ・オーストリア・ロシアの3大帝国が崩壊した後の東ヨーロッパのみに生かされた。(p454)

    2021年5月2日作成

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著者プロフィール

1942年,東京生まれ.東京教育大学文学部史学科卒業.
都立三田高等学校,九段高等学校,筑波大学附属高等学校教諭(世界史担当),筑波大学講師(常勤)などを経て,現在は北海道教育大学教育学部教授.
1975年から1988年までNHK高校講座「世界史」(ラジオ・TV)常勤講師.

「2005年 『ハイパワー世界史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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