- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569854861
作品紹介・あらすじ
人はなぜ争うのか――禁教下での最後の日本人司祭・マンショ小西を軸に、迫害する側、される側、双方について描いた圧巻の歴史小説。
感想・レビュー・書評
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「熱源」で、直木賞を受賞した川越宗一さんの歴史小説です。
何が人々を島原の乱へと駆り立てたのか。
キリシタン大名小西行長の孫であり、禁教下最後の日本人司祭となる小西彦七(マンショ小西)の生涯を辿りながら物語は進んでゆきます。
限られた歴史の記録の行間をドラマチックに埋めるのがとても上手な作家さんだと思います。
こんな展開、まずなかっただろうな…。と思いながらも、もしかしたらと、歴史ロマンに浸れる1冊です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大絶賛します。こんな素晴らしい小説が読めて幸せ。
川越宗一さんの時代小説は、史実を基礎にしながらも大胆な解釈をほどこし、今を生きる私のこころにググッと突き刺さってくる。 -
小西マンショの半生を描いた歴史小説。
史実に基づいたネタをここ迄ドラマチックに書ける川越さんはやっぱり凄いです。昭和の大作家,吉村昭先生を彷彿させる1人ではないでしょうか。
読み応えのある1冊でした! -
すごいね
王道、オーソドックスな内容と思うが、
読み応えあり
終わったあと、
人の一生とは!?
と考えてしまう
最初の頃の青春時代を思い出すと
泣けてきちゃうよ
なんか歴史小説に甘いんですけど、
オススメ★5作品入りです -
直木賞作家・川越宗一氏によるキリシタンを題材にした最新作です。
キリシタン大名の小西行長の孫、小西マンショが主人公です。難しいことは考えない熱血タイプの少年漫画的な性格。地の文は硬いけど、彼のセリフは現代風で、読者を置いていかない工夫がなされていると思います。
主人公は実在するけれど幼少以降の消息が分かっていない、創作した話なのかな?と思いきや、読み終わって調べてみると、キリシタン関係者の残した数少ない資料に沿っていた事が分かり、こんなヨーロッパまで股にかける劇的な人生だったのかとびっくりしました。
幼馴染が朝鮮国出身の真面目で優秀な男の子で、彼の親が小西行長に朝鮮出兵の際に連れてこられたという設定がツボでした。
こちらは創作した人物かと思いますが、実際に小西行長は朝鮮出兵の際に朝鮮国から「ジュリアおたあ」を養女に迎えている史実もありますし、実際他にも捕虜を連れ帰ったのも本当だと思いますから、粋な設定だと思います。
去年話題になった某新宗教の元二世という立場から読みました。
脇役の女性で、既に棄教したのに迫害が酷くなる過程で逆に立ち返り(再入信)してしまう登場人物がいるのですが、「自分のことか!?」と思ってしまいました。
実際、去年のあまりのバッシングの酷さに、十数年連絡を取っていなかったかつての仲間にうっかり連絡を取ってしまった私には痛いほど分かる心理でした。
キリシタンを取り締まる幕府側である井上政重ももう一人の主人公と言って良いのではないかな。この多数の視点で描くのがこの著書の真骨頂だと思います。キリシタンを庇うだけでなく、彼らのくだらない宗派争いや権力争い、寺や神社を焼く独りよがりな姿勢などもきちんと描いているので、その視点も大事だと思いました。
新作だから高かったけど、信仰や迫害というのは私自身は幼少から身近にあったテーマなので、これはお金出して買ってよかったなと思いました。
いやそれにしても、少し前に「大名倒産」を読んだばかりたったから(ちょうど映画化して公開されたタイミングの作品です)、同じ江戸時代でもここまで違うかと苦笑してしまいました。大名とか旗本とかその辺りの知識は大名倒産を読んでいたのでなんとかついていけました。
歴史好きの方々には、そこはハードルにならないのか(笑) -
秀吉の世の終わりのキリシタン弾圧から江戸時代初期のキリスト教禁教が発せられた中、実在した禁教時代の最後の邦人司祭と言われる小西マンショと、禁教の遂行者としてのキリシタン奉行、井上正重という2人の対象的な存在を中心に物語は進む。様々な立場、人種、考え方の人々の人生を多層的に描きながら、事実を交えつつその過程を上等のフィクションを積み上げ、一つの物語に昇華させていく川越宗一氏得意の構成だが、今回は歴史的な知識としても多少はあり、終わりが見えていただけに、途中からどうやって落とし込むのかという目線になってしまい、素直に物語を楽しめない部分はあった。
しかし、小西マンショと井上正重という二極的な存在を、物語として最後に結びつけて盛り上げてくれたのはさすが。 -
川越宗一さんの作品は直木賞受の熱源以来、発売の度に楽しみにして、楽しく読ませて頂いています。ただ他の作者の作品に比べるといつもすんなり読み進まず読了まで時間がかかる…なんだろうと考えながら今回も読んでいたが、作者が作品に対して真摯に向き合いすぎて余白がないと言うか、ユーモアがないと言うかこんなことが理由かなと感じた。
題材が歴史小説で重たいテーマを選んでいることもあると思うがそれにしても読者にもそれを問われているような重圧があります。
今回の作品も生き方を問う難しいテーマだったが、読了後に読み切ったと言う爽快感と読み疲れたと言う消耗感があった。もう少し読書に余白あるストーリーだともっと読者層が広がるかなと思いました。 -
江戸時代のキリスト教徒の話は、遠藤周作さんの沈黙で初めて読みました。いつも、人の残酷さに悲しく辛い思いがします。