- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569849867
作品紹介・あらすじ
日本を代表する戦国期武田三代の研究者が、その波乱の歴史を語る。武田信虎は1507年、国衆が周囲に割拠し、しかも今川・伊勢・諏方氏と敵対関係に陥っている状況で武田惣領家を受け継いだ。その後、信虎はいかに甲斐統一、また首都甲府の建設を成し遂げたのか。その信虎を追放し家督を継いだ信玄は、武田家の版図を信濃、飛騨、駿河にも広げ、晩年には足利義昭・織田信長・上杉謙信を驚倒させる外交戦略をとって信長と対峙する道を選ぶ。信玄が打倒信長にこだわった理由とは。しかしその直後信玄は急死し、諏方神(すわじん)氏を称していた勝頼が跡を継ぐ。長篠の戦いのあと、一時は信玄を超える最大の版図を得たのにもかかわらず、勝頼はなぜ最後の武田家当主となったのか。
信玄があのタイミングで信虎を追放した理由、長篠の戦いの真の敗因なども、最新の研究成果を踏まえて明快に解説。源義光の子孫である甲斐源氏の家宝「御旗・楯無(鎧)」を代々受けついだ名門武田家の実像に迫る。
感想・レビュー・書評
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武田家の興りから滅亡までの通史。
初学者の私でも全体の流れを掴むことはできたが、いかんせん登場人物や知らない地名が多くてなかなか苦労した。
他の著作でやっているとのことであるが、図面等があるとより一層理解が進んだように思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
武田信虎 信玄 勝頼 三代の歴史がよくわかった
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kindle unlimitedにあったので読み始めたのですが、紙の本で400ページ超あったのですね。どおりで読むのに時間がかかったわけで。電子書籍は気軽ですがボリュームが見えなくなるのが問題です。
信虎追放と気候との関係はあまり以前に聞いたことが無いですが良い考察だなと。あと信玄の時期に領土が拡張したのは略奪も目当てと、ちょっと信玄像が変わるなぁと思いました。確かに甲斐だけだと25万石しかないので戦国大名としては小さいとは思ってましたが……。 -
武田信虎、信玄、勝頼ともに誠実ではない印象であり、それが原因で滅ぶべきして滅んだ
名門で強大な三代の歴史が時系列に重要事項と共に著述された戦国通史であり、文学的な悲哀もある(滅びの美学)
説明も詳細で出兵・和睦と政治史としても戦記物としても基礎となる(特に川中島五回も詳述)
長篠の戦いもテレビで紹介された最新研究(玉の分析)がより分かり易くあり令和の常識を一足先に得た気分
歴史好きでも武田勝頼長篠の戦までしか押さえていないから勝頼が武田家最大版図を達成した直後にあっけなく滅びるのは、人材を失いながらも無理を重ねて利益に走る行為が覇者としての資格を失った証拠に思えて仕方がない(´・ω・`) -
武田三代の事績について、最新の実証研究が盛り込まれている。武田氏の戦国大名化から滅亡までのダイナミックな歴史が追える。特に信虎期の天災の連続が追放につながった点が興味深い。
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武田氏の歴史と言ってもここまで一つひとつの事実を積み重ねた具体的な歴史を、新書のボリュームで読めると思っていなかった。戦いの淡々とした記述が、かえって戦国時代で生き残ることがいかに厳しいことなのか感じさせた。
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信玄と信長の決裂の過程がわかって、たいへん面白かった。
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武田信虎・信玄・勝頼三代の事績を追う一冊。信虎に関しては中世武士選書のダイジェスト版といった感じ。勝頼も角川選書の内容とかなり被るが、鉛の化学分析を踏まえた長篠の戦い考察は興味深かった。戦国時代の武田氏を通覧するのに便利な内容。
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これほどの版図を誇った武田氏があっけなく滅びたプロセスが分かりやすく書かれている。高天神城の陥落が大きなきっかけになったらしいが、勝頼の権力背景が弱いことや、人材不足が滅亡の真の原因なのだろう。
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信虎から勝頼までの武田三代の最新研究に基づいた通史。
今までは何となく、信虎ってこんな人って思っていたけど、研究も進んで時代背景も分かってきたことで、イメージだけではなく、より人物像がくっきりしてきた感じがする。それぞれが時代や環境に翻弄されている。
それにしても、思った以上に、調略や和睦・同盟(勝頼は毛利とも結んでいる)がされていて驚いた。