NATOの教訓 世界最強の軍事同盟と日本が手を結んだら (PHP新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569849362

作品紹介・あらすじ

ソ連を崩壊させ、ヨーロッパで「平和な期間の史上最長記録」を更新中のNATO(北大西洋条約機構)。日本が学ぶべき歴史と秘密。

感想・レビュー・書評

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  • NATOの状況を説明し、そして他国に侵略されないために、日本が自立して軍事を増強しようと主張する。
    一部の政治家を取り上げ、日本はトランプ幻想・プーチン妄想だと指摘しているが、短絡すぎてそれには賛成できないが、部分的には納得いく内容だった。
    特にTPPを活かしてNATOのような太平洋条約機構を作れという案には驚かされた。

  • ウクライナ出身で日本とも関係の深い国際政治学者の、NATO論⇒日米安全保障論です。

    日米安全保障条約は軍事同盟であるが、必ずしも日本を支援してくれるかどうかはわからない
    日本を米国が支援してもらうためには、同盟国としての義務を果たさなければならない。
    それは、防衛費の倍増と再軍備だ。

    複雑かつ危険極まりない現代の世界において、危機はいつ、どこから起きるかはわからない。
    不測の事態は必ず起きる。有事にいち早く対応するためには、平時のうちに危機に備える必要がある。

    気になったことは以下です。

    ■NATOとは

    ・NATOとは、欧州における相互安全保障条約であり、NATO加盟国が侵攻されれば、NATOは必ず参戦する。
    ・ロシアはバルト三国に侵攻したくてもできない。バルト三国がNATOの加盟国だからである。

    ・ハンガリー動乱の時に、西側が派兵をしなったのは、スエズが関係している。NATOに加盟していない国を支援するかは
    西側は一枚板ではなく、状況による

    ・トルコのNATO加盟について
    ・ソ連・ロシアの脅威に対抗するためにトルコはどうしてもNATOに加盟したかった
    ・そのために、朝鮮戦争に派兵をし、多大な犠牲をこうむった。
    ・しかし、そのことが米国から、トルコのNATO加盟の提案をうけ、紆余曲折のすえ、NATOに加盟できた
    ・ロシアは、トルコに出していた領土の主張、海峡の通行権の要求も引き下げた。


    ■日本の国防に対する考え方

    ・吉田ドクトリンは、憲法第9条をタテにアメリカに軍事的な負担を押し付け、世界第2位の経済大国になった。
    ・日本の安全保障政策の基本は、日米同盟を基軸にした親米路線しかありえない。
    ・戦後日本は、親米路線をとっていないのに、親米だと思われている。
    ・日米同盟は軸といいながら、中露に対して、融和政策をとっている。
    ・日本の第一の脅威は中国であり、第二の脅威はロシア、第三の脅威は北朝鮮である。

    ・左翼は、「強い国よりやさしい社会」というスローガンを上げたが、強い国でなければ、やさしい社会は実現できない
    ・日本がアメリカとの同盟を解消すれば、日本の敵国である中国とロシアの属国になるしかない。
    ・ロシアはためらうことなく人を殺せる凶暴な侵略国家である。

    ・防衛費は、民主党政権時代の 0.99%から、安倍政権時代は、0.94%で対GDP比で減っている
    ・現自民党政権は、吉田ドクトリンを継承しており、国防の努力を怠っている。

    ■アメリカが日本を守らせる気にさせるには

    ・まずは、日本が国防のための努力をすること
    ・少なくともアメリカが諸同盟国に要求する防衛費の対GDP比2%の予算を実現し
    ・アメリカの地政学的な戦略に付き合う 必要がある

    ・たしかにアメリカは日本を守ってきた。きたが、それは、アメリカが自国の世界戦略の都合上行ったことで、日本が大事だかれではない。

    ・日本が襲われたら助けてもらえるかという議論は、そもそも助ける側のアメリカが日本を救う手段をもっているかを知ることから始めなければならない

    ・教訓;なぜアメリカはベトナムを見捨てたか
     ①北ベトナムが意外と強かったから
     ②南ベトナムの指導者層の質が悪かった
     ③アメリカ国内における反戦運動

    ・日本がアメリカに助けてもらうには、「大きな迷惑をかけない」、「大きな人的損害を伴う戦闘は自力で行う」を約束する必要がある

    ■レーガンとゴルバチョフ 東西冷戦の終焉

    ・ブレジネフとの対話は不可能だと核心したレーガンは、ソ連を追いつめる戦略を立てた
    ・軍拡競争の2つの側面 アメリカの軍事力の強化 そして ソ連の弱体化
    ・国境の頻繁の侵犯⇒レーガンは正気ではない⇒軍縮したくともできなくなった
    ・ワルシャワ条約機構最大のポーランドへのゆさぶり、連帯への支援
     ①バチカンルート ポーランド出身の教皇ヨハネパウロをつかったカトリックへの働きかけ
     ②CIAルート 100万ドルに及ぶ連帯へ経済援助
     ③スエーデンルート 連帯への通信機、印刷機の提供
     ④サウジルート 原油価格の下落による、ソ連経済の収入減
     ⑤NATOルート(1) パイプライン建設の妨害・阻止
     ⑥NATOルート(2) 西ヨーロッパにおける大規模演習の実施 ⇒ワルシャワ条約機構軍へのソ連の経済的援助が致命傷となった

    ■結論

    ・日本は少ない努力で世界有数の軍事大国になれる
    ・軍事大国になったら、弱いがゆえに、解決されない多くの問題を、強くなれば解決することができる
    ・日本の強国化を自由・民主主義諸国は歓迎する。
    ・日本は、自身、世界のために、強くなるしかない。

    目次

    まえがき
    第1章 世界最大の平和維持装置
    第2章 同盟における妄想と現実
    第3章 平和ボケするヨーロッパ諸国
    第4章 もし日本がNATOに入ったら
    あとがき
    主要参考文献

    ISBN:9784569849362
    出版社:PHP研究所
    判型:新書
    ページ数:344ページ
    定価:900円(本体)
    発行年月日:2022年04月26日第1版第3刷

  • 2022/04/24 amazon 765

  • グレンコさん2度目。ウクライナがこんな情勢だからこそ、日本人も危機感持って自国の平和について、真剣に考えなくちゃいけないと思う。

  • ロシア、中国は巧みに領土、勢力を拡大する。それを彼らは解放と呼ぶ。
    日本、環太平洋地域、ウクライナはNATOに加入すべき。そうすれば、平和は維持される。
    日本などの民主国家は常に独裁国家に侵略される危機があることを忘れてはならない。
    日本はNATOに入るなど動きを活発にすれば、もっと早く大国になることができる。

  • 著者のグレンコ・アンドリーさんの本は初めて読んだのですが、すごく日本語がしっかりしていて驚きました。プーチンの分析とかがすごくしっかりしていて、読んでて納得する部分が多かった。
    同時に、東欧の分析もしてくれてて東欧諸国が覚えられない私にはとても勉強になりました。
    最終章の「日本もNATOに…」のところは、確かに国連よりも魅力的だけど、こちらも領土を不法占拠されてる身だし、入れるのかな…とは思いましたが。

  • NATOについてだけではなく、よく知らなかった東ヨーロッパの国々の歴史についても学べる。ロシアのウクライナ侵攻後に読んだので、ここに書かれた警告の現実味が本当に身に染みた。


    反米保守はロシアやその指導者のプーチンに対して好意的な考え方を持っている。アメリカが憎いあまりに、そのアメリカと対立するロシアのことを好きになる、といった倒錯した思考構造ではないかと推測できるが、ロシアはためらうことなく人を殺せる凶暴な侵略国家である。(p71)

    日本は「中立のまやかし」に惑わされずに、自由民主主義陣営の国として外交を展開しなければならない。中国とロシアに配慮せず、2国に制裁や圧力をかける「中露包囲網」に参加すべきである。これが日本に与えられた唯一の、復活と繁栄の道である。(p98)

    何よりも「ロシアが提案する取引に乗ってはいけない」ということである。ロシアが取引を持ちかけた時は、必ず罠がある。ロシアは「約束を破るために約束をする国」。取引が一見、ウィン・ウィンに見えても、実際はロシアを優位にさせるための罠が潜んでいるのだ。(p231)

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著者プロフィール

グレンコ・アンドリー( Gurenko Andrii)
国際政治学者。1987年、ウクライナ・キーウ生まれ。2010年から11年まで早稲田大学に語学留学。同年、日本語能力検定試験1 級合格。12 年、キーウ国立大学日本語専攻卒業。13年、京都大学へ留学。19年、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程指導認定退学。アパ日本再興財団主催第9回「真の近現代史観」懸賞論文学生部門優秀賞(2016 年)。ウクライナ情勢、世界情勢について講演・執筆活動を行っている。著書に『日本を取り巻く無法国家のあしらい方』(育鵬社)、『プーチン幻想』『NATOの教訓』(以上PHP 新書)。

「2022年 『ロシアのウクライナ侵略で問われる日本の覚悟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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