- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569849133
作品紹介・あらすじ
ソーシャルビジネスしかやらない会社、ボーダレス・ジャパン。急成長を支える仕組みと、通常のビジネスとは全く異なる成功法則を紹介。
感想・レビュー・書評
-
ボーダレスジャパンの創業者の本。
ボーダレスジャパンが現在の形となるまでの過程が描かれており、創業者の強い思いや苦労しながら試行錯誤してきたことが伝わってくる内容。
非効率も含めて経済が動くようデザインしていくべき という言葉には心から共感した。
生まれた時よりも きれいな社会にして死んでいく
というモットーはとにかく格好よかった。
自分は実業家としては向いていない気がしているが、社会を良くするためには何ができるかを考えながら行動できる1人の人間になりたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
audiobook.jp の聴き放題プランにきていたので聴いてみた。
良い意味で、事前の予想をはるかに上回る内容。
若い企業家の著作というと、失礼ながら単なる自叙伝のようなものが多い。子ども時代のユニークなエピソードなど。
ところが、本書は徹底的にビジネスにフォーカスする。
社会起業家である筆者がどのように事業を起こしてきたか、どのようにグループ企業を拡大してきたか、とても詳細に描かれる。
ハーブ事業、パソコン修理事業など、具体的なエピソードが多く、読者を飽きさせない。
営利企業が利潤を追求するところで、社会企業は「世の中をよくすること」にフォーカスする。
それは持続可能なのかと疑ってしまうけれど、筆者曰く「それでも利益が出るように事業をデザインすればよい」。
理想論のようだけれど、本当に実現しているのだからすごい。
それはとても再現性の難しい偉業だと思える。けれど継承・横展開できているのは、グループ企業というカタチを取り、リーダー同士で協議・合議を行っているからだと本書では説明される。なるほど。
面白かった。社会起業を目指す人にとっては、教科書と言っても良いレベルの内容。 -
えええ、この会社も、あの会社も?ってなった…
ビジネスには疎いですが
なんかこの恩送りのシステムすごくないですか
自分には企業をするような才覚はないけど、
そんな人は正しい消費者であればよいというようなことが書いてあったので
これからも貴社のサービス利用させていただきます〜と思いました。 -
圧倒的な熱量。
思いと技術が伴い、実践し続ける著者の現在地点。
<ソーシャルビジネス・プランニングシート>
1ソーシャルコンセプト
◯現状
・誰のどんな課題か:対象者の直面するリアルな課題、地球環境問題のように対象者の「顔」が見えにくいものは、「問題を引き起こしているのは誰か、どんな産業、分野か」を定めていく
・これを引き起こしている原因にたどり着く、固定観念で考えない
→原因一つひとつに対処
◯理想
・社会問題を解決した先に実現したい「理想の姿」を描く
・「景色」として目に浮かぶ姿であること、変化した後の対象者の暮らしが鮮明にイメージできること
×現状の課題をひっくり返しただけ
◯HOW
・原因と対策が一対になる
◯シートの書き方
・因果関係をはっきりさせるため、1〜2文の文章で書く
×箇条書き
◯当事者ヒアリングのコツ
・行動を聞く「今の状況から抜け出すために具体的に何をしていますか?」
・当事者の置かれた状況、その課題が起こっている本質的な「原因」を掴むことに集中する
×「何があれば助かりますか?」いきなり解決策を探そうとしない
・自分なりの対策が見えてきたとき「あなたは参加しますか?」
×「いいと思いますか?」アイデアにNOはなかなか言わない
・最低でも10人に聞く
×アンケート調査はやらない。傾向しか掴めない
2制約条件
・対象者の顔をはっきり見た上で、ソーシャルコンセプトを損なわずにビジネスにするための条件を整理する
3ビジネスモデル
◯制約条件を満たすビジネスアイデアを考える
・商品・サービス:制約条件を満たすものは何か?
・顧客と課題:顧客は誰で、どんな課題を持っているのか?商品・サービスを利用することで何が解決できるのか?マーケットサイズは十分か?
・今ある選択肢との違い
・顧客ベネフィット
・価格/販売チャネル/プロモーション方法
◯ソーシャルインパクトを設定する(ソーシャルコンセプトの達成度合いを測るための指標となるもの)
<ビジネス立ち上げ後>
◯誕生期(ビジネスプラン承認から最初の3ヶ月)
・できるだけ早くビジネスを始めること、それだけを考える
◯ハイハイ期(事業開始から6ヶ月間)
・①ターゲット、②商品・サービス、③販売方法に関する勝ちシナリオを見つけるために、数多くの仮説と検証を繰り返す。実行のスピードが全て
・打ち手のアイデアが浮かばなければ周りの力を頼る
◯よちよち期(事業開始から7〜12ヶ月目までの6ヶ月間)
・適度な広告費用をかけながらボリュームを取りに行く段階
・オペレーション構築がこの時期の一番の課題
・一般社員はまだ採用しない
・2ヶ月連続単月黒字を目指す
→達成したら成長期へ
<ボーダレスグループの今後>
◯ソーシャルビジネス経済圏のコアとなる仕組み
・恩送り:社会を良くしたい人たちが集まって、事業資金をサポートし合う仕組み
・MM会議(マンスリー・マネジメント・ミーティング):起業家同士が集まって、お互いの経営課題を相談し合う場
・前月の打ち手/経営課題/原因/打ち手・アイデア/実行の数値目標・スケジュール
◯リーダーシップではなくエコシステムとしての仕組み
◯銀行、養成所、政治のソーシャルビジネス化
◯何もやらないよりはやったほうがいい。大きな問題が目の前にあるのに、困っている人がそこにいるのに、どうせ無理だ、理想論だと言う傍観者ではありたくない
◯生まれた時よりも、きれいな社会にして死んでいく -
胸が暑くなる。ハチドリのように。最後にこの本の収入は寄付しますってどこまで熱い男なんだ。
-
田口一成さんという人に直接お会いしたくなりました。
社会問題に取り組むという事がまずやるべき事なはずなのに、それ以外に取り組む方に価値を置かれている時代なのだと思います。
すごく難しい事に挑戦して、挫折して、中には命を絶ってしまう。よりも、
誰にでも出来る事から始めて、何かに繋がっていく事が社会問題に取り組む事なのかなと思いました。
この本をきっかけに色々な社会問題の現状を知りたいと思いました。 -
表紙にあった斎藤幸平の名を見て読む気が萎えた。「新進左翼系か?」と予防線を張ったら、それほど的外れな直観でもなかった。
https://sessendo.hatenablog.jp/entry/2022/05/22/175314 -
ビジネスモデルの作り方の本としても秀逸だが、どう生きていきたいかを考えるにも秀逸な本
-
こちらで書評を書きました。
https://www.rinen-mg.co.jp/web-rinentokeiei/entry-5094.html
「社会起業家のプラットフォーム」である「ボーダレスグループ」創業者の初著書。
ソーシャルビジネス入門としても上質だし、著者の志に胸打たれる。
「著者が創り出した仕組みが広がれば、世界が変わるかもしれない」というワクワク感がある。
また、それを創り出したことで、著者は歴史に名を遺すかもしれない。かのムハマド・ユヌスのように……。そんなことすら思わせる。 -
ソーシャルビジネスで注目される経営者がいる、とあるテレビ番組を見て、興味を持ったのですが、その経営者初の著書をようやく読むことができました。
様々な社会問題をビジネスの形で解決していく、それを世界各国で大きな実績を生んでいるということで、その背景など、興味が湧かないはずがありません。資本主義のあり方の問題を指摘し、自ら挑戦していく姿は、先日読了した「人真世の資本論」を実際に行っているという、すごい経営者であると感じます。
本書では、なぜこのような事業を行うことになったのか、立ち上げから軌道に乗るまでの苦労、現在の会社の仕組み、運営、ルール、事業の立ち上げなど、詳細に述べられており、物語としても、ビジネス書としても楽しむことができます。
事業を立ち上げるための、「ソーシャルコンセプト」(社会問題の「現状」と、その課題を解決することで実現したい「理想の姿」、さらに理想と現状のギャップを埋めるための「HOW」を定義したもの)の重要性を説き、独自指標である「ソーシャルインパクト」で評価する、このような考え方は、ソーシャルビジネスだけでなく、すべの仕事でも大切な考え方であると感じます。
さらに、このような事業がどんどん増えていくことはもちろんいいことですが、消費者である私たちの関わりが重要であることも指摘しています。
著者の熱い思いと、問題意識の高さに驚くと同時に、すべての人の行動に変化を促す見識に、強烈な印象が残るものであり、ぜひ多くの人に読んでいただきたい一冊です。
▼ビジネスが引き起こしてきた問題は、ビジネスが変わることで解決できる。今こそ、ビジネスの真の価値が問われる時です。
▼ソーシャルビジネスが取り扱うのは、「儲からない」とマーケットから放置されている社会問題です。たとえば、貧困、難民、過疎化、食品廃棄・・・。これらは見過ごすことのできない重大な問題ですが、儲かる分野ではないので誰も手を出そうとしません。こうしたマーケットから取り残されている社会問題にビジネスとして取り組むのがソーシャルビジネスなのです。
▼資本主義社会におけるビジネスの本質は、一言でいえば「効率の追求」です。ビジネスに携わる人ならご存じのように、商品の売値を上げるのは容易ではありませんから、普通は徹底した効率化でコストを下げて利益を確保しようとします。ビジネスとしては当たり前の行為かもしれませんが、みんなが効率を追求すればするほど、効率よく働けない人や地域がマーケットから取り残されていく。つまり、効率の追求という資本主義の基本原理が様々な社会問題を生んでいる、とも言えるのです。
▼僕たちは社会問題を解決するために事業をしているので、その目的を果たすために自分たちが追いかけるべき成果を明確にした独自の指標を持っています。それが、解決したい社会問題に対してどれだけインパクトを与えられたかを数値で表した「ソーシャルインパクト」です。
▼ソーシャルビジネスでは、「誰を助けたいのか」「誰のために事業をやるのか」をとことん突き詰めることが非常に重要です。(中略)彼らが直面する課題とその根本的な原因をしっかり把握する必要があります。彼らの本当の姿を理解しなければ、真の問題解決にならないからです。逆に、助けたい相手の実態をしっかりつかめていないと、「表面的にはいいことをやっているように見えても、実は問題の解決につながっていない」というようなことが起きてしまいます。
▼社会問題の原因に対する「対策」を忠実に体現した商品・サービスをつくり、それをビジネスモデルに落とし込んでいく。この順番でなければ、ピントの外れたビジネスモデルになってしまい、社会問題を解決する社会ソリューションにはなりません。
▼ソーシャルビジネスの役割は、より良い社会をつくるための新たな選択肢を消費者に提示することですが、一方で、その新たな選択肢を受け取る消費者がいなければ成立しません。つまり、提示する人も大切だけれど、受け取る人も大切。その両方の存在があってはじめて社会は良くなっていくのです。
<目次>
第1章 「社会問題を解決するビジネス」を次々と生み出す仕組み
第2章 この“仕組み”がどうやって生まれたのか。その実験の歴史
第3章 「社会問題を解決するビジネス」のつくり方
第4章 ビジネス立ち上げ後の「成功の秘訣」
終章 一人ひとりの小さなアクションで、世界は必ず良くなる