教師崩壊 先生の数が足りない、質も危ない (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569846859

作品紹介・あらすじ

新進気鋭の教育評論家が解き明かす「ティーチャー・クライシス」の真実とは? 日本の教師の知られざる窮状と、打開策を提言する一冊!

感想・レビュー・書評

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  • 公教育の現状をデータとファクトを用いてわかりやすく説明している名著。現職の方はもちろん教師を志す方や文科省に勤めている方もぜひ読んでいただきたい。

    本書は公教育におけるクライシスを
    「教師が足りない」
    「教育の質が危ない」
    「失われる先生の命」
    「学びを放棄する教師たち」
    「信頼されない教師たち」
    の5つに分類し、それに対する打開策を打ち出している。
    ①学校のシェイプアップ=教師の役割の縮小
    ②教育予算の増設 
    ③全国学力テストなどの無駄な教育施策の削減 
    を提唱している。

    特にフランスの教育インフラを参考にするのは非常に有意義なのではないかと感じた。「生徒指導専門員」は日本にも導入するべき職員だ。子供に関わる全ての仕事を教師にやらせるのではなく、他業種で分担していくことこそが教育改革につながるのではないだろうか。幸いにも教育業界は非常に人気のある業種の一つなので、労働環境が是正されれば自ずと求人倍率も上がるだろうし、生徒の主体性を促せる授業もできるだろう。

  • いま、日本の教師は危機的状況にある。
    年間5000人が精神疾患休職となる「死と隣り合わせの現場」で働き、
    その過酷な労働環境が「学ばない教師」「信頼されない教師」を生み出している。

    しかしその背景には、日本の教育の「構造的な大問題」がある、
    と全国の学校現場を渡り歩く著者は指摘する。

    そこで本書では、教師の現状をデータとファクトに基づき客観的に示し、
    実際に起きている5つの危機を「ティーチャーズ・クライシス」と題して解説。

    現在の危機的状況を脱し、豊かな教育を取り戻す方法についても提言した、
    これからの教育を考えるうえでの必読書!

    出身大学について言及したのは、あまり前例がないと思う。でも、教師の基礎学力不足はかねてから叫ばれており、現場でも実際困っている。どこまでOJTで底上げができるか。

  • 教師の労働条件が悲惨であるということは認識していたつもりであったが、ここまで酷いものだとは思わなかった。読了して真っ先に思ったことは、「日本国民全員が協力しないと、日本の教育は崩壊する」ということだ。文科省だけ頑張っても、教育委員会だけ頑張っても、現場の教師だけが頑張っても全く解決には向かわないということだ。当たり前であるが、教育は人間を育てるということである。その教育が狂ってしまったら、まともな人間が育つわけがない。まともな人間が育たなかったら国が滅ぶだろう。そして教育が狂ったことの弊害を被るのは我々全員なのである。これは大袈裟なことではないと思う。すべての人が当事者意識を持って教育について考える時が来たのではないだろうか。

  • 教育系コンサルタントが書いた、教員不足に関して問題提起をした本。なぜ教員が減っていて、何が問題なのか、教育現場のブラック化などなど、現代の学校と教員の問題について書く。現在問題とされていることについては概ね触れられている。現状を知るために、まず読むといい本。


    ——以下、Twitter(アドレスは、3/6以降)


    読了本。姉尾昌俊「教師崩壊 先生の数が足りない、質も危ない」 https://amzn.to/3uG0Dr1 教育現場で教員が足りない、その現状と問題点についてまとめた新書。著者は教育系コンサルタントでこの問題を扱う中教審の委員。現状を知る最初の1冊としておすすめ。 #hrw #book #2024b

  • 2023.1013
    教師のわたしは呼んでて辛かった
    転職しようかしら

  • 現在の教育、教員に関わる諸問題が浮き彫りになっている内容。まずは、文科省が変わってほしい!不要なテストや調査を学校に押し付けて仕事した気になるな!子どもを大切にすると言うのなら、教える側も大切にしてほしい。残業代を上げるとか、そういうことでは解決にならない。家庭の問題を学校に解決できるはずがない!学校はなんでも屋ではない!
    そして教師も、自ら学び楽しんで授業ができる環境を作っていくべき。
    そうしないと、日本の公教育は滅びてしまう。

  • タイトルに興味を持ち、購入しました。膨大なデータやファクトに基づいて、教師、学校を取り巻くさまざまな問題を分析し、そこで起きている5つの危機を、ティーチャーズクライシスと題して、解決策を提言しています。筆者は、教師の役割を縮小し、授業研究など、重要なことに時間を割くべきだと主張しています。特に興味深いのは、諸外国と日本における教師が担う業務のデータです。フランスでは、登下校の時間の見守り、欠席児童への連絡、休み時間の指導、部活動の指導は教師の役割ではなく、生活指導専門員が行っているということです。予算と人件費をかけ、教師には重要な仕事である授業研究に時間を割いてもらうという状況が見てとれます。また、筆者は、自身の提言には欠陥もあると言っています。大学での教員の養成、採用、育成について、詳しく触れていないところです。そういった謙虚さにも好感が持てました。学校教育に関心がある人におすすめです。

  • 教師の働く現状を考えるために読む。

    読んでみて、様々な教育の問題は相互に関連していて共通の課題を抱えていることが多い。

    つまり、このような教育関係の書籍を読み、知識や情報を増やしていくことは非常に大切なこと。

  • 今の日本の教育界の問題を具体的データをもとに分析し、制度などの提言をしてくださっている。とりあえず今ある学校組織の中で、職場のチームワークを高め、探究的な学び•プロジェクト型学習など、好奇心や創造性、問題解決力が高まっていく授業を目指す。
    学校現場を俯瞰できてよかった。

    ※メモ
    クライシス1 教師が足りない
    担任がいない、授業ができない、優秀な人が来ない

    クライシス2 教育の質が危ない
    読解力の低下、少ない公的資金、受け身の生徒の増加

    クライシス3 失われる先生の命
    長時間労働、うつ病の増加、死と隣り合わせの学校現場

    クライシス4 学びを放棄する教師たち
    理不尽な校則、画一的な指導、考えなくなった先生

    クライシス5 信頼されない教師たち
    多発する不祥事、失敗から学ばない学校、教育行政

    出口治明 「人は3つのことから学ぶ」人•本•旅
    安宅和人 「イシューからはじめよ」
    忖度する主体性 
    ミッシングリンク (チームワークの高める効果)

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著者プロフィール

教育研究家、合同会社ライフ&ワーク代表
野村総合研究所を経て、2016年から独立。全国各地の教育現場を訪れて講演、研修、コンサルティングなどを手がけている。学校業務改善アドバイザー、中教審「学校における働き方改革特別部会」など、国・自治体の委員も多数経験。

「2022年 『先生を、死なせない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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