天皇は本当にただの象徴に堕ちたのか 変わらぬ皇統の重み (PHP新書)
- PHP研究所 (2017年12月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569837284
作品紹介・あらすじ
「戦前は神権主義政治だった」という通説のウソを暴く! 帝国憲法から日本国憲法へ。「天皇と日本」のかたちを考察した問題提起の書。
感想・レビュー・書評
-
ちょっとくどい感じのする本だが、憲法の通説の検証を目的としているので、やむを得ないだろう。
法学を学んだ人間が必ず変な気分になる、八月革命説。
これが誤っていることを、大日本帝国憲法と日本国憲法の継続性を論証することで、明らかにする。
面白いというか、そうだよなあ、と思う。憲法学って、こういうどうでもいいことがすんげえ大事なんで、面白いというかくだらないというか。:
大体において、この言葉って、ぼくはこういう意味だと思うなあ、だからそうだとすると、こういう話になるんだよなあ。
とか。
ぼくはこう思うんだよなあ。だから、この言葉ってこういう意味じゃないとおかしいよなあ。
なんて話を真面目にやってる業界だから。
それに国が縛られてるのも事実で辛い。
仮に改憲とか新しい憲法を作るとして、こういう内容がいいですって研究してる憲法学者って、あんま知らない。
憲法っていう聖典を解釈する権利は我々にだけあるのだって、どこぞの宗教団体と変わらないから、改憲されると困るんだろうね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大日本帝国憲法と言えば天皇が権力を乱用していたという印象であったが、本書を読んで、日本国憲法の内閣の助言と承認があるように、帝国憲法下では大臣の輔弼無しに天皇自らの意思を国策に反映することはできないことを知り驚愕した。また、アメリカが原爆を投下することによって日本を降伏させたわけでなく、ポツダム宣言を巧みに利用し、原爆の威力を確認するため、その受諾を遅らせたように思われる内容にはなんとも言葉では言い表せない気持ちになった。
ちなみに、主に八月革命説を論破する内容であることから、非常に論理的に話が構成されていたところも本書の良点と言える。 -
内容が難しくて途中で挫折してしまった。
また改めて読みます。 -
小難しい内容で理解が広がってしまった絡んだ糸を、丁寧になるべく分かりやすく解いてくれます。
事前の知識がなくても、読了後のエピローグでそれまで読んできたことを納得させてもらいました。
左翼なのか、共産主義者なのか、学者のフリした活動家が、分かりづらく作り出した嘘(言い過ぎかな)を暴いていくのは大事な取組だと思いました。 -
東2法経図・開架 323.13A/Ta59t//K
-
いわゆる「8月革命」説についての詳細な検討。よくここまで詳しく検討したものだと、敬意を表する。
結論としては、坂本先生の「象徴天皇制度と日本の来歴」と同じと思う。参照する文献として挙がってないのが残念。 -
Youtubeの竹田恒泰チャンネルの大ファンなので番組で宣伝していたこの本を購入して読んでみた。法律の仕事をする人にとっては民法や刑法といった法律に実務的にはよく触れるが、憲法に触れるウエイトは低い。その憲法の中でもさらに日常的に関係ないのが天皇にたいするじょうぶんであり、これを研究する人は少ない。そのため、東大の先生が提唱した8月革命説とうい今上天皇を2代目とする説が学会の常識となっているという。その8月革命説の論理を綻ばせる論を述べているのが本書であるという。博士論文ということで、一読しただけでは十分に理解した上で武田先生の学説が正しいという自信はないが、この説が広まって、憲法学会の通説を覆していただけると、視聴者としては嬉しいと思う。