墨龍賦(ぼくりゅうふ)

著者 :
  • PHP研究所
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569832340

作品紹介・あらすじ

建仁寺の「雲龍図」を描いた男・海北友松。武士の子として、滅んだ実家の再興を夢見つつも、絵師として名を馳せた生涯を描く歴史長編。

感想・レビュー・書評

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  • 2年前に京都国立博物館に海北友松の特別展に行った時に、作品の完成した経緯や時代を勉強したつもりだったが、忘れかけていたので、この本を読んでまた興味が湧いてきた。図録を片手に読み進め、戦国時代の歴史に翻弄されながらも、自分の絵師としての感性と思いを表現する姿勢に心の強さを感じた。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      kurumicookiesさん
      いつも不思議に思うのが、乱世に(だからこそ?)侍から絵師になった人も結構いたみたいで、絵師の需要があっただ...
      kurumicookiesさん
      いつも不思議に思うのが、乱世に(だからこそ?)侍から絵師になった人も結構いたみたいで、絵師の需要があっただろうと思われるコト。
      長い年月を経て失われたモノも沢山あるでしょうけど、色々残っているコト。
      2020/10/12
    • kurumicookiesさん
      猫さん、お家を絶やすことがないように、乱世だからなんですね…
      長い年月の間にたくさん失われてきたことならあるにもかかわらず、昔のものが残って...
      猫さん、お家を絶やすことがないように、乱世だからなんですね…
      長い年月の間にたくさん失われてきたことならあるにもかかわらず、昔のものが残っていることに現代人の私たちはもっと感動をすべきだと思いました。

      猫さん、いつもDMありがとうございます。
      2020/10/12
  • 海北友松展を思い出しながら読みました。

  • この本を読む前に京都・建仁寺本坊方丈にある「雲竜図」その他を見てきた。
    かなりの迫力に圧倒された。
    この本を読んで、海北友松の作品の力強さの背景がよく理解できた。

    本書では、春日局、安国寺恵瓊、明智光秀、斎藤利三(明智光秀の家臣)、織田信長、豊臣秀吉、狩野永徳等々歴史上の著名人が次々と出てくる。最後は宮本武蔵まで登場したのには驚いた。
    Wikipediaで調べてみると、経歴・作品の詳細はあまりはっきりしないようだが、上記に名前を挙げた人物とは何らかの関係があったようだ。

    海北友松のような戦う武士というか不満や怒りのエネルギーに満ち満ちている人物は、葉室麟の作品としては、そぐわないような感じがしたし、あまり得意ではないような気がする。

  • 最近偶然だけど作品で明智光秀によく出会う。。。
    なかなか興味深い話でした。
    主人公はもちろん、恵瓊の生き方もなかなか興味深かった。
    初めての葉室麟さん作品
    あ、今年100冊目だ。

    2019.6.28
    100

  • 海北友松。狩野派。安国寺恵瓊。
    織田、毛利、豊臣ともリンク。
    最後少しだけ宮本武蔵。いらなかった。

  • 御朱印集めで寺社を巡るようになり、お寺や神社に関連する美術や宗教、歴史に携わった人たちの歴史に興味を持つようになりました。

    恥ずかしながら、海北友松という絵師の名前は知りませんでした。
    建仁寺の雲龍図を描いたという、その史実に興味を持ち本書を手に取りました。

    僕は戦国武将では織田信長が好きですが、立場が違えば織田信長も敵と映る…当然といえば当然のことですが、新鮮な視点でした。

    読み終わって思うのは、歴史の流れというマクロな視点と、海北友松の生き様を描くミクロな視点とが、とてもいい具合に絡み合っていて、戦国時代をトレースしながら海北友松の息遣いに触れることができ、ページをめくるにつれて興味を掻き立てられました。

    最後に少し触れられていますが、海北友松と宮本武蔵に縁があったことに驚くとともに、最後の最後まで歴史の面白さに浸ることができました。

  • 2018.4.5

  • 海北友松の絵が好きで手に取った本。
    信長、秀吉と歴史的に面白い時代に生きていた人物なので、時代背景だけでも楽しめます。

    葉室麟の作品は初めて読みましたが、かなり良かったと思います。

  • 2018.1.7.雲龍図で有名な絵師、海北友松を主人公に描かれた物語。海北友松の息子に春日局が語るという設定。昨年、春、海北友松展が開かれ、改めてみた雲龍図に驚き、是非読みたいと思ってようやくかなった。
    絵師の物語とはいうものの、浅井長政の家臣、海北善右衛門綱親の三男として生まれ当時の習い(戦で明日の命も分からぬ武門では一族の中からひとりを仏門に入れることがしばしば行われた)から東福寺に預けられた友松は還俗して武士になるという夢を持っており、物語の大半は当時の武士との交流が描かれていた。展覧会で説明されていたように明智光秀の家臣であった斎藤内蔵助との交流が詳しく描かれており、雲龍図のモデルは明智光秀と斎藤内蔵助との説にあの図がまた生き生きおもいだされた。また、安国寺恵瓊とは腐れ縁という感じだったが、建仁寺に友松が数々の襖絵を描いた所以もなるほどと思え、興味深かった。絵師の一生というより戦国武将を描いた歴史物という風情だったが面白く読めた。
    とても好きだった作者の葉室麟さんが亡くなられ、喪失感でいっぱいである。

  • 海北友松の話。海北家の次男に産まれたため、寺に出されて、武士になりたい、でも絵も好きだということで明智家の斎藤内蔵助との関わりのことがずらずらと友松の一生として、春日局が語ると言うことで物語が流れる。狩野元徳との関わりが濃厚で、その才能が認められ、下絵画家としても関わるが、自分の生きる道は水墨画と言うことで表紙にもあるような龍、風景を墨の濃淡だけで描き、それを現代まで残す。今京都の国宝展に来ているような、雪舟の様な水墨画を残したその力強さを表すような、一生。画家シリーズをここ1年ぐらい読んだが、やはり一番は等伯。先日の宗達とはどっこいどっこい。やはりあまり画家の一生についての文献が内ので、筆者の想像力によるが、あまりにも飛躍しすぎ、作り物過ぎも宜しくないけど、これはまあまあ。

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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