日本語の建築 (PHP新書)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569832036

作品紹介・あらすじ

日本を代表する建築家が、自身の代表的建築物を考察しながら、都市のあり方、地方再生、東北の復興を語る。建築を通した日本論。

感想・レビュー・書評

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  • キーワードは「グローバル経済」「『管理』の壁」。
    住む・使う人との対話や、その土地の歴史や文脈を大切にしながら空間を作っている、というお話。

    日本を代表する建築家の一人である伊東豊雄さん。学生時代には伊東さんの建築も見に行ったりしていた。
    大人になってからは、どちらかというと伊東さんのいう「管理」面を大事にする側に行ってしまったので、耳が痛い思いもしながら読んだ。こういう考え方で場所を作るひとが、もっと日本には必要だな、と思う。

    私の理解力が足りないんだろうとは思うけれど、言語的な話と建築がどうつながってくるのかはいまいちわからない。日本語の特徴としてあげられているポイントも、「それ、英語にもあるよな、、、」という点があったりして、なんとなく腑に落ちなかったり。
    学生の頃なら、もっともっと素直に読めたかな、と思う。

  • 日本語の持つ余白を活かした建築を作る。感覚を頼りに余韻や曖昧さを楽しむことができる。管理され均質化された社会だからこそ、自分自身の感性に基づいて生きること、楽しむことが大切だということかな。管理された会社の中が全てとなりがちだが、そうではなく、自分の感覚を頼りに会社以外(余白)も楽しむ。会社での出来事の余韻も楽しむ。そう生きることが人生を楽しむことなんだろう。ということが建築を通して見えてきたということかな。勉強になった。自分自身を均質化された生き方から、日本語的な生き方へと変換していきたい。

  • 地球、陸地、国、地域、町、家、住む人。

    機能や生産性だけに特化すると、
    住む人を抽象化し、必要な箇所だけ構築することになる。
    それは地球上のどこで通じるものかもしれないが、それだけでしかない。

    抽象化することができない個人の部分、
    これをお互いに認め合って生きていくことができるようにする、
    人が特化するのではなく自然に溶け込ませてもらう、
    それを実現するのが建築をはじめとする、
    人が作るもののあるべき姿なのかもしれない。

    (以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋)
    ○やはり「管理」ということなのです。本来であれば、こうやっても工期は延びないか、費用は上がらないかという質問をしてくる以前に、主催者として、自分たちも一緒にがんばりますよ、一緒に努力していいものをつくりましょう、という、前向きな姿勢があっても良かったはずです。それがまるで言質をとるような質問をしてくるということは、何か問題があった時に、自分たちは責任をとりたくない、とれない、ということの表れにほかなりません。(P.50)
    ○「ミニ・メディアテーク」などと言っても、その場所を必要としているお年寄りたちには、何のことだかさっぱり伝わらないでしょう。(P.66)
    ○しかし彼ら自身は、恐らく、地縁ができて、心地よいから行きたいと思うだけであって、何か「都会から逃げ出したい」「島で何かを成し遂げたい」など、強い動機をもって大三島にきているわけではないでしょう。(P.168)
    ○そのためには、ただ待つ、という時間も必要になります。この「待つ」という時間のなかで、徐々にこちらの考えに賛同してくれる人が一部に出てきて、じゃあ、耕作放棄地があるから使ってみたら、ということになってくるのです。(P.171)
    ○ここで絵を描くことができたことには、「くまもとアートポリス」がこれまで二十八年間にわたって続いてきた意義を感じました。(P.181)

  • 建築家は年齢を重ねると哲学者に変わっていく人が多い気がします。

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著者プロフィール

建築家。1941年生まれ。主な作品に「せんだいメディアテーク」「みんなの森 ぎふメディアコスモス」「台中国家歌劇院(台湾)」など。ヴェネチア・ビエンナーレ金獅子賞、王立英国建築家協会(RIBA)ロイヤルゴールドメダル、プリツカー建築賞など受賞。2011年に私塾「伊東建築塾」を設立。児童対象の建築スクールや、地方の島のまちづくりなど、これからのまちや建築を考える建築教育の場としてさまざまな活動を行っている。

「2017年 『冒険する建築』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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