モネとジャポニスム (PHP新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569829937

作品紹介・あらすじ

日本人が大好きな印象派の画家・モネの魅力に迫りつつ、現代の日本画がなぜ世界画になりえないのか、当事者の立場で語る日本文化論。

感想・レビュー・書評

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  • 日本画家の著者から見たモネ論。ジャポニスムの影響を受けたからこそ日本人は印象画にとても惹かれるのかもしれない。構図や色、モチーフなど当時西洋にはなかったものを取り入れようとしたモネ。
    今現在、西洋画に慣れ親しんだ私たちにとって日本画や浮世絵というのがとても新鮮に感じられる。空間の使い方、構図や独特なデフォルメ、色使い、当時の文化、日本画の素晴らしさに当時のモネのように今私たちにとっても再認識されていくように感じる。

  • 現代日本画家もオランジュリーの「睡蓮」の部屋に衝撃を受けた。画家の眼から見たモネの魅力。モネはまるでカメラで定点観測するように連作「積み藁」「ルーアン大聖堂」「ポプラ並木」「睡蓮」を描いた。モネは光を求めて戸外に出た。その色彩感は柔らかく優しく鮮やか。モネは色を混ぜて中間色を塗り重ねている。この手法は岩絵の具を使った日本語の手法に近いもの。ジヴェルニーのモネの池は浮世絵の中の江戸の遊女の手鏡という仮説は面白い。季節と自然を映す鏡。オランジュリーの睡蓮の部屋は屏風絵からヒントを得たという仮説も。

  • 途中からはほぼ斜めに読んだ。
    最初は面白そうだな、と思ったけど、続かず。
    画家としての独特のモネの見方があるのでは、と、期待したものの、もちろん、そういうものはあるけども、段々とジャポニスムとかの既存の価値観の言葉に引っ張られていく。そしてジャポニスムの使い方が荒くてちょっとそれは違う、というところもある。
    もちろん、絵描きなので、そういうところの精度はそんなに求めませんが、その中で、自分のモネ感を決して客観視はできてないんだな、とも思わされる。
    評価されるのはやはりその絵においてなのだろう。
    でも、その絵もあまり僕は好きではない。
    日本画というものを背負うことの違和感は、日本人が西洋画にこだわることの違和感と同じ。
    日本画、洋画という感覚がそこにある限り、コンテンポラリーにはなれない。ただの絵でいいのに。

  • 日本画が印象派に与えた影響の大きさに驚く。
    絵画の楽しみ方も分かれば、今日本画が抱える問題も知ることができる。
    読み終わった時、美術館に足を運んでみようかなと思わせてくれる一冊です。

    #読書 #読書倶楽部 #読書記録
    #モネとジャポニズム
    #平松礼二
    #2016年73冊目

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著者プロフィール

1941年、東京生まれ、名古屋育ち、現在、鎌倉在住。1960年、川端龍子と横山操に憧れ、青龍社展に初出品、入選を果たす。30歳頃から、日本美の在り処を訪ねる旅をはじめる。歴史を遡ろうと朝鮮半島(韓国)から始まり、中国大陸、台湾、インドシナ半島、インドを旅して歴史、絵画、工芸、くらしの風景を見聞きする。1977年、ライフワーク〈路〉シリーズの創作をはじめる。創画会のメンバーとなる。1984年、「横の会」結成に参加。1994年、パリを訪れオランジュリー美術館でモネの〈睡蓮〉の大作に衝撃を受ける。その後、ジヴェルニーのクロード・モネの家をはじめジャポニスムの源流を求め、印象派ゆかりの地を取材する旅を始める。2013年、フランスのジヴェルニー印象派美術館、14年、ドイツのベルリン国立アジア美術館で展覧会開催、国内のみならず海外でも評価される。2021年、「詩情豊かな作品と、モネの作品との絶え間ない対話、そして芸術における日仏間の交流促進への貢献」が高く評価されフランス政府芸術文化勲章シュヴァリエを受章。

「2022年 『平松礼二 睡蓮交響曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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