戦後経済史は嘘ばかり 日本の未来を読み解く正しい視点 (PHP新書)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569827926

作品紹介・あらすじ

バブル期はインフレじゃなかった。高度成長の要因はほとんど為替。通産省は役立たず……。驚きと興奮の「真実の経済史」、ついに登場!

感想・レビュー・書評

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  • 状況分析は、べきだ!ではなくはずだ!の視点で行う。
    国際金融のトリレンマ
    バブル期は株と土地以外、普通の経済だった
    それなのに、日銀の余計な引き締めで20年の悲劇が始まった。根本的な原因はデフレ。
    デフレ勝者の経営者はデフレを望む
    関税を下げるとウィンウィンに
    終身雇用制度は戦後出来上がったもの、日本の長い歴史で培われたものではない。
    エルピーダメモリー、技術力の差を為替がぶっ飛ばして潰れた。

  • タイトルは大袈裟だが内容は手堅い。経済史が嘘ではなく、深く知ればようだけのことだ。半端な知識であることがよくない。

  • ・戦後経済を総括、高橋洋一節全開で実に面白い。
    ・高度成長に通産省官僚の果たした役割は無い。敗戦後の有利な為替レートを梃子に民間企業の努力によるもの。つまり 有利な為替レート×技術力の向上→高度成長
    ・復興の最大の要因は朝鮮戦争特需。政策に非ず。
    ・国際金融のトリレンマ:「自由な資本移動」「固定為替相場」「独立した金融政策」 三者達成できないので、このうちの二者を選択。
    ・マンデルフレミング効果(1999年ノーベル経済学賞):固定相場制では財政政策を、変動相場制では 金融政策を取るべし。マクロ経済政策には、財政政策(徴税して公共投資)と金融政策しかない。
    固定相場制とは、固定化するように激しく為替介入するもの。
    ・バブル時は土地や株の資産インフレであって物価上昇は加熱していない。資産インフレのみに手当すればいいものを、金融引き締めを行って失われたN十年を招来した日銀は無能。
    ・不良債権もインフレで解消していたのであり、
    ・経済に適度なバブルはつきもの。バブル時の対応策はあるので、恐れずにインフレターゲットを狙うべし。適度なインフレ=失業率低下
    ・リーマンショックで金融緩和(要はお金を刷る)すればばいいのに、日銀無策で一人負けの日本。

  • 経済に影響を与えた事象を順に解説。わかりやすい。


    戦後経済史は嘘ばかり 目次

    プロローグ 経済の歩みを正しく知らねば、未来は見通せない
    「ウソの経済常識」を信じ込んでいませんか?
    「間違った経済常識」が生んだ「失われた二十年」
    なぜ「予測」が当たるのか?
    状況分析は「べきだ」ではなく「はずだ」の視点で行う

    第1章「奇跡の成長」の出発点に見るウソの数々
    どうして日本は敗戦直後の廃嘘から立ち上がれたのか
    教科書にも出てくる「傾斜生産方式」はまるで効果がなかった
    実は、戦災に遭っても日本の工場はかなり生き残っていた
    "復金債"のお金のばらまきは「悪性インフレ」の主因ではない
    政府金融が呼び水となる「カウベル効果」が起こった実例はない
    政府の「成長戦略」に期待するのも、間違った認識か
    戦後の「預金封鎖+財産税」は財政再建には意味がなかった
    GHQの改革がなくても、日本は戦前から「資本主義」大国だった
    農地改革は購買力を増やしたのではなく、共産化を防いだ
    資本主義が前提の日本では、労働三法でバランスがとれた
    財閥解体も集中排除も完全に骨抜きにした民間企業の知恵
    GHQもIMFも「財政均衡」が大好き
    ドツジ・ラインの金融引き締めが深刻な不況を招いた
    日本復興の最大の原動力は、政策ではなく「朝鮮特需」
    第2章 高度経済成長はなぜ実現したのか?
    「神話以来の好景気」が連発した時代
    高度成長時代には、実は何のめぼしい政策もなかった
    「ードル=360円」の楽勝レートが高度成長の最大の要因
    為替レートが有利なうえに、技術力がついてきた
    通産省の役人よりも一枚も二枚も企業は上手だった
    ただ民間の後追いをしてきただけという通産省の本当の姿
    通産省式「合法的カルテル」の栄枯盛衰
    東京オリンピックの経済効果は、インフラ整備よりも貿易自由化

    第3章 奇跡の終焉と「狂乱物価」の正体
    ニクソン・ショック前から金本位制はとっくに終わっていた
    「国際金融のトリレンマ」を知れば経済を理解できる
    固定相場を維持するには莫大なドル買い介入が必要になる
    一九八五年のプラザ合意までは、実は、実質的な「固定相場制」だった
    「マンデル・フレミング」を知れば、財政と金融のどちらが効果的かわかる
    「石油ショックで急激なインフレが起こった」はウソ
    「スタグフレーション」は供給要因で起こる現象
    石油ショック後の省エネにも通産省は何の役割も果たさなかった
    第4章 プラザ合意は、日本を財める罠だったのか?
    レーガノミクスが生んだ「双子の赤字」でプラザ合意が行われた?
    プラザ合意までは為替介入していたことを裏づける「円高容認」発言
    「レーガノミクスは反ケインズ政策」は大きなウソ
    レーガノミクスの金融面はミステリァスなところがある
    減税論者が主張する「ラッファー・カーブ」はデタラメの論理
    冷戦で西側が勝利したのは、経済パフォーマンスの差
    「前川レポート」はただ状況の変化をなぞっただけのもの
    「貿易の自由化」のために「金融の自由化」が必要になった
    「金融ビッグバン」は、小さなことを役人が大げさにいっていただけ
    第5章 「バブル経済」を引き起こした主犯は誰だ?
    バブル経済になったのは、プラザ合意対策のせい?
    バブル期は、株と土地以外は「超フツーの経済」だった
    「バブルかどうか」は当時は誰にもわからなかった
    法律の不備をついて証券会社がデタラメなことをやっていた
    あと少し通達が遅れていたら、証券会社は大クラッシユしていた
    日銀の「余計な引き締め」で、それから二十年の悲劇が始まった
    間違いを認めたくない日銀の自己正当化が、悲劇を長引かせた
    バブル処理の仕方は確立されているから、バブルを過度に恐れる必要はない

    第6章 不純な「日銀法改正」と、痛恨の「失われた二十年」
    「失われた二十年」の原因は何か?
    「不良債権が足枷になった」はまったくのウソ
    経済が収縮するデフレ不況下で、できるはずがないこと
    「2階と4階を分離せよ」と迫られた大蔵省
    不純な動機で始めた「日銀法改正」のツケが回ってきた
    竹中平蔵氏はリフレ派からも誤解されている
    「小泉・竹中路線」は、最初は完敗の連続だった
    いかにして竹中氏は無敵状態になったのか
    日銀総裁人事以外に、政府が金融政策に関与する方法はなかった
    長く続いたデフレの結果、「デフレ勝者」が金融機関の経営者になってしまった
    リーマン・ショック後の「日本-人負け」も人災だった
    終章 TPPも雇用法制も、世間でいわれていることはウソだらけ
    自由貿易は戦争を「抑止」するものであり、止めるべきではない
    関税率を下げるとWin-Winになるのが経済学の常識
    TPPで海外から安いものが入ってきてもトータルでは利益になる
    「毒素条項」は、TPP以前の貿易協定でもだいたい入っていた
    「終身雇用は日本型の雇用制度」は大きなウソ
    終身雇用は「慣行」であって「制度」ではない
    雇用慣行は政府が口出しすべきでない分野のーつ
    「普通にやっていればうまくいく経済環境」をつくり出すために

  • バブル期は小学生だったし、田舎には関係ない話だと思ってたけど、土地や株券などに限られたバブルだったということだけわかってよかった。あとは役所批判!?優秀な方なんだろうけど、オレ様感がすごいなぁ、この方…。

  • 金融

  • 新聞などで得られる情報には多くの疑問が含まれていることに改めて気づきがありました。
    今までプロジェクトX的に理解していた官庁のリーダーシップについても現在をベースに考えるとそんなに良いわけないと腑に落ちた。

  • わかりやすく、面白い。

    勉強になった。

  • マクロ経済とミクロ経済をきちっと分けて考える事の大切さを分かりやすく解説しています。

  • 歴史で学んだ経済史とは少し異なる経済史だった。
    マクロの視点を身に付けてニュースを見ることが出来るようになりたい。

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著者プロフィール

1955年東京都生まれ。数量政策学者。嘉悦大学大学院ビジネス創造研究科教授、株式会社政策工房代表取締役会長。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年に大蔵省(現・財務省)入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、内閣参事官(首相官邸)などを歴任。小泉内閣・第1次安倍内閣ではブレーンとして活躍。2008年に退官。菅義偉内閣では内閣官房参与を務めた。『さらば財務省!』(講談社)で第17回山本七平賞を受賞。著書はほかに、『正しい「未来予測」のための武器になる数学アタマのつくり方』(マガジンハウス)、『高橋洋一式「デジタル仕事術」』(かや書房)、『国民のための経済と財政の基礎知識』(扶桑社)、『理系思考入門』(PHP研究所)、『国民はこうして騙される』『プーチンショック後の世界と日本』(徳間書店)など多数。YouTube「高橋洋一チャンネル」でも発信中。

「2023年 『日本の常識は、世界の非常識! これで景気回復、安全保障は取り戻せるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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