なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569816210

作品紹介・あらすじ

古代より日本は中国に近付くと失敗し、距離を置くと繁栄した。その法則の原理を歴史的な視点から解明し、安倍政権がとるべき道を提言。

感想・レビュー・書評

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  • 北京大学で哲学を学び、中国の民主化運動に参加していた1989年に起こった天安門事件を契機に、祖国を捨てて日本に帰化。現在は中国問題の評論家として日本で活躍する石平氏の邦名は石平太郎(せきへい・たろう)。2009年に民主党政権が進めた親中外交を「大いなる愚策」と断じる一方で、その後の安倍政権が中国を排除したTPPへの参加や、ロシア・アジア諸国との連携強化を真っ先に推進した決断を高く評価する。日本の長い歴史を振り返っても、邪馬台国の女王・卑弥呼が朝貢していた時代に比べ、中国の影響を排した大和朝廷の時代や遣隋使を派遣しながらも「脱中国」を宣言した聖徳太子の時代に日本は発展を遂げた。また近代においても、明治の文明開化で欧米と協調する一方で中国とは一線を画して発展した日本が、その後の満州進出により中国と関わったことで第二次大戦に突入する結果となったと考察、日本にとって中国とは「決して関わってはいけない国」と断罪する。21世紀を「中国抜き共栄圏」の時代と捉え、中国を排除したアジア・欧米との連携強化こそ「日本が進むべき道」と断言する。

  • 著者はよく日本の歴史を勉強されている。日本は中国と親しくしていない時期のほうが繁栄していたようだ。室町時代、江戸時代、戦後から国交回復までの経済成長等。中国と仲良くすると経済的にもうまくいってないことが多かったとのこと。

  • ■政ノ要ハ軍事ナリ
     ・国内の国防体制をより強固なものにするためには当然軍事を司る中央政府の下に人民の力を結集させる必要が生じる
     ・そのための早道は人民と土地を一元的に支配する中央集権制,即ち中国式の律令制の実施
     ・税収を中央政府に集め,人民に兵役を課す
    ■律令制の導入は結果的に日本の国力の増大と国防体制の強化に貢献し,大唐帝国からの侵略を未然に防止した
    ■律令制導入はっ公方対策上の一時的な緊急措置
     ・日本の風土と歴史に根付くことはできなかった
    ■班田収授法 → 墾田永年私財法
    ■律令制としての中央集権制にとって代わって,日本の風土の中で自然発生的に生じ,いわば日本的な政治制度として定着したのは「封建制」
     ・中央集権制と封建制との最大の違いは,土地と人民に対する支配の仕組み相違
    ■福沢諭吉の「支那風擯斥スベシ」
     ・到底今の支那人に向ては其開花を望む可からず
     ・之を友とするも精神上に利する所なし
     ・双方の交際は唯商売の身に止まりて
     ・智識の交は一切これを断絶
     ・其国の教義を採らじ
     ・其風俗に倣わず
     ・衣服什器玩弄の品に至までも,其実用の如何に拘はらず,他に代ふ可きものあらば先づ支那品を擯ること緊要ならん

  • 聖徳太子以後、中国と距離を置いているときの方が日本は繁栄しているという着眼点。
    そう言われるとそういう視点もあるのか、となかなかに面白く読めました。

    ただ、結果としてそうなっただけかもしれず明確な因果関係があるわけでもない。
    距離を置く、という理由だけで結論づけるのは少し乱暴にも思えるが、1つの見方として捉えたら興味深い内容でした。

  • 2年前に出された本。
    中国と深く関わると、ロクな目にあわない、は言い切り過ぎだと思う。
    ただ、この2年を見てて、民主党時代より良い(仲が良いということではなく、対等だという意味)関係になってきていると思う。
    そういう意味で、誤りではないのかな、と。

  • 特に因果関係は示されていないが、確かに著者の言うように、中国との関係が薄れた時期には我が国はうまく行っているように見える。というより、中国に深入りすると、大抵は悲惨な目に合うということか。

    出版から約2年が経ち、情勢分析が必ずしも当たらない部分もあるが、概ね著者が示唆する通りの経緯となっていることから、本書の主張は的を射ているように思う。

  • 159

  • 中国との距離の取り方がいかに日本に影響を与えているかという歴史からの考察と現代への警鐘。
    歴史の部分は多少無理を感じるものの現在の状況をみると確かに関係を深める必要性がないと思われる。
    日中で首脳会談がなくとも全く不都合なく距離を置くことに何ら問題はないと思われる。

  • 中国人は、比較的、ゲン担ぎや風水を重んじる民族だ。この著者、石平も当にその性質を引き継ぐ中国人だ。「中国に近づけば、日本に災いが及ぶ」。歴史を関連付ければ、日本の歴史は斯様に言えるのかも知れない。しかし、ここには因果関係も相関関係も読み解こうとする意思を感じない。この論理的連関性を説明せずに、二者を結び付け断言する姿勢。これこそ中国人一般に比較的見られる傾向の一つで、稚拙な情緒による強引な御都合主義論理。ここでのこの発言は、愛国日本への耳触りの良い文章を並べた、ただの風水の如き言い逃げなのである。故に、大川周明批判、満州の捉え方も、残念ながら薄っぺらいものになってしまっている。英米に寄り添う事の選択肢は、あの当時には無かっただろう。蒋介石と米国の関係や、満州鉄道利権を求めたアメリカの利害得失をどう考えるのか。

    石原慎太郎が推薦。こんないい加減なものを、味噌も糞も一緒に愛国的に語られるから、最近のナショナリズムブームは、金儲け主義に牛耳られた感がしてきて、虫唾が走るのである。

    とは言え、現代も冊封体制的な他国との接し方しかできぬような、稚拙な御都合主義に振り回されるだけなら、中国には近づく勿れというのは真理だ。私は、中国を単純に悪役として片付ける考え方には、全く賛同しないが。

  • 日本と中国の最も相応しい関係は、「敬遠」である。敬いながら遠ざけるという距離感がお互いの国にとって最良である。石氏のこの指摘には思わず納得してしまった。

    石氏の指摘は、感情的でもなく、偏狭なナショナリズムに由来するものでもなく、日本と中国の過去2000年に及ぶ歴史を冷静に検証した結果であり、説得力を持っている。

    日本の歴史上、安定と繁栄を謳歌できた「平安」「江戸」「戦後の高度成長期」、これらはいずれも中国との関係が希薄だった時代である。

    中国は、隣国であり、世界最大の経済大国になる可能性のある巨大国家だから、日本は中国と友好関係を築かなければいけないという妄想は全く必要ない。だからと言って、いがみ合いや悪感情を持つのではなく、「敬遠」なのである。
    また、中国が世界一の経済大国になるという予想も、現在の環境汚染、官僚汚職、経済格差などを考慮すると全く的外れと言わざるを得ない。

    日本人と価値観を共有できるのは、隣国・中国ではなく、むしろ欧米諸国なのである。日本の取るべきスタンスは「脱亜入欧」である。

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著者プロフィール

評論家。1962年、中国四川省成都市生まれ。1980年、北京大学哲学部に入学後、中国民主化運動に傾倒。1984年、同大学を卒業後、四川大学講師を経て、1988年に来日。1995年、神戸大学大学院文化学研究科博士課程を修了し、民間研究機関に勤務。2002年より執筆活動に入り、2007年に日本国籍を取得。2014年『なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか』(PHP新書)で第23回山本七平賞を受賞。近著に『漫画でわかった! 習近平と中国』(かや書房)、『世界史に記録される2020年の真実 内患外憂、四面楚歌の習近平独裁』(ビジネス社)、『中国五千年の虚言史』(徳間書店)、『日本共産党 暗黒の百年史』(飛鳥新社)などがある。

「2021年 『中国 vs. 世界 最終戦争論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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