- Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569814612
作品紹介・あらすじ
人と組織を劇的に変える新手法「U理論」を、原著の訳者で企業変革の実績がある著者が、エピソードでわかりやすく解説。使える手法満載。
感想・レビュー・書評
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とっつきにくい
世の中には、①煩雑な問題と、②複雑な問題とがあり、U理論は②複雑な問題の解法であることが冒頭で提示されます。
PDCAを回して解決するものを「過去からの学習」といっています
解決方法があるもの、①煩雑な問題 ⇒ ジグゾーパズルの問題
対応していけばいずれ解決します。
本書が扱うのは、「出現する未来からの学習」といっています
解決困難なもの、②複雑な問題 ⇒ ルービックキューブの問題
相互依存関連があり、旧来の手法では解決することは困難です。
②複雑な問題には3種類があって、それらが複合している場合もある
・ダイナミックな複雑性
・社会的な複雑性
・出現する複雑性
U理論の7つのステップは
1 ダウンローディング
2 観る
3 感じ取る
4 プレゼンシング
5 結晶化
6 プロトタイピング
7 実践
お互いに過去の枠組みからの認識から、出発していって、ひらめいたインスピレーションについて、仮説をたて、検証をおこなって、実行していくのがU理論になります。
目次は以下です。
第1章 人と組織が「頭を抱える問題」を解決する
第2章 U理論が起こすパラダイムシフト
第3章 本質的な変容を起こすU理論の7つのステップ
第4章 U理論の実践[個人編]
第5章 U理論の実践[ペア・チーム編]
第6章 U理論の実践[組織・コミュニティ編]詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
U理論読書メモ
★抜粋①
「過去からの学習」では、すでに起きた過去の出来事を振り返り、分析したり、新しい仮説を立てたりして、答えを導き出すものです。それに対して「出現する未来からの学習」は、自分の内面を掘り下げ、内側から湧き上がってくるものに形を与え、そこから肉づけをしていくというプロセスをたどります。
★抜粋②
日常のどんな場面であろうとも、「何者としてその場にいるか」が結果に大きな違いをもたらしていることを発見し、その領域における質の向上こそ、パフォーマンスの向上に関係しているという結論に達しました。
★個人的なメモ
職場での改善を図るときには、やり方の工夫で解決しようとしがちだが、それに終始することで改善できない場合がある。
この本ではそういった場合には、「何を」「どうやるのか」ではなく、「どこからやるのか」に着眼点を変えることを推奨している。
ダウンローディング⇒シーイング⇒センシング⇒プレゼンシングという順番で理解から成果の結晶化までの道のりがあるということを認識できただけでも、勇気がもらえる。
人に説明できるほどに理解できたとはまだ言えない(旅行中の飛行機の中で寝ぼけながら読んだ)ため、折を見て再読したい。 -
従来のPDCAサイクルは過去からの学びですが、“U理論”はいわば「出現する未来からの学習」と呼べるようです。それこそが、イノベーションをもたらすと、本書は説いています。
現実的には出現する未来など、覗き見ることはできないはずなので、それに近いことをどうやって実現するか、ということが具体的な事例や著名人のエピソードを交えて詳細に解説されています。
各ステップごとに具体的なエクササイズの方法も示されているので、「U理論入門」という学術的(=机上の空論的)タイトルから受ける印象とは違い、大変実際的な一冊です。
また、U理論が、優れたイノベーター達がどういう「やり方」をしているのかという方法論や形式の話でもなく、これまであまり見えていなかった「内面のあり方」に注目し、優れたリーダー達の経験の集積から生まれている、という点も大きな特徴だと思います。
①ただひたすら観察して、
②一歩下がって内省し、内なる「知」が現れるに任せ、
③すばやく即興的に行動に移す。
というのが、大括りのU理論のステップですが、これをさらに7つの段階に分けて、“ソーシャルフィールド”という概念と関連付けて、過去の延長線上にはない変化を創り出す方法を紐解いていきます。 -
PDCAサイクルは過去からの学びであり、U理論は出現する未来からの学習。という書き方からか宗教的と言われるU理論。
個人的には、「ダウンローディング」「観る」を学ぶことこそ、U理論の目的である「人と組織の問題を劇的に解決する」ことができると感じた。
◯U理論の概念
優れたリーダーの「やり方」などに着目するのではなく、ブラックボックスになっている彼らの「内面のあり方」、
すなわち高度なパフォーマンスや変革が起こる際の「意識の変容」に着目している。
◯ダウンローディング
ダウンローディングとは、過去の枠組みや思い込みのこと。
例えば、人は誰でも、相手の属性に合わせて話題を変えたり、立場によって本音と建て前を使い分けたりします。
このように、私たちは日常生活を円滑にしたり、相手との衝突を避けたりするため、無意識のうちに過去の経験にとらわれた行動をとっているのです。
さらに、仕事が出来るようになると対話相手が会話し始めると、
「はいはい、結論はこうね」
「そんなことは関係ない」
「何を言ってるかわからない」
という風に、自分の過去の経験値から相手をシャットダウンしてしまいがち。
このような思い込みを自認して、自分を客観視しやすい状態を作っていく。
◯観る
ダウンローディングで明らかになった枠組みや思い込みを一度「保留」して、目の前の情報や事象を客観的に分析。
つまり、自分の考えは横において、まず情報をキャッチアップする。
◯感じ取る
過去の枠組みにとらわれずに目の前の事柄に立ち向かうと、これまでになかった思考や直感を発見できる。
最初は混乱することもあるが、枠組みから外れて内面から生まれてくる新しい自分をすくい上げる。
◯U理論の7つのステップ
ステップ1 ダウンローディング
ステップ2 観る(Seeing)
ステップ3 感じ取る(Sensing)
ステップ4 プレゼンシング(Presencing)
ステップ5 結晶化(Crystalizing)
ステップ6 プロトタイピング(Prototyping)
ステップ7 実践(Performing)
正直、プレゼンシング以降はよくわからん。 -
U理論の原書を読むのは難しいという人にはお勧め。U理論自体が難しい概念の為、わかりやすい本から入ることで理解を進めていくのがお勧めです。
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学習する組織から、こちらの本を読みました。入門と書かれていますが、なかなかのボリュームです。言語化しにくい部分がたくさんあるU理論を、丁寧に解説しています。もう少しU理論について学んでみたいな。と思える本でした。
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過去や経験からの学習であるPDCAと対比して、未来からの学習を観察、受け入れ、行動のU字型で表現したU理論の入門書
他の本に書かれている観察の重要性と観察から得られた知に関してVisionを見出して
Prototyping、実践へと繋げていく7段階のStepにわけて解説をしている
また個人・組織の両方にわけて実践編も構成されているので、スムーズに読みやすいと思う
これを言うのは気が引けるが、デザイン思考と似ている部分は多々あり、それを少し構造化しているだけな気もしてしまったので、評価は低い
デザイン思考に関しては、組織論まで言及されていないので、その部分が新しい箇所かもしれない
あまり組織に関して手法を応用したことは少ないので、もう少し歳を重ねて、立場も変われば違う風に見えるかもしれないと感じたため、その時にまた再読してみる予定 -
イノベーションの理論。
カタカナの専門用語が多く登場するので、"抽象論"に終始しがちであるが、具体例を豊富に挙げてくれているので、読みやすい。
クリスタライジングやプロトタイピングは、「何言ってんだかなあ」という感じだったが、ダウンローディングは理解できる。
テーマがテーマだけに、既存の概念の組み合わせとはなりえないので、理解が難しいのは必然。 -
ななめ読み読了。理路整然としているようでもちょっと都合よすぎな気もして、絵に描いた餅になりやすいのもうなずけちゃう。保留・静観ののちに見えてくる障壁を乗り越えるだけのカタルシスがあると決まってないし、現れてくるはずの何かがあるかどうかにセンスの必要性を感じる。
一方で、チャンスの来る前にすでに準備を整えておかなければチャンスを活かせるわけもなく、各段階に横たわる障壁を乗り越えるべく布石を敷いておくことは重要だ。その意味において受動的だというセンシング段階の前から保留・静観・内省の癖をつけておくことはいいかもしれない。とは思わせてくれた。