謎の蝶アサギマダラはなぜ海を渡るのか?

著者 :
  • PHP研究所
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569813820

作品紹介・あらすじ

飛翔距離数千キロにも及ぶ不思議な蝶アサギマダラ。アサギマダラに魅せられた著者による自然のロマンと驚異に満ちた一冊。

感想・レビュー・書評

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  •  アサギマダラの24の魅力
    ○旅をする:小さな体で海を渡り、2000Kmを超える旅をします。○飛び方が多様:24通りもの飛び方のパターンがあります。○美しい:独特の色合いを持ち、翅の形態にも機能にも洗練された美しさがあります。○力持ち:かなりの脚力を持っていて、枝につかまり、風にも飛ばされません。○耐える:激しい台風にも耐えます。○グルメ:PA物質を含む植物を敏感に発見して集まる天与の才能をもっています。○柔軟な適応:アサギマダラの移動戦略は環境変動に実に柔軟かつ巧みに適応します。○舐める:他の蝶のように「吸う」のではなく、枯葉を舐め。人の手も舐めます。○群れる:1ヶ所に、数百頭、ときには千頭を超えるアサギマダラが吸蜜します。○速い:実質2日で、740Km以上もの海上移動をする例があります。○酔う:スナビキソウで吸蜜中は酔ったかのように無反応になり、手づかみできます。○鋭い嗅覚:仲間の匂いのついたネットや指に「ストーカー」行為をします。○香りを操る:ヘアペンシルという実にユニークな道具でフェロモンを発します。○他種のマダラチョウと一緒に群れていることが少なくありません。○毒草を食べる:ガガイモ科の有毒植物を食べ、毒を蓄積して防御に利用します。○土を舐める:地面の土やコンクリートの壁に群れて舐めていたりします。○強い:絶食で40日以上生きていた例や冷蔵庫保存でさらに生きた例があります。○長寿:羽化した蝶は4~5ヶ月の寿命ですが半年以上の例もあります。○病気に負けない:病気や翅の形の異常があっても遠くに旅をします。○恐れない:人なつこい一面があり、吸蜜していないときでもあまり人を恐れません。○賢い:ネットに入れておくと実に賢く逃げ道を見つけて逃げ出します。○温度に敏感:22~26度が適温ですが、熱暑に弱く逆に寒くなると動けなくなります。○気象を読む:台風を上手に活用して移動したり、雨が降る前に一気に移動します。○不思議な集団移動:大名行列を連想させるような不思議な集団行動をします。 

    "未来を担う方々が、
    優雅で魅力的で小さな生き物を子細に観察し、
    強靭で柔軟な生命活動に直に接する機会を得て、
    不思議・意外・発見・感動体験を積み重ね、
    関連する動植物と気象の知識を増し、
    気候を含む自然環境を大きく捉える目を養い、
    自然への人間の営みの影響をより具体的に捉え、
    あらゆる環境の予測し難い変動に対して、
    直面するさまざまな問題を解決するための
    高い知的能力と直感力とを獲得されますように。"

  • 蝶をはじめ昆虫にはほとんど興味はないが、タイトルに惹かれ購入してみた。このアサギマダラという名の蝶は、2000kmもの長距離を移動するらしいのだ。

    本書の著者である栗田氏が、蝶のハネの部分にマーキングを施して調査したところ、なんと2日間で745kmも移動した例があったらしい。移動の距離や経路の解明以外にも、飛翔のパターンを24通りも見つけるなど、かなりの研究成果が掲載されている。

    毎月のように奄美大島に通って調査を行うなど、好きなことが仕事でうらやましいなんて、勝手に思いながら読んでいたが、実は栗田氏の本業は医者であり昆虫学者ではないそうだ…
    改めて見るとプロローグには「ただのおじさん」と自己紹介されているが、只者ではないおじさんの今後の研究が楽しみである。

  • 地図も見れない、方位磁石もない、渡り鳥のように親と一緒に飛んだこともない、夜は飛べない中で、 遠く離れた島を転々となぜ移動できるのか、結局よく分からなかった。
    渡り蝶、強靭な蝶、美しい蝶。
    実際に今年見たけれど、普通にふわふわ飛んでいました。謎の多い蝶です。

  • 結局、なぜ海を渡るのかはよくわからなかったが、世界で唯一、海を渡る蝶であるようだ。飛翔パターンの分類で24種類?もあるとのことだが、分類しすぎではないか。ともあれ、一種類の蝶だけで本を1冊つくってしまうのはある意味すごい事だ。

  • 前作の続きの書き足りなかったところを書いたらしいが、アサギマダラにもいろいろ個性があり、ストーキングをする話、オスのみが属するフェロモンを蓄積するための食物をいかに敏感に見つけるかという細かい話が満載。

  • 1000~2000kmも春と秋に移動する蝶。筆者は医者にして、アサギマダラの研究者。
    氷河が原因で海を移動するようになったのではと、している。

  • 昆虫学者でもないのにこの研究、調査!好きこそ物のとは言うものの、脱帽である。そして蝶を追いかけることは、蝶だけではなくそれに係わる全ての環境自然に気付くということだ。すばらしい。

  • いくつかの書評でも取り上げられている。先日テレビでもこのアサギマダラのマーキングの様子を取り上げていた。専門の研究者でもない人がここまでやるとは。その情熱には頭が下がる。海を渡る蝶に魅せられて1年で1万匹もの蝶にマーキングして、その蝶を自分で海を渡ってまた捕まえる。ロマンがあるね。

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著者プロフィール

名古屋大学准教授

「2018年 『民法4 債権総論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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