- Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569813318
作品紹介・あらすじ
自民党の憲法草案には96条や9条よりも根本的な問題を孕む改変がある。日本が立憲主義国でなくなる可能性を指摘、憲法の本質を問う。
感想・レビュー・書評
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憲法改正においては、立憲主義の立場を踏まえなければならない。すなわち憲法とは国民ではなく国家権力を縛るものであるから、国民への遵守条項は立憲主義に反する。近年の自民党による憲法改正案は、この立憲主義から大きく逸脱するため、筆者はそのような改正案を厳しく批判している。
護憲派or改憲派の分け方はナンセンスで(この意味では筆者は改憲派になる)立憲主義に基づいた上で、憲法をどのように改善していくのか、維持していくのかを焦点にするべき。
quote:
憲法は私たち自身を幸せにするための道具です。ただ道具をうまく使いこなすためには、利用者である私たちが知識を持ち、技術を磨かなければなりません。憲法でいえば、その役割や目的を理解すること。それがあってはじめて私たちはすばらしい憲法を活かすことができます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
憲法を守るべきなのは国民ではなく国家
憲法の本質は、人権を保障するために国家権力を縛るルール
しかし改憲案は、全て国民はこの憲法を尊重しなければならない
立憲主義は十七条の憲法にみてとれる
公共の福祉が、公益及び公の秩序に変わっている
自衛隊は実力行使であり武力行使ではない、だから憲法にも違反していない
日本国憲法はマッカーサーの押し付けではない -
伊藤先生の講演も聞いたが、さすがに講師?をしているだけあって、話し方がとてもうまい。難解な事象もスッと頭に入ってくる。この前に読んだ「中高生のための…」と大筋はほとんど同じだと思うので、読むならどちらか一方で良いかと。(★×3+半分)
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多くの人に手に取ってほしい好著。
自民党の改憲案を以って直ちに軍国主義復活とは思わないが、そのまま受け入れるにはやはり問題が多過ぎることが分かった。
著者も言うように、立憲主義の原則に立ち戻り、時計の針を巻き戻すような事はやめてもらいたい。 -
改憲論が出ているが、本書を読み、改憲に疑問を感じました。自分が、憲法や国政について、本当に貧弱な知識しかないことを知り、そして知らないまま物事が決められていく怖さを思いました。やはり、正しい知識、それを元に判断し意見を持つことが大事だと、改めて思いました。
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憲法は国民ではなく国家を縛るためのルール
直接民主制の危うさ=レファレンダムとは提案内容について賛否を問うもの。プレビシットとは実質的に信任投票になっているもの。直接民主制にはプレビシットの危険性が絶えずつきまとう。 -
法制実務の場で、いつも問題になることなのだが、ある理念や指針が「自明の理」である場合に、「わかりきっているから、あえて条文化する必要はない」という立場と、「念のため条文化しておいても問題はない」という主張が対立して、決め手を欠いたまま議論が堂々巡りを繰り返すことがある。うん、よくある。
本書にも、このような議論が何度も出てくるわけだが、そういった場合の解決策のヒントとなりそうなことが、本書の冒頭に説かれている。
つまり、「この法律(ここでは憲法)は何のために作られるのか、この法律の本質は何か」という議論に立ち返って、これをメルクマールとして規定の必要性を判断すべきということだ。
実務の現場では、とかく細かい論点の整理に追われがちであるが、「木を見て森を見ず」の状態となってはいないか。自らへの戒めとしたい。