移行期的乱世の思考

著者 :
  • PHP研究所
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569803876

作品紹介・あらすじ

海図なき時代の航路を示す独創的論考。

感想・レビュー・書評

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  • 拡大成長は無理だよね〜。

  • 原発関連の話かと思ったら、そうではなくて成熟した日本社会こそが今、移行期的乱世にある、という。人口減少が未曾有だとか資本主義の限界とか言われてるけど、その解を具体的に生み出せない。著者は二項対立的に「解決」することに疑問を呈している。経済成長を求めず、縮小均衡を図ろう、と。人口が減る中での経済成長という矛盾ではなく、縮小しつつ均衡していこう。タイトルがやっぱり秀逸。解決策ではなく思考のあり方を説いている。

  • 盲目的な経済成長至上主義にアンチテーゼを唱えるいつもの安定した語り口。
    単なる精神論ではなく、経済や歴史の知識とその分析に裏打ちされた言説なので説得力があるのである。

  • 「経済」というジャンルで一括りにできるかどうか。
    現在の我々が置かれた状況では「経済」はいかに生きるかという「思想」と分かちがたく結びついている。

    人口の減少、ものづくりから金融・情報サービスへの経済の移行、新自由主義経済の破綻と不均衡…

    様々な問題があるがそれらは根本的にすっきりと解決できるものではなく、個別になんとかやりくりしながら粘り強く耐えていくしかないのかもしれない。戦後の高度経済成長という歴史上希有な「幸せな時代」を懐かしむのではなく、リアリスティックに現代を生き抜く逞しい知性と身体性をもつことが必要である。

    そんな現状把握に最適な一冊。

  • 待ってました!
    いい本!
    深い本!

  • 影響されるにもほどがある…。

    平川克美さんの本、2冊目読了。
    9/5 '12の 平川 × 光嶋 対談の時に購入していたものが、内田さんの本を読んでいる間に積ん読になってしまったけれど
    この度めでたく読み終えることができた。

    内田さんの本を集中して読んだお陰で理解度がかなりアップしている。

    内田さんと仲の良い平川さんの本が、常に思想の部分でクロスオーバー、
    行ったり来たりして一つの世界になっている。


    「指が月をさすとき、愚者は指を見る」


    肝に銘じて。
    また読みなおそう。

  • 公共政策ラボ大阪シンポジウム

    日時:2012年12月3日(月)18時30分(開場18時)
    場所:エル大阪(大阪府立労働センター)
      大阪市中央区北浜東3-14
      地下鉄谷町線・京阪電鉄「天満橋」駅から西へ300m
    パネリスト:小田嶋隆(コラムニスト)、内田樹(神戸女学院大学名誉教授)、中島岳志(北海道大学准教授)、平川克美(リナックスカフェ代表、文筆家)
    コーディネーター:平松邦夫(前大阪市長)
    入場料:2200円(前売り)、2800円(当日)、2000円(会員)
    前売り:チケットぴあ各支店 セブンイレブン サークルK・サンクスで11月7日(水)発売開始
    http://www.with-ppl.jp/ppl/news/345/

    PHP研究所のPR
    「世界は今、「お金とテクノロジー」に支配されきってしまった感がある。そんな中で、著者の省察では、「日本は、誰も経験したことがない時代」に突入した。どういうことかというと、まず、人口が減少を始めた。このことは、経済という観点から見れば、右肩上がりの経済成長は見込めないということを示し、したがって、日本としては、「経済成長のない未来」を考える必要に迫られた。また、その経済成長にともなって運営される筈の、民主主義ということにも、見直しをせざるを得なくなった。さらには、いつになったら解決するのかわからない、「フクシマ」という問題を抱え込んだ。これらはいずれも、「解き難い問題」であり、それを含んだ未来を我々はいかにして肯定的に考えてゆくべきなのか。これまでの著者の問題意識を総覧した、「平川克美への入門書」というべき一冊である。 」

  •   自分がよく読んでいる内田樹氏のご友人。

     自分が都市計画制度を所管している時代には、経済界、大臣などの政治家から厳しく規制緩和を求められ、併行して、経済学者からも厳しく叱責された。

     なんとか自分なりにかわしたり、つじつまを合わせてきたが、この低成長時代が20年も続き、欧米とも経済の調子が悪い自体になって、平川さんのように、経済成長を求める時代は終わったという主張がでてきた。

     ちなみに、池田信夫さんのような経済学者は激しく罵倒していることも知っている。

     しかし、地道に身の回りの生活の環境をよくしていく、身の回りから小商いをきちんと起こしていくという主張は、経済成長一辺倒の現在の政策思想に対する軸になっていく予感がする。

     もう少し、抽象的、哲学的でなく、具体的に、自分が経済学者や政策担当者と議論できるように、中身を磨いて欲しいし、自分も考えてみる。

     人口減少、都市縮小の時代というのはあまり抵抗がないというか、事実だが、同時に、経済成長のない時代になったのかもしれない。むやりに経済成長とか成長戦略とかいっても、人口オーナスのある中では無理なような気がしてきた。

     別途、経済学者の本も勉強してみたい。

     参考文献。ナオミ・クライン『ショックドクトリン』、レヴィストロース『野生の思考』

  • 平川克美さんの研究分野である経済とはちょっと反れて、「移行期的混乱期」における思考法を主に取り扱った本。
    テイストは違っていたが、かなりおもしろかった!心に残る文章が多かった。
    ものごとを悪い意味で「わかりやすく」してしまう「縮減」という言葉がキーワードやった気がします。それを頭に入れて、次元を上げて考えること。
    責任がないものについても責任をとろうとする姿勢、の話はとても共感した。
    またぜひ読みたい本です。

  • 資本主義は原理的に「成長病」の呪いから抜け出すことができない。マッチョな人は本当に「勝ち負け・成長・向上心」が好き。勝ち負け以外の価値観を日本は世界に先駆けて見つけるべきでは。と考えさせられる一冊。

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著者プロフィール

1950年、東京・蒲田生まれ。文筆家、「隣町珈琲」店主。早稲田大学理工学部機械工学科卒業後、翻訳を主業務とするアーバン・トランスレーションを設立。1999年、シリコンバレーのBusiness Cafe Inc.の設立に参加。2014年、東京・荏原中延に喫茶店「隣町珈琲」をオープン。著書に『小商いのすすめ』『「消費」をやめる』『21世紀の楕円幻想論』、『移行期的混乱』、『俺に似たひと』、『株式会社の世界史』、『共有地をつくる』『「答えは出さない」という見識』他多数。

「2024年 『ひとが詩人になるとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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