IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ (PHPビジネス新書)
- PHP研究所 (2012年2月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569800783
作品紹介・あらすじ
勤めている会社は大丈夫か?取引先は?会社再生のプロが実践している37の手法が身につく本。メーカー、小売・卸、通信、飲食ビジネス…エピソード満載。
感想・レビュー・書評
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時折読み返す一冊。財務諸表の数字の背後には、会社によって様々なストーリーがあること、状況改善の打ち手も会社によってテーラーメイドする必要があることを思い返すようにしている。どこまで実戦で使えているか怪しいが。
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リアルな経営分析とはなにか、数字の分析のみならずその数字の裏側にある物語まで読み取る力をつける必要があることを学んだ。
会社の生死を分ける剣ヶ峰に立たされた時に(そんな場面に出会いたくないが)読み返したい。 -
リアルな経営分析とは何かを考えさせられる本。
アカウンティングを学び財務三表の見方を理解していたが、財務諸表上の数字を見て財務指標分析をするといった数字上の分析手法では本当に実態にあった適切な分析ができるとは言えないということを理解した。
その分析対象の企業がどんな会社かを定性的に想像できることが何よりも重要。
行っている事業はどんな構造でどうやって儲けているのか、その業界の構造がどうなっているのか。
今ライフサイクル上のどこに位置しているのか。
取引先はどんなところか、それが意味するところは何か。
P/Lからその会社の事業構造を具体的に創造し、そこから仮説を立て、違和感のある数字を確認する。そして、B/Sを見て資産状況から何が言えるのかを考える。
リアルにその会社の実態を創造し、置かれている状況から考えられる課題を見極めて財務諸表と比較し定量的な課題の答えを見つける、そういった分析の仕方が学べる。
身近な商材の例をとってわかりやすい内容になっている。
また、規模の経済や範囲の経済、密度の経済、ネットワーク経済性といった事業経済性の基本も学べる。
日頃からビジネスの具体的想像を意識させてくれる良い本である。 -
最も印象的だったのは、「企業と生物は一緒。動的平衡を保っている。むしろ企業の方が複雑かもしれない。アメーバから霊長類まで、同じ土俵で論じられるか?」普段感じていることを言語化してもらえた気がします。
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会社は生き物(無形物であり、動的平衡な物)という当たり前の事を認識し、セオリー通りの理論上の経営分析ではなく、地に足のついた分析の重要性を述べている。同じ業界であっても事業モデル、成長ステージ、市場成熟度、戦略の違いによって収益構造は異なり、事業構造や現場の実態を理解することで適切な経営分析ができる。最初に数字ありきではなく、先ず活動ありき、事業構造を想像できることが重要。リアルな経営分析を行うにあたっての基本的な心構えと、方法論が書かれている1冊。
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ただ数字の意味を知っているだけでなく、その使い方を理解することが大事、ということはよく言われることだが、そのノウハウが書かれた良書。
再読する必要あり -
私にとって受け入れ難い本だった。業種によって規模の経済が効く効かないというように書いてあるが、規模の経済が効かないときの議論は、設備投資を拡大するときの話をしており、それは経済学でいう長期費用の概念である。そこでは固定費用も可変費用として扱う。つまり固定費用の存在しない世界である。これは著者の言う「規模が効く」ための2つの要件を満たさない。つまりどの業種も設備投資の話になれば規模は効かないことになる。よって規模が効くか効かないかは、長期(設備投資)でとらえるか、短期(生産)でとらえるかの違いであり、一方では設備投資の面、もう一方では生産の面で業種が語られていたに過ぎない。著者が間違っていなかったとしても、全体的に経済学にあまり触れてない人にとって誤解を生むような説明が多く残念。
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いわゆる数字をいじるだけの経営分析から、数字の裏にある現実に近づくためのリアルな経営分析のためのノウハウが書かれている。特によかったのは第3章。生き残る会社と消え去る会社ということでいろんな会社の儲けの構造・枠組み=ビジネスモデルについて書かれている。結局自分が分析しようとしている会社の儲けはどこから出ており、どういうルールの中で戦っているのかを把握しないとただ数字を見ても意味がない。また第4章ではトマトの卸を例に実際にビジネスの流れをシミュレーションし、数字を作ってみている。これでかなり分析対象のビジネスにリアリティが持てるようになる。
コンサルティングをやっていて思うのはこのリアリティについて自分で納得感がないと、なかなか仕事もうまくいかない。
そういう意味では他の経営分析の書籍とは一線を画した良書。 -
元産業再生機構冨山さんの本は、結構何でも読んでしまいます。
今回は、冨山さんのコンサル会社が用いている
経営分析の手法をあますことなく伝えた本。
会計の本科と思いきや、PLやBSの用語は出てくるものの、
ほとんど数字は出てきません。
会社や業界の属性から読み取れる儲けの源泉や仕組みを
どう読み取り、PLやBSで検証するのかが書かれています。
ちょうどKSFの重要性を認識したところなので、
すーっと腹に落ちてきました。
やや骨は折れるかもしれませんが、
何度も読み返したいと思えるくらい勉強になる本でした。