だんだんおかあさんになっていく

  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (155ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569796598

作品紹介・あらすじ

おっぱい、だっこ、はいはい-こどもの成長に合わせてつづられる言葉と絵。すべてのおかあさんに贈る花束のような詩集。

感想・レビュー・書評

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  • おーなり由子さんの詩集ですね。
    おーなり由子さん(1965ー)大阪生まれ。絵本作家、漫画家。
    2011年発行の本です。「この本は、息子がおなかの中にいるときから、二歳ぐらいまでに書いたものです。今ではとてもなつかしい。こどもの成長に合わせて読める本にしようと思っていたら、気がつくと、わたしがおかあさんになるまでの詩集になっていました。」と、あとがきにあるように、おーなりさんがおかあさんになる詩集です。

       はるのかぜ

      モクレンのつぼみが
      白くふくらむ道
      青い風が
      見たことのない鮮やかさで
      ぶわあん、と、ふきあがる

      ーーこどもみたいなわたしが
        (おかあさん)になるなんて なれるかな

      だけど
      風は
      砂のような心配事を
      三月の空にいっぺんに
      ふきあげて 
      その一瞬ーー
      わたしの心は
      奇跡のように透きとおった

      「げんきに うまれておいでえ!」

      (おかあさん)の幕開け
      拍手するのは
      モクレンの花びら


         はじめてわらった日

      いま
      わらった!
      わらった!

      おおさわぎ

      まるで
      犬か猫がわらったみたいに
      大事件

      とうさんも かあさんも
      その わらい声に
      ばかみたいに
      もらいわらいして

    とても率直で、優しさと慈愛に満ち満ちた心のほっこりする詩集です。読んでいて嬉しくなりますね。
    絵もとても素敵です。おーなりさんがおかあさんに成長していくのが、手に取るように感じます。
    誰かにプレゼントしたくなる本ですね。

  • 妊娠期から子どもが2歳になるまでの間に読まれた詩集。口語の自由詩。

    俵万智さんの詩集を読んだ時も思ったけど、子どもとの時間の感動や愛おしさを、鮮度高くまた繊細に言葉に落とし込んで保存できる人の才能を羨ましく思う。

    (引用)
    「ひかりあるところ」(一部)
    ああ ひとが
    生まれて一番はじめに知ることは
    この世界が
    ひかりのある場所だということだったのか

    「ばいばーい」
    ずうーっといっしょにいたいけれど
    ひとりになりたくて

    水しぶきみたいなわらい声を
    いつまでもきいていたいけど
    そろそろ眠ってもらいたくて

    思うぞんぶん仕事をしたいけれど
    もっといっしょに
    遊んでもいたくて

    はやくいろんな会話ができたら
    の思うけれど
    通じないおしゃべりがかわいくて

    だっこをせがまれると
    重くておっくうなのに
    つい やわらかいおなかを抱きしめたくなって

    ーーばいばーい

    春風のなか
    かけだす ちいさな背中
    ねぐせのうしろあたまが遠ざかるよ

    あとがきより
    わたしのようなぼんやりとした母でも、こどもが、おかあさんにしてくれました。こどもは「わらうちから」をもって生まれてきて、世界をふりまわし、大人を育てていく。広がる地平線を見せてくれる。

  • だんだん、そう、だんだんおかあさんになっていくんだなと思えた詩集。
    私はもう直ぐ妊娠後期に入る妊婦です。妊娠生活は大変な子も多いけどそれを上回るほど幸福に満ちている。診察を待っている中、赤ちゃんの泣き声が聞こえる待合室でこの詩集を読みました。とても穏やかで優しい気持ちになれた。出会えてよかった

  • こどものいちにちの
    ほとんどは
    みちくさでできている

  • 妊娠初期から2歳までの間に書かれた詩集。
    うちの子は、もう5歳。
    確かにこんな時があったなぁと思って読む。
    子どもが小さなころ、感じたことを書いたりする余裕がなかった。
    かけがえのないあの頃の体験を、私はもう忘れている。勿体ないなぁと思う。
    今の瞬間を、忘れないように、書き留めておくのは大事だなと思った。

  • 天使の見つけ方という本を中学生くらいの頃に愛読した気がする。ふわふわして可愛くて、こんな優しい本があるんだと、気に入っていた気がする。
    内容は全く覚えていないが。

    その著者の、おーなり由子さんの、
    妊娠〜2歳くらいまでの赤ちゃんとの日々の詩集。

    だんだんおかあさんになっていく、というタイトルに惹かれて手に取った。なぜなら今の私は、まだ母だけど母になりきってないというか、まだ母初心者という自覚があるからだ。

    それに、育児中はなんと言っても時間がまとまって取れないから詩集は勝手がよい。

    **

    今の私は、赤ちゃんとの日々を思い切り堪能したくて、何か見落としてしまわないかとか抱っこをしたりなかったとかあとで後悔したくないとか思ってて、感情の面でも、赤ちゃんとの日々に感じ得ることができるあるあらゆる感情を余すことなく感じたいという欲張りな思いを持って日々を過ごしている。

    だから、育児に関するエッセイや詩集は良い。
    感受性と言葉の天才たちが、感じたことを読み学べるのだから。

    読んでいると、心の筋トレになって、しっかり乾いた蚊帳ふきんのような吸収力とダイソンのようにあらゆるものを吸い取る力を磨いているような気分になる。

    いくつかものすごく共感できる尊い感情があった。
    もう妊娠中のことも新生児期も遠い昔のようで、愛おしいからまた振り返りたくなるけど、今は今目の前にいる我が子に専念しよう。

    これから感じるのかなと思った感情もあった。
    その時が来るのが楽しみの1つとなると同時に、その時がまだまだ来てほしくなくて今が尊いことを教えてくれた。


    子育てが終わったら、今を懐かしむためにまた読みたい。


    詩の表現自体は、柔らかくて癒やされたけど、格段好みではなかった。
    昔の私はスイートなおーなり由子さんの表現が大好きな少女だったが、今はビターなものが好きな大人になったのだと思う。


    天使の見つけ方、20年ぶり?くらいに読んでみたいな。どんなことが書いていて今の私はどう感じるのだろう。自分の変化を知るいいバロメーターになるかもなんて期待して。



    ※ちなみに。
    おかあさーんと呼ばれていくうちに、お母さんになってくらしい。まだなれてなくても仕方ないかと少しホッとした。
    あと、突然たくさん喋りだすのかぁとか、風邪だと甘えてくるのかぁとか、こどもは寄り道だけで1日が終わるのかぁとか、歩き出すと赤ちゃんは突然子供になるとか、そのへんがなるほどーと参考になった。
    妊娠中にそっと歩くとか、赤ちゃんはどんな顔でどんな声の子だろうと思ってたこととか、新生児期に、まだ笑い方も知らないのかとか、目も開いてないけど必死でおっぱいを吸うとか、明るい方を見てるとか、その少し先に突然笑ったり笑い声を上げたときの感動とか、そのあたりは懐かしくて共感できた。

  • おーなりさんが丁寧に紡いだ おかあさん の詩が、新米母の私にそっと寄り添ってくれました。感動。目頭じんわり。ようやく寝てくれた息子の隣で、危うく泣くところでした。
    きっと、これからずっと私のそばにいて、だんだん おかあさん になっていく私を見守ってくれる、お守りみたいな本だと思います。

  • すやすや寝ている小さな娘を、お腹に乗せたまま読みました。

    おーなり由子さんの
    やさしい言葉とまぶしい感性が、
    木漏れ日のように心を満たしてくれます。

    妊娠中の、ふたつの命を抱いている不思議。
    生まれたての、ふにゃふにゃの愛おしさ。
    やがて訪れる、嵐のようなにぎわしい日々。

    やさしくもなく、
    明るくもなく、
    弱音をすぐ吐く私も、
    (おかあさん)になれるのだろうか?

    苦労も涙もないわけじゃない。
    でもその上を、綿毛のように軽く幸せが舞っている。

    これから、何度も悩むだろうけれど、
    いとおしい命と生きていることを、心に留めておきたい。

    大切な時間をかみしめながら。
    焦らず、ゆっくり。
    「だんだんおかあさんになってゆく」。

  • 本屋に行けないので、中身見れないから買おうかどうしようか
    散々迷ったすえ、おーなり由子さんのものなら間違いないだろうと
    amazonで購入にいたる。

    内容は赤ちゃんが生まれてから2歳くらいまでの様子を
    描いた詩と絵。忘れていたあの時のあれやこれやを
    思い出してとっても優しい気持ちになれる。
    写真をみなくても、ただ言葉だけでこんなにも色々な情景を
    思い出すことが出来るんだなと改めて言葉の素晴らしさを
    感じさせてくれる詩集だった。
    おかあさんなら、これを読めば子供に優しくなれるはず。
    優しい気持ちになれるはず。

  • 読んで欲しい、贈り物としては…
    妊娠後期くらいか出産後の人へがいいと思った
    (読む時間が確保されてるから)

    自分の子どもが3ヶ月になる前によんだ。
    妊娠~喋りだすくらいの時期を詩にしてある。
    私は経験したこと、まだ経験してないことがある時期に読んだので、共感と今後こうなるのかという楽しみを感じられた一冊。

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著者プロフィール

おーなり 由子(おーなり ゆうこ)
絵本作家、漫画家。主な作品に『ことばのかたち』『ラブレター』『あかちゃんがわらうから』『どしゃぶり』『ワニのガルド』、翻訳に『たいせつなあなたへ あなたがうまれるまでのこと』『ごはんのじかん』『おにいちゃんといもうと』など。漫画に『あこがれくじら』『ともだちパズル』『てのひら童話』ほか。エッセイ、詩集に『きれいな色とことば』『だんだんおかあさんになっていく』『ひらがな暦 三六六日の絵ことば歳時記』など多数。

「2023年 『幸福な質問 New Edition』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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