- Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569774534
作品紹介・あらすじ
フランス革命は、以後のあらゆる革命の基本になった。社会主義はもちろん、いまの日本の「改革」志向も、すべてこの革命に通じている。だが、その真実は何だったのか?221年前、フランス革命が進行するさなかに書かれた名著が、バージョンアップされて21世紀によみがえる。
感想・レビュー・書評
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フランス革命は得るものもあったかもしれないけど、失うものも多かった。こういった革命は結果的に混乱を生んだだけだったんだろう。一方、日本の明治維新は奇跡と言っていいだろうな。
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2015/5/10読了。保守主義の元祖バークの代表作。学生の頃から読もうと思いつつも、なかなか触手が伸びなかったが、抄訳ながら新訳が出たとのことで読みました。経験主義に基づく伝統を重視し、フランス革命の革命派をトコトン批判しています。事実誤認、言いがかりやエア批判(?)レベルの記述もありますが、エセ改革への批判は痛切で当時の革命派の問題点はわりかし的確に捉えている印象です。ただ、なぜ伝統重視が正しいと言えるか根拠がいまいち薄弱で、結局は現状維持バイアスや英国の制度礼賛みたいなものを感じました。訳も分からず保守を自称する人は一読すべきですが、そういう人は妄信しちゃうんだろうな(苦笑)もちろん、それ以外の方が保守思想の源流やポピュリスト批判を知る意味で一読の価値はある一冊です。
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性急な革新に反対し,「伝統」として結実した人間の英知に学ぶ「保守」を提唱する。
平等原則を徹底することに対する懐疑的態度や法の支配を重視する思想など,後の「保守」派に受け継がれた思想の萌芽がちりばめられている。
ただし,結論だけが書かれているという印象で,「保守」思想にシンパシーを感じる人でなければ,読んでも不愉快になるだけだと思う。
なお,“prejudice”は,「固定観念」と翻訳されている(「偏見」と翻訳されることが多い。)。
また,砕けた訳文で,よく言えば「親しみやすく,手紙としての本質をよく表現している」が,悪く言えば「品がない」。
抄訳であることを補うための注が丁寧に挿入されている。 -
「私の価値観は保守主義だなあ」と最近になって自覚したので、保守主義の父と呼ばれるエドマンド・バークの古典を読んでみました。でも予想と違ってトンデモ本と言えるくらい過激で感情的な本でびっくり。かなり辟易しましたが、それでも、フランス革命が進行している最中に失敗を予言している洞察は見事です。伝統の体制を否定する「改革派」は、現実には財政バランスが取れない政府を作ったり、改革派に近い立場の一部の人だけが得する不平等な社会を作ることになりがちです。日本でもそうですね。大変勉強になる一冊でした。やっぱり古典は良いです。
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イギリスの「保守」に対する考え方の核心が分かる書物だと思います。
基本的に、社会システムは論理だけでは設計できない、ということが強く主張されているように思います。
なるほど、伝統や慣習ですべてを判断するのが問題がるとするならば、その対極にある論理ですべてを判断するのもまた同じく問題がある、という考え方は大いに納得できるところであります。
論理的に考えた結果を、物事を進ませるために、既得権を持つ勢力に説得していくというやり方は、時間はかかるが、伝統や慣習とバランスをとるためには必要なプロセスである。という考え方には目から鱗でした。 -
バークはフランス革命の個々の政策問題についても議論しているが、本質的には革命家達の気質や傲慢さ、愚かさを批判しているのであり、その指摘は革命的な政治変動一般に当てはまる。本書は抄訳であり、バーク保守主義を読みやすい普及版にすることを目的としているとともに、近年の日本の改革/革命ごっこ政権に対する批判本としての訳者の思惑を強く感じさせる。訳は大胆で言葉遣いはやや乱暴であるが、「固定観念」「国体」といった訳語のチョイスは評価したい。あくまでつまみ食い的な抄訳なので、みすず版の全訳も読むことを強く勧める。
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ハンナ・アーレントやハイエクの著作を読んでいると、フランス革命の理解が必要になる。概略は、もういちど読む山川世界史で数十年ぶりに把握したが、関連書として、エドマンド・バークのフランス革命の省察を読んでみた。この新訳は、原著の内容を相当圧縮して編集しているが、どの章も同じ話の繰り返しになっていて、本来ならさらに短くできるであろう。名誉革命はよくて、フランス革命がいかにだめだったかはよくわかった。
まったく新しい社会を打ち立てたいというユートピア的願望に基づいた革命の結果が、多くの違法行為と大きな混乱である。最終的な収拾はナポレオンによる軍事独裁国家。しかし、政治の素人が立脚する法的な根拠もなしに勝手なことをするれば、国家ががたがたになるのは当然であろう。
バークは、保守主義の父と呼ばれているが、所属していたのはホイッグというのは意外であった。
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フランス革命をやっている最中にボロクソに批判した本。
理念先行で革新的なことをするのではなく、これまでの経緯もしっかり踏まえた上で進めていくべき(という意味での「保守」)というのは共感する。
しかし、この後、散々紆余曲折を経るとはいえ、この革命による恩恵を大いに受けている現代に生きている身としては、いたずらに批判もできない。
加えて、翻訳の問題なのかもだが、関わっている人を完全にバカにしているのはいかがなものか…
#コテンラジオ さんの以前のフランス革命の放送も聞いていて、確かに経験の浅い若者たちが主導したものではあるらしいけど…(^_^;) -
フランス革命勃発直後の、英国の一政治家による批評で、ナポレオンの台頭はおろか、国王処刑よりも以前の論述だけに、行く末が誰にも見えない、リアルタイムならではの生々しさがあった。革命への嫌悪と不安に満ちた、保守派の立場から、国民議会を徹底的に非難するスタンス。ただ偏りは激しいものの、一定の見識に基づいてはいる。公共の為に仕方ないとされた行為が、転じて行為そのものが目的化し、過激傾向に走るという観察や、その能力で軍の支持を得た者がフランスの支配者になるという予見などは、政治と人間社会を識った人ならでは。そして、のし上がった軍人が天下を取った国は、それに反発する周辺国との戦争が不可避となる。怪文書に近い本考察だが、当時の知識人層が混乱するフランスの政情をどう捉えていたか垣間見える点貴重。
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洞察が的確で、現代にも通ずる名著って話で読んだけど、難しすぎてちんぷんかんぷんだった。歴史の知識をある程度入れてからなら、かなり面白いと思う。
将来読み直そう