鳥肌が (PHP文芸文庫)

著者 :
  • PHP研究所
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感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569769431

作品紹介・あらすじ

日常の中でふと感じる違和感、自分が信用できなくなる瞬間……。思わず「鳥肌」がたつ瞬間を不思議なユーモアを交えて描くエッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 読書備忘録744号。
    ★★★。

    これもエッセー。姉が読み終わった本を渡された。
    良く考えてみたら、これって怖いよね。鳥肌だよね。というエッセー。
    確かにあるあるの内容。

    印象に残ったのは、
    「状況が理解できていないのでパニックに陥る。状況が分かったら、な~んだ。」という話。逆に、
    「思い込みから本当の状況が分かっていなかったのでなんでもなかった。本当の状況が分かったらこわっ!」
    っていう話。
    確かにあるあるですね。

    ベランダにぶ~んと虫が飛んできた。うわっ!やつだ!と思ったらなんやカナブンや。
    ベランダにぶ~んと虫が飛んできた。カナブンかと思ったら奴だった。ぞわっ!

    オカルトとか心霊話題もあり楽しめました。

  • 同じような人がいて安心した。電車の一番前の車両には乗りたくない(極力乗らない)とか(これは著者のお知り合いの話だが)。万が一事故が起きたら前方ほどダメージが大きい
    から。菓子パンのカロリーを見て買うのをやめる、とか。
    そして、自分以外の全員が実は自分と異なる何かだったら。とか(自分だけが知らなかったら、取り残されたらという恐怖)。
    笑えるものから、鳥肌が立つぞっとすることまで共感すること多い。

  • 穂村さんの未知の体験にまず恐怖を見出だしリスクを避けようとするに同感。でもそこからの想像力はとても及ばない。怖さと可笑しさの共存。さすが。文庫なのに『鳥肌』感ある凝った装丁も素敵。

  • いろいろな“ゾワゾワ”
    道に手袋が落ちていた時のゾワゾワ、でも目を離せなくてヒヤヒヤ

  • ほむらさんの本全部面白い
    電車を待つ列の1番前に立つのが怖いとか、めっちゃ分かる

  • 誰も気づかないような日常に潜む恐怖感。
    それを感じうまく言語化する穂村弘さんのユーモアな感性は素晴らしい。表層的な共感じゃなく、深い共感をおぼえた。

  • 面白かった!

  • エッセイとは知らずに手にとってしまい
    途中で読むのをやめてしまった…

  • ちょっとした違和感とかぞわってすることを、コミカルな文章で書いてあって、その中には、わたししか怖いって思ったことないと思ってた!ってものもあって、ちょっと安心すると共に、逆に、こんなことこわいんだなぁ、と、人の感性の唯一無二さと無限さを感じる面白い本です。
    そして、装丁がスゴイヨ!
    装丁(鳥肌に見立ててぶつぶつになってる!のと、マットな肌触り)とタイトルと中身と、フォントどこをとっても面白い本でした。

    _φ(・_・
    ■自分フラグ
    自分が何をしでかすかわからないという恐怖、これ本当に自分だけ頭の回線おかしいのかもと思っていたけど、他にもいて(少なくとも穂村さんがそうで)ちょっと安心、、、よかった、、、
    よく思うのは、舞台やライブ観劇中に、私が今ここで舞台に上がったらどうなるだろう、という意味わからんことをよく考える。自分でも謎。いつかやっちゃうのかな。

    ■他人に声をかける
    これこそみんな持ってるものなのでは。
    電車で席を譲れないのは、譲ることに抵抗があるわけではなく、他人に声をかけることに抵抗がある、いいことだろうが悪いことだろうが他人という未知の扉を叩くことは本質的には恐ろしい。という一文は、分かる人にはわかるのではないだろうか。
    幼少期のほうが、こういう、他人に対して素直にやってあげたいな、とおもうことをできていたのはどうしてだろうか。
    世の中とか他人とか社会とかを知りすぎてしまったからなのか。
    逆に、わたしは、時によってはむしろ声をかけないでくれオーラを放ちまくることもあるし、オーラとか目に見えない雰囲気というのは本当にあるんだろうな、と思う。

    ■原材料という不安
    これもわかるよ〜!!最近、加工食品の原材料みては慄いて、棚に戻すっていうのを繰り返してる。人間の生命維持のために遠ざかるほど怖さが増す、のもわかる。
    肉食というのも怖いし、それが弱肉強食というのであれば、娯楽的に(化粧とか皮とか)他の動植物を搾取しているのって、やっぱり、なんとなく、いい気持ちはしない。
    こないだ、プラセンタが入っててとてもお肌にいいですよ〜プラセンタって豚(牛?)の胎盤なんです〜って言ってるお姉さんみた時は、ほんとにちょっと恐怖だった。

  • 穂村弘(1962年~)氏は、札幌市生まれ、上智大学文学部卒、1986年に連作「シンジケート」で角川短歌賞次席(同年の受賞作は俵万智の『サラダ記念日』)、1990年代には加藤治郎、荻原裕幸とともに「ニューウェーブ短歌」運動を推進した、現代短歌を代表する歌人の一人。エッセイも多数執筆している。
    本書は、2016年に出版され、2017年の講談社エッセイ賞を受賞、2019年に文庫化された。
    私はこれまで、著者の『はじめての短歌』、歌集『ラインマーカーズ』、エッセイ集『蚊がいる』を読んできたが、その歌もエッセイも、著者の鋭敏かつ独特の感性と、それを文字にする表現力があっての作品であるが、本書も、それらが遺憾なく発揮されたエッセイ44篇が収められている。
    解説で、作家の福澤徹三は次のように書いている。「怖さとは想像力である。まだ起きていいないなにかに思いをめぐらせることで怖さは生じる。すでに恐怖の渦中にいてもそれはおなじで、これからを想像するから怖さは増す。つまり想像力が豊かであるほど、恐怖に対する感覚は鋭敏になる。そういう意味でいえば、名だたる歌人でありエッセイストでもある穂村弘さんに怖いものが多いのは当然だろう。本書『鳥肌が』は、穂村さんが怖いと感じる-すなわち鳥肌が立つ事柄について記したエッセイ集である。」
    著者が「鳥肌が立つ」事柄とはどんなことか。。。それは、「娘が死ぬのを見届けてからじゃないと死ねない」という母親、夫が無呼吸症候群であることを教えずに毎晩隣で眠る妻、哺乳瓶からミルクを飲むヤギの赤ちゃんの目、外国で起きた連続殺人事件の被害者が皆青目金髪ロングヘア―真ん中分けだったこと、自分が連載していた日記でわずか1ヶ月の間に無意識に同じエピソードを2度書いていたこと、几帳面で仕事もできる男性が自分の年齢を妻に指摘されるまで間違っていたこと、まだ元気だと思っていた自分の母親に「今は昼かい?夜かい?」と聞かれたこと、また、自分と他人の感覚のズレから生じる様々な事柄、未知の自分や将来に対する様々な事柄、等々である。多くは、我々が見聞きしたとしても、一瞬「?。。。」と思いつつ、次の瞬間には流してしまいそうな事柄なのだが、著者はそれを一々留保し、他の類似した事柄や一般的な法則のようなものに敷衍していく。
    そして、それらを読んでいると、我々も、日常に埋もれがちなそうした事項が、実は怖いことなのだと改めて気付かされるのだ。
    我々の日常に埋没した怖さを軽妙な筆致で描いた、著者の代表的エッセイ集である。
    (2021年3月了)

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著者プロフィール

穂村 弘(ほむら・ひろし):1962年北海道生まれ。歌人。1990年に歌集『シンジケート』でデビュー。短歌にとどまることなく、エッセイや評論、絵本、翻訳など広く活躍中。著書に『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』、『ラインマーカーズ』、『世界音痴』『もうおうちへかえりましょう』『絶叫委員会』『にょっ記』『野良猫を尊敬した日』『短歌のガチャポン』など多数。2008年、短歌評論集『短歌の友人』で伊藤整文学賞、2017年、エッセイ集『鳥肌が』で講談社エッセイ賞、2018年、歌集『水中翼船炎上中』で若山牧水賞を受賞。

「2023年 『彗星交叉点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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