武士の碑(いしぶみ) (PHP文芸文庫)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (534ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569767550

作品紹介・あらすじ

西郷隆盛と大久保利通の後継者と目された村田新八。西南戦争とパリを舞台に“最後の武士”として生き抜いた新八の活躍を描く力作長編。

感想・レビュー・書評

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  • 西南戦争とは、かくも激しきものだったのか……

    人は天命に従い、しかるべき所で死ね、ですな……

  • 西南戦争をモチーフとした作品で1870年代のパリを交わらせる試みは非常に興味深かった。

    一方で西南戦争自体の描写は惰性で読んでしまった感が否めない。その理由には、史料が多く残りすぎているために描写や展開に遊びが見られず入りこめなかったこと、そもそもの戦争の大義名分や意義に共感ができなかったりことがあると思う。

    古い武士の誇りと言えば綺麗なものだが、勝てる見込みもないのに大志ある若者の命を犠牲にし続ける西郷以下の幹部たちはリーダーと言えるだろうか。結果として、本戦争が士族の不平反乱を終わらせたという歴史的意義はあるものの、非常に苦い後味だった。

  • 何故、この国の最後になる内なる戦いが、無ければならなかったのか?西郷と大久保の次には・・・。一人の後継者であったかもしれないこの男の人生。パリでの日々も又、愛おしい。

  • まさにラストサムライ、胸が熱く激っている。

    西郷隆盛に仕える男達の様々な思いが交錯し、思いもよらず戦争になり、転がるように事態が悪くなっていく、それでも武士としての本懐を遂げるために行動する様に、のほほんと暮らしている自分が恥ずかしくなるくらい熱い話だった。

    ただ、西郷隆盛が何であんなにカリスマ性があったのかを知らないので、西郷さんの本を探してみようと思う。

  • 幕末ものは大好きで、よく読んでいるが、薩摩ものはあまり読んでいない。「翔ぶが如く」ぐらいか。
    これは面白かった。殺伐としそうな戦争シーンも途中に入る海外渡航エピソードが、全体柔らかくしている。

  •  熊本地震から間も無い7月の梅雨明け頃に、熊本市街から植木まで路線バスで移動、植木から徒歩で田原坂へ向かったことがあります。曇り空のなか、移動中の高低差は無く、田原坂を突破されると熊本城まで遮るものが無いため、加藤清正が北の要衝と定めた地勢を足で実感しました。
     その後、大河ドラマ「西郷どん」の放送も決まり、西郷隆盛に関連する本を読み耽りました。しかし小説はそれが面白いほど史実が分からなくなるので、愛読の「翔ぶが如く」を除いて読まないことにしていました。
     
     もうそろそろ良いかと思い、遅ればせながら本書を手にしました。史料が少ないため謎多き人物である「村田新八」を主人公とした西南戦争を舞台とした物語。期待どおりに面白い!殺伐とした戦場に新八のフランス滞在時の想出が入り交じるのは、人間新八が感じられて「手風琴」(小説ではコンサーティーナ)を奏でる場面と共に小説を彩っていて素晴らしい。
     読み始めるとふむふむと頷く場面が多いですが、佐賀の乱の事後の対応のエピソードで大久保利通がますます嫌いになりました。
     
     田原坂では博物館を見学したあと、激戦地の薩摩軍陣地の田原熊野座神社(宮山)まで10分程歩きました。熊本地震直後の訪問であったので、社殿にも多少の影響が見られました。境内は野球グランドの内野程の大きさで、ここで双方が最新のスナイドル銃をわずか60メートルの距離で射撃を行ったと言います(境内から薬莢が発掘されています)
     
     本書は素晴らしい出来かと思いますが、西南戦争を真正面から語るには短すぎるのではと思いました。
     小説でも名前が登場する熊本隊はじめ各地の士族など約一万名が薩軍に参加し、この中には熊本の協同隊、佐土原の佐土原隊など自由民権運動や農民兵も多く含まれていました。今で言うと右派から左派まで、政府打倒の為の呉越同舟でした。もう少し彼らが登場すると、「明治六年の政変」から「最後の内戦」まで、より面白かったのではと思うのは贅沢でしょうか?
                       

  • 西南戦争って何だったのでしょうか。コロナ明けたら南洲神社に行って手を合わせて、聞いてみたいと思います。

  • 西南戦争の村田新八のお話。
    あまり詳しくない人物のため、とても興味深く読めた。
    戦争の記録を相当に読み込んで書いていると思った。明快かつ重厚な近代戦の描写に引き込まれた。
    西郷と村田新八と、西南戦争の意味合いなどなど、心理描写も面白かった。
    これも、西南戦争の西郷についての1つの解釈と思う。
    おすすめ。

  • その男の奏でる調べは、武士の時代への鎮魂歌か―。西郷隆盛と大久保利通の後継者と目されていた村田新八は、岩倉使節団の一員として渡欧、パリにおいて、西郷が大久保と袂を分かって下野したとの報に接する。二人を仲裁するために帰国し、故郷・鹿児島へと向かったものの、大久保の挑発に桐野利秋らが暴発。ここに、日本史上最大にして最後の内戦・西南戦争の火蓋が切って落とされた。

  • H30.1.15-H30.2.17

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著者プロフィール

1960年神奈川県横浜市生まれ。私立浅野中学、浅野高校、早稲田大学卒業。日本IBM(株)入社後、おもに外資系日本企業の事業責任者を歴任。
著書に『戦国関東血風録 北条氏照・修羅往道』(叢文社)、『悲雲山中城 戦国関東血風録外伝』(叢文社)がある。
加入団体に『八王子城とオオタカを守る会』『八王子城の謎を探る会』『ちゃんばら集団剣遊会』『三浦一族研究会』等。
趣味 中世城郭遺構めぐり 全国合戦祭り参加 ボディビル エアーギター アマチュア・ウインドサーファーとしてソウル五輪国内予選に参加(8位) 「湘南百年祭記念選手権」優勝等各種レース入賞多数
*ご意見、ご感想等の連絡は下記のメールアドレスへ
jito54@hotmail.com

「2006年 『虚けの舞 織田信雄と北条氏規』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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