東大物理学者が教える「考える力」の鍛え方 想定外の時代を生き抜くためのヒント (PHP文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569766881

作品紹介・あらすじ

東大の人気講義のエッセンスを凝縮! 問題を見つける力、解く力、諦めない人間力。どんな状況にも対応できる力を、3ステップで伝授。

感想・レビュー・書評

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  • 良書、わかりやすかった
    時代の変化に適応するために、自らの頭脳をいかに鍛えていくべきか
    そのためには、新たな問題を発見したり、独創的なアイデアを生み出す「考える力」を鍛えることが必要であることを。

    ・自ら考える力とは
     ①問題を見つける力
     ②解く力
     ③諦めない人間力 この解説が本書です。

    気になったのは、以下です。

    ■全体:考える力とは
    ・アインシュタインの2つの言葉
     「すごく頭が良いわけではなく、ただ、人より長い時間、問題と向き合っているだけだ」
     「特別な才能などない。ただ、情熱的と言えるほど好奇心が旺盛なのだ」
    ・「マニュアル力」vs「考える力」
    ・「マニュアル力」とは、課題として要求される知識やスキルを効率的に身につけるもの。だから、最初から1種類の答えが用意されています。
    ・「考える力」とは、正解などは存在せず、それに対して自分なりの答えを見出すためのもの。
     ①まず問題を見つけなければなりません
     ②そして、答えも自分で創造しなければなりません
     ⇒問題の本質を見極める力
    ・他の人が意識していない問題を見出しそれを独自の方法で解決に至るまでやり遂げる能力
    ・何が分かっていないのかわからない ⇒ すでに分かっていることの整理をまずやる⇒地図を作る
    ・きちんと考える。時間の多寡など関係ない 大切なことは、すでに学んだ「知識」でなく、学ぶことで身につける「知恵」 ⇒だから、知識は忘れてもいい

    ■問題を見つける力
    ・ビジネスの世界で必要なのは、やるべき課題を自ら見つけられる人 ⇒成功の鍵を握っているのは、「問題を見つける力」
    ・第1歩は、日頃から、「疑問を大切にする」習慣を身につける
    ・人との対話、自分との対話を通じて、問題意識を煮詰めること
    ・一度手放してしまった思考は二度ともどってこない、だから今考える、
    ・「何を、何のために考えているのか」を意識する
    ・「分からない」を分類して、「何が分からない」を明確化する
     ①事実を知らない ②答えがわからない ③何がわからないのか、分かっていない 
     ⇒これが「問題を身つける力」のキモ ⇒ 本質抽出 何が本質的なものなのかを見極める
    ・わからないこと、ひらめいたことをメモにとる
    ・問題を見つける極意とは、情報を 集める⇒理解する⇒捨てる
    ・ノートにまとめる利点
     ①要点を明快に整理
     ②何がわかっていないのかが、はっきりと理解できる
     ③人の話を要点は何かを意識しながら聞けるようになる
    ・何をやらないかは、何をやるかと同じぐらい重要
    ・地図を作る

    ■解く力
    ・複雑な問題を類型化して単純化する
    ・問題を細かくする 類型化⇒要素化⇒各要素の個別解決 部分なら解決できる
    ・2つのアプローチ
     ①ゴール・オリエンテッド 目標を明確に定め最短距離を一直線に進む、目的志向型
     ②キュリオシティ・ドリヴン 目標とは一見関係なさそうな方向に好奇心のおもむくままに進む
     当初の目的にしばられない自由な発想を得る⇒広い視野、物事を多角的に見る、好奇心主導型
    ・わかっているつもり、と知っているつもりは、落とし穴
    ・「マニュアル」を更新する なぜそうあるべきなのか、どんな場合にそうなるのか、本来どうあるべきか

    ■諦めない人間力
    ・諦めず最後まで考え続ける
    ・すぐに認められる成果を出そうとしない
    ・何をやらないかを決めることは、やるべきことに集中すること
    ・考えに没頭していると、何をやってもそのことを考えるようになっている
    ・行き詰まったら、スタート地点に引き返す勇気をもつ⇒中途半端に途中ではなく、スタート地点にもどること
    ・分からないこと、成果が出ない時間は、決してムダではない
    ・長い時間をかけて、試行錯誤をくりかえす
    ・エラーをしてもへこたれず、何度でも粘り強くトライを繰り返す
    ・失敗の原因を分析して、少なくとも同じ過ちを繰り返さないで次のトライを計画する
    ・「決して諦めず、希望をもって、最後までやりぬくことが成功に至る王道」

    ■まとめ
    ・集めた情報を次々と読み込んで同様の作業を続けていくと、お互いに結びついていることが見えてくる
    ・答えのない苦しさを感じたら、ひらめきはすぐそこにきている。
    ・本当にそうなのか、どうして、の思考をクリティカルシンキングという 客観的かつ分析的に考える手法
    ・常識とは書き換えられるためにある

    重要であるとは、知識ではなく、知恵である。

    目次

    文庫版まえがき
    はじめに
    予講 「考える力」とは何か
    第1講 「問題を見つける力」を身につける!
    第2講 「解く力」を身につける!
    第3講 「諦めない人間力」を身につける!
    第4講 考えることは、創造すること
    おわりに

    ISBN:9784569766881
    出版社:PHP研究所
    判型:文庫
    ページ数:240ページ
    定価:640円(本体)
    発売日:2022年03月18日第1版第12刷

  • 大学入学直後でこれからの大学生活に不安を抱いている人や大学で研究を進めようとしている人におすすめの本

    本当の意味での考える力と困難な状況に直面しても諦めない人間力を身につけたいと思った。
    社会に出るに当たって社会構造の変化や自然災害に柔軟に対応し考えることのできる人になりたいと思った。

  • 何となく読み始めたが、「高校まで優秀だったのに大学に入って凡庸になるのは、深く考える力がないから」というフレーズで頭をガツンと殴られたような衝撃を受けた。
    まさに自分のことだったからだ。
    大学に入ってからは、あまりにも勉強の種類、質共に違いがありすぎて、何をどうしていいかわからなかったというのが正直なところ。
    社会人になって今さら、深く考える力が養われてなかったからかと腑に落ちた。
    大学時代にもっと読書をして、この本に出会えてればよかったなとも思うが、悔いても仕方ないので、この本で読んだことを実践していきたい。

    特に、ニワトリとヒヨコの話は、これもまた、自分のことを言われているようで、深く刺さった。
    効率化が大好きだし、それこそ正義と言わんばかりに、取り組んでたけど、そればかりに気を取られてると、遊び心や柔軟な発想を失ってしまうと知って、目から鱗だった。
    私の凝り固まった脳味噌は、ゴール一直線すぎたんだ、それこそ高校までの思考で止まってるからだ、と気づけた。
    これからは、仕事でも、私生活でも、キュリオシティ・ドリヴンを意識して、少し関係のなさそうなことにも関心を払っていきたい。
    そんなことに気づかせてくれた読み応えのある一冊でした。

  • 学生向けに書かれた本と言う事ですが、社会人にも物凄く役立つ内容。日ごろ自分が、考えると言う事を回避して、マニュアル的に、即物的に答えに飛びついていたと言う事を認識させられました。

  •  入試で培う能力はマニュアル力であり、それは考える力を支える基礎の一つであるという。いま日本の社会に必要な想像力は、その考える力を極めた末に得られることであるという考えだ。
     何となく考えていたことを言語化してくれる本であった。筆者の覚えたことは思い切って捨ててしまうという行動は潔いが、私の生活感には合わない。ただ、集中すべきものを意図的に明示するという考え方は参考になった。今年はこの方法でやってみようと考えている。

  • 東大物理学者が生徒たちを見てきて、そして自ら気づいた考える力のノウハウ

    マニュアル問題でなく創造力大事
    メモを取ろう、でも捨てよう
    情報はため込まず捨てるのが大事。
    著者も論文読んだら捨ててる。
    時間かけて考え抜く。それは非効率ではない。
    好奇心の赴くままに考えることが実は解決の糸口になるキュリオシティドリブン
    最初に戻ってみるのも解決策

    問題を見つける力
    好奇心を大切にし、疑問に思ったことを、自ら調べ、要点ををメモして整理すること

    1つのテーマを長時間考え続ける


  • 【読書メモ】
    研究開発等で必要になる「考える力」を身につけ鍛える方法を指南している本

    そもそも「考える力」「創造する力」とは、問題を見つける力、解く力、諦めない人間力の3つから構成されている
    1 問題を見つける力は、問題意識を煮詰めることで身につく
    「何がわからないのかを明確に意識」し、理解した部分は捨てわからない部分をさらに明確化する
    自分で疑問に感じたことを自分で調べる等、「受け身」から「自ら考える」姿勢へ変えていく
    2 解く力とは、問題や課題を解決するための能力
    類型化、シンプル化することで細分化し、一つずつ解決していく
    3 諦めない人間力により自分が選んだ課題にあきらめずに取り組む
    何をやるかやらないか、やるべきことに集中し、「本来どうあるべきか」を問い直し、失敗から学び取る

    学校で学んだ、課題として要求される知識やスキルを効率よく身につける「マニュアル力」は、考える力の基礎力となる重要なもの
    なるほど最近の学校許育でもてはやされる「考える力」も基礎学力が必要か

    大学生や研究者以外でもノウハウが活用できると謳ってはいるが、ここまで考え抜くようなレベルはさすがに過剰かな

  • 学生の頃、何故英語の語順に正解が一つしか存在しないのか教師に質問して怒られたことを思い出した
    当時は試験に直結しない非効率な疑問を思い浮かべることは低質な考え方なのだと思い込んでいたが、本書を読んで気持ちが救われた

    --------
    大切なのは、学んだ知識ではなく学ぶことを通じて身につける知恵
    問題課題に適用できる有効な方法は類型化、要素化、各要素の個別解決のモデル
    自分の言葉でメモすることは、一度脳内で情報を処理する必要があるため、記憶が定着する

  • いわゆる「頭の良さ」というのが「マニュアル力」「考える力」「創造力」となっている。
    ちなみにこの3つの力は、それぞれ高校、大学、大学院で求められる力だと著者は述べている。
    本書は主に考える力とその先の創造力の鍛え方について書かれている。
    考える力のベースには、何が知りたいのか、何がわからないのかを明確にするために著者が行なっていることが紹介されている。
    さらに、創造力を発揮して大きなことを成し遂げるための例として過去の偉人を例に「諦めない人間力」についても語られている。
    大学入学を控える高校生から社会人まで幅広い層にとって収穫のある一冊になっていると感じた。

  • 考えるとはどういことなのか。改めて考えたいと思って手にした本。少し自分が思っていたのとは違うかな…理系の研究に取り組む人向けの本だな。でも、参考にしたいところはたくさんあった。高校まで学んできたことは、問いに対して一つの正解がある、いわばマニュアル力。これからの時代は正解が一つとは限らない創造の時代。考える力がとても大切。疑問をもつことが重要。その際、自分が何をわかっていないのかを明確にすることが考えるための第一歩。日常のなかで、疑問がたくさん浮かぶように意識していきたい。
    著者が本文の中で、現代は情報を集める方法ばかりが発達した時代。だからこそ、捨てるスキルはますます重要になっていると述べている。これはとても印象に残っている。知識太りにならないよう、本質を理解したら、その情報は捨てる。それを意識して頭のなかをゴチャゴチャにならないようにしていきたい。

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著者プロフィール

上田 正仁
東京大学教授 博士(理学)

「2022年 『量子測定と量子制御 [第2版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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