あかんべえ (PHP文芸文庫)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (689ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569762319

作品紹介・あらすじ

「ふね屋」に化物が現れた。娘おりんが屋敷にまつわる因縁を解き明かしていくと……。宮部ワールド満載の時代サスペンス・ファンタジー。

感想・レビュー・書評

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  • 主人公のおりんちゃんがとっても可愛い。可愛いだけでなく、強くて優しい子。そんなおりんちゃんの活躍を読むのは楽しい。

    料理屋を始めるために深川に引っ越してきたおりんちゃん一家。でもそこはいわゆる事故物件。料理屋"ふね屋"を始めてもお化け騒動で幸先が悪い。おりんちゃんのお父ちゃん、お母ちゃん、お店の人はとっても困ってしまう。でも、おりんちゃんだけがお化け騒動の原因を知っている。なぜならお化けさんたちが見えるから。"ふね屋"には5人のお化けさんがいる。お侍さんの玄乃介、おどろ髪、おみつ、按摩師の笑い坊、お梅の5人。この5人の成仏できない訳をおりんちゃんが調べていく。そして、30年前の忌まわしい事件が関係してると分かってくる。5人は無事成仏できるのか?というのが大まかなあらすじ。

    5人のお化けさんとおりんちゃんのやり取りが、ほのぼのしてて好き。お化けさんたちは優しい。でも悲しさも持ってるからそこがほろりとなる。私は按摩師の笑い坊がそばにいて欲しいなと思った。身体の調子が悪いときは揉みほぐしてほしい。あと好きなのが、おりんちゃんのおばあちゃんのおさきさん。本当のおばあちゃんではないけど、とても頼りになる人。この人が好き。筋が通ったとても気持ちがいい人。おさきさんの目を誤魔化すことはできない。こんな人になりたいと思った。

    読んでて苦労したのが、女性の登場人物の名前。おりん、おさき、おつた、おたか、おゆう、おりく、などなど。漢字が入ってる名前、たとえばお多恵、お静、お律は分かるんだけど、平仮名ばかりだとなかなか覚えれなかった。この女の人はどういう人だったけ?と途中でよく分からなくなってしまいました。

    やっぱり宮部みゆきさんの時代小説は好き。心温まる話なんだけど、人の醜い部分も書かれてるから身近に感じられる。こういう嫌な人いるよねー、ってよくなる。いい事ばかり書かれてると胡散臭く感じるし、悪くて嫌なことばかり書かれてると私は読みたくない。私の中にある良い、悪いの比率が宮部みゆきさんの作品はあってるんだと思う。

    まるでRPGゲームのようなお話でした。

  • 包丁人太一郎とお多恵と12歳の娘おりん。三人はこのたびめでたく深川の堀瑞に料理屋を開いた。
    しかし途端に娘のおりんが高熱を出し、生死の境を彷徨う。
    ようやく三途の川の端から返ったおりんの目には不思議な按摩のおじいさんとあっかんべぇをする小さな女の子が目に入る。後にはイケメン侍や美しい姐さんと出会うのだが、しかし、いったいこの人たちはだぁれ?

    お話は12歳の女の子おりんの一人称で語られます。
    おりんになってお話を体験してゆくせいか、素直に新鮮な気持ちで文字を追ってしまいました。おりんの心持に合わせて泣きそうになったり、くすくす笑ったり。

    登場人物が好ましい人となりであっても、昔親しい人とひどい仲違いをしたことがあったり、いがみあっていたりと、いろんな面を見せ、人は決して見えている面だけではないことを思い出させてくれる。愚かなだけ善良なだけでなく、心のひだに様々な面を隠し持っている。
    そんなことをあらためて感じながら読み終えました。
    あっという間に・・・。

    文庫で680ページあるのにどんどこ読ませてしまうの・・なんとかしてくれませんかね。読み終わるたびにもう終わった・・・って呆然としてしまうのですが。

  • カバー裏を読んでも帯を読んでも怖そうだけど、主人公のおりんがけなげで、おりんの周りの大人たちも真面目に一生懸命生きていて、出てくる亡者たちも話をすれば人のいい(?)亡者たちで、この世界好きだわ~と思いながらぐいぐい読む。

    読み進めるにつれ、笑顔の裏の涙や憎しみ、とっつきにくい人の中にある優しさ、そういうものが捩れて捻じれて、がんじがらめになっていく人たちが見えてくる。
    怖いのは亡者ではなくて、執着を捨てきれない人間なのだなあ。
    執着を捨てきれない人間のなれの果てが亡者なんだけど、そちらはなんというか達観していていいのだわ。
    玄之介さま、亡者であっても惚れますた。

    700ページほどの分厚い文庫本ですが、面白くてほぼ1日で読んじゃいました。
    宮部みゆきの時代物は、大好き。

  • 独立して料理屋を始める両親に連れられた新しい家は幽霊だらけと、昨今のテレビならさぞかしホラーな状況ではありつつも、ここに登場する幽霊達は何やら訳ありの面々ばかり。
    幽霊の見える主人公の少女は幽霊を成仏させようと孤軍奮闘するわけですが・・・。
    幽霊が見えた時、それは己の写し鏡のようなものというのが人は生きても死んでも何かを抱えているのだなと思い、人生についてちょっと考えさせられるお話。

    話は終始軽快で、先が気になり一気に読み進んでしまう面白さがあり、そして読み終わった後に料理屋に待っているであろう明るい未来に気分が良くなる一冊。

  • 面白かった。

  • 賄い屋・七兵衛が息子同然の奉公人夫婦に料理屋を持たせたら、そこは亡者屋敷だったーー。庖丁人・太一郎の12歳の娘」おりん視点で進むが、謎が多過ぎw。亡者5人の経緯、30年前の興願寺のサイコ住職と放火、助っ人料理人夫婦の兄弟確執、おつたの横恋慕…。どうなるよと思ったらちゃんと回収されたよ、見事。あ、おさきの訳ありは放置だ。

  • 切ないストーリーでした。
     
    詳細はこちら
    http://ameblo.jp/ninjin1234/entry-12167329187.html

  • 読後の感想は面白かった!です。
    早速、つぎの宮部みゆきを読もうと探したくらい、
    面白かったです。
    まぁ、面白いという感想で果たしていいのか、と言えば、
    違うかなという気もするのですが。。。
    もっと自分の感想を分析するなら、
    「切なかった」「悲しかった」「愛おしく感じた」などなどの模様が表れては、そこに止まらず浮遊している感じなので、最後のまとめの感想が「面白かった」という一言にしたというのが本当です。

    とくに個人的には、ラスボスという立ち位置のお寺の住職が亡者として主人公おりんの前に立ちはだかるあたりから、
    鳥肌がたつくらい興奮しました。
    あまりに怖くて、あまりに悲しくて、あまりに切なくて。
    亡者となり怨念のこの世に残しながら、新たな罪を重ね、仏に問うその住職の怨霊が凄まじく飢えている様がビンビンと伝わってくるのです。
    この怨霊がもつ苦しみは実はみんなが持っているものではなかろうか、誰が「非」とうちすてることができるだろうか、と思いました。
    そして、最後のシーンはすべての蒙が払われていく様が丁寧に描かれていて、私自身もその場に立ちすくみ、ことの成り行きを見守っているような臨場溢れ、迫力ある筆致で、作者宮部みゆきの力量を感じ入ったものです。。。

    本当に胸に深く染み入る本でした!!!

  • 幽霊がみえる料理屋の娘おりんが、料理屋に居着く幽霊たちの哀しい事情を解きほぐしていく。

    幽霊達のやさしさと、人の心に巣くう闇を目の当たりにしながら、名前のとおり、涼やかで暗い闇の中に澄み渡る鈴の音の様なおりんが愛おしい。

  • 2015.11 うまい、裏切らない、面白い!

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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