なぜ、マネジメントが壁に突き当たるのか 成長するマネジャー 12の心得 (PHP文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569760384

作品紹介・あらすじ

なぜ「優秀な上司」の下で部下が育たないのか─―マネジャーが直面しがちなこうした「逆説」を12例挙げ、その原因と解決の道を説く。

感想・レビュー・書評

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  • ・複雑系とは、ひとたび起こったことが、ますます起こりやすくなる仕組みを持つシステム。自己加速性を持つ循環構造
    ・「全体観察」→「構造理解」→「要所加療」→「全体治癒」。因果ではなく循環を思考することで自然に治すことを考えるのが東洋的治癒
    ・「腹決め」と「割り切り」は違う。「割り切り」は自分の心を楽にするもの
    ・「勘が鋭いマネジャー」にとっては、「未来を予測する」という言葉と「未来を創造する」という言葉が同義語
    ・普遍的な成功法則は存在しない。成功とは常に個性的なもの。
    ・部下と自分の切磋琢磨によるお互いの成長を大事にする
    ・成功にも「悪い成功」があり、失敗にも「いい失敗」がある。
    ・マネジャーが到達した世界が、部下が仰ぎ見る最高の世界となってはならない
    ・マネジャーに求められるものは、一人のビジネスマンとして自分が「何を学ぼうとしているか」
    ・自由に伴う責任から逃れたい、というメンバーの無意識が、優秀なマネジャーになることよりも、優秀なマネジャーの部下であることを望ませてしまう
    ・無理にエゴを消し去ろうとすることではなく、静かにエゴを見つめること。苛立ちを感じたら、まずは自分に問うてみる

  • ○マネジメントの難しさ、思い込みを一掃してくれる。経験をしていればいるほどわかる内容。
    我々サラリーマンにとっては、上司と部下の良好な関係は重要な課題である。
    それを一般的に業務上において、マネジメントと呼ばれる手法で上司が部下に対する指導等をするわけだが、その手法は人によって様々で、ときに誤っているマネジメントにより職場や会社・部下・上司を混乱に巻き込むことがある。
    この本は、マネジメントのやり始めと、3ヶ月くらい経って成果や課題が見えてきた頃、1年単位で自分の業務を思い返すような時期、それぞれで読み方と捉え方が変わる内容だと感じた。

    その理由は、第九講「なぜ、ベストチームが必ずしも成功しないのか」にあるように、さまざまな人間と格闘し、その状況や人に合わせたマネジメントを行わなければならないからです。
    そういう点では答えがないマネジメントですが、その曖昧さのほとんどの部分はこの本で解説してくれているような気がします。

    経験豊富だからといってマネージャーとしては有能ではない理由、原因究明を行っても課題が解決できない理由など、目からウロコの内容も多く、主に中堅~のマネージャーには再読を重ねることをおすすめしたい一冊。

  • 何度か繰り返し読みたい本。深い。

  • ――――――――――――――――――――――――――――――
    「あのファインプレーは良くない。きちんと守るべきところを守っていたならば、あんなファインプレーにはならない」

    「あのエラーは良い。結果としてエラーになったが、彼は、基本に忠実な守備をしていた」144
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    見抜かれる「操作主義」223

    マネジャーが、部下の共感を得ようとしたときではなく、マネジャーが、部下に共感したときです。236
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    こうしたマネジャーは、部下の話に適当に相づちを打ち、部下との表面的な人間関係には気を遣うのですが、マネジャー同士の会話においては、陰で「ガス抜き」などの言葉を使うのです。241

    「部下の意見を聞く」ことは一応行っているのですが、「部下の声を聞き届ける」ということは決してできないマネジャーなのです。242
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    実は、人間関係が壊れるときというのは、どちらかが、どちらかに対して「シニカル」な姿勢を持ったときです。244
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    部下は分かっているのです。

    彼が部下と「正対」していないことを。245
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    (4)組織の総合力ではない、個人の共鳴力を発揮せよ305
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    二一世紀、マネジメントは、人間にとって最高の「アート」になっていく。312
    ――――――――――――――――――――――――――――――

  • "・「我々は、知っていることを、すべて言葉にすることはできない」(暗黙知⇒反対:言語知)
    ・「企業とは、単純な論理では理解することができない複雑な生命体である」(複雑系)
    ⇒論理の本質は単純化⇒直感力、洞察力
    ・論理思考によって考え、考え、考え抜いた時、大局観の世界が開ける(徹する・無我夢中・寝ても覚めても)
    ・東洋的治癒(西洋的治癒では問題の根本解決にならない)
    ・マネージャーには大局観
    ○「構造理解」の力量が必要
    ○「考える力」ではなく「感じる力」
    ○「論理的思考」ではなく「幾何的感覚」
    ○「美醜」の感覚
    ○「アーティスト」の感覚
    ・×「責任転嫁ゲームと犯人探し」
    ・×「割り切り」判断(不安に耐え切れず、精神的に楽になりたい誘惑)
    ⇒○「腹決め」※矛盾と対峙し続ける姿勢
    ・マネージャーはバランス力(仏教の「中道」、儒教の「中庸」)
    ・「未来がどうなるか?」より「未来をどうするか?」
    ・「腹が据わっている」⇒「リスクを取る」「自ら責任を取る」
    ・×「頭は良いけれど、部下はついてこない」
    ・○言葉に力を与えるもの「信念」
    (客観性や論理性だけではない)
    ⇒「熟練の経営者が説明を受けるとき、じっとマネジャーの目を見つめる
    ・「こだわるべき細部」(直感導かれる)と「こだわらなくても良い細部」
    ・「あの人は完璧主義者」⇒「あの人は気配りの細やかな人」
    ・熟練のマネージャーは「言葉」使い方が極めて「細やか」≠「細かい」
    ・完璧主義者のマネ-ジャーはメンバー一人ひとりに対するアドバイスも「細やか」
    ・アンチョコ本はやり。。。⇒「普遍的な成功方法は存在しない」
    ・「現実との格闘の中から掴み取りなさい」「悪戦苦闘」⇒「暗黙知」
    ・熟練のマネージャーは部下に対して
    ×「何を身につけるか」ではなく
    ○「何を行えば身につくか」
    ・経験に際して「問題意識」や「仮説」を持つべき
    ・ビジネスマンの基礎体力とは「集中力」
    ・組織は戦略に従う⇒現実は「組織は人材に従う」
    ・人間には、独りでいるときに示す正確と、複数の人間が集まる時に示す性格、ある特定の人間と共にいるときに引き出される性格がある。
    ⇒職場のメンバー同士の「相性」や、メンバーと職場の「相性」などがしばしば問題になる
    ・組織は機械を設計するような発送で取り組みと失敗する(組織は感情をもった人間の集まり)
    ・人間通⇒生身の人間と格闘
    (赤提灯の耳学問、書籍では無理)
    ・×「操作主義的人間観」・・・人間は道具でも機械でもない
    ⇒「部下に、自分の内面にある操作主義や計算が見えてはいけない、己のエゴは見られていないか?」
    ・「マネージャーが部下に共感」が大事(甘やかすことではない)⇒「聞き届け」(深い共感の心を持って部下の話を聞く)
    ・部下に正対(賛同やガス抜きではない、心を込めて真剣にぶつかること)
    ・「一途」、「一徹」・・・いかなる計算、駆け引きもない
    ・①成長の方法を与える②成長の目標を持たせる③成長の場を創る
    ・マネージャーが部下に無邪気に語る「夢」というものが、若木に注ぐ太陽の光のように、その成長を促す
    ・マネージャーは一人のビジネスマンとして何を学ぼうとしているのか?
    ・上司が優秀過ぎると部下は自立しない、依存心が生まれる。
    ・マネージャーが部下の成長を本心では望んでいない
    ・マネジャーはエゴ、劣等感、恐怖感を直面する・・・静かに見つめる
    ・①個別の分析をするな 全体を洞察せよ
    ・②設計・管理をするな 自己組織化を促せ
    ・③情報共有ではない 情報共鳴を生み出せ
    ・④組織の総合力ではない 個人の共鳴力を発揮せよ
    ・⑤部分治療ではない 全体治癒を実現せよ
    ・⑥法則は不変ではない 法則を変えよ
    ・⑦未来を予測するな 未来を創造せよ
    ・マネジメントはアート

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著者プロフィール

シンクタンク・ソフィアバンク代表

「2023年 『能力を磨く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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