新しい資本主義 希望の大国・日本の可能性 (PHP新書)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569708324

作品紹介・あらすじ

アメリカ発の金融危機は、市場万能・株主至上の金融資本主義の欠陥を露呈した。二〇〇三年時点ですでにこの事態を予見していた著者は、格差も恐慌も打ち破る究極の解決策を提言する。「ストックオプションは禁止せよ」「五年以上の株主だけの市場をつくれ」「投資減税で新技術開発を促せ」。マネーゲームに明け暮れるファンドの横暴を止め、終焉が近いパソコンに代わる新しい基幹産業の創成をめざす。バブル頼みの「幻の好景気」から、みんなが恩恵を受ける「本物の好景気」へ。日本こそこの新しい資本主義の担い手となれ。

感想・レビュー・書評

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  • 経済・技術・社会、の3つを組み合わせて持続的に社会問題の解決をしていくスキームを提案しています。この3つを意識してビジネスを考えるときに、頭のバランスを保つ一定のガイドになる本だと感じました。

    経済の項では、株主価値最大化の問題点として、新しいアセット(たとえば新技術)は、短期的には株価に反映されないので育成が難しいことを挙げています。

    技術のところは、例として新しいデータベース技術や画像圧縮の技術に触れています。すでに4年経っていて技術の位置づけが変化しているので、ここは考え方だけ受け取って、ささっと読み飛ばせばよいです。

    社会のところは、途上国の飢餓と貧困を、地球規模の課題であるとして、それを解決するように経済の仕組みを変えて、新技術を積極的に適用していくことを提案しています。

    上記3項のすべてを理解して実行するバックグラウンドを備える日本はこれからチャンスがあるという締め方になっています。

  • アメリカ発の金融危機は、市場万能・株主至上の金融資本主義の欠陥を露呈した。二〇〇三年時点ですでにこの事態を予見していた著者は、格差も恐慌も打ち破る究極の解決策を提言する。「ストックオプションは禁止せよ」「五年以上の株主だけの市場をつくれ」「投資減税で新技術開発を促せ」。マネーゲームに明け暮れるファンドの横暴を止め、終焉が近いパソコンに代わる新しい基幹産業の創成をめざす。バブル頼みの「幻の好景気」から、みんなが恩恵を受ける「本物の好景気」へ。日本こそこの新しい資本主義の担い手となれ。
    第1章 金融資本主義の何が間違っていたのか―幸せは「数式」では表せない(金融資本主義の崩壊は必然だった;ファンドを規制する具体的な方法;あの「幻のような好景気」の理由)
    第2章 「大減税」で繁栄する日本―次なる基幹産業の覇者となる方策(「金の卵を産むガチョウ」を生み出せ;「コア技術」を開発できる理由;「投資減税」で夢ある日本を)
    第3章 コンピュータはもはや足枷―新ビジネスを生み出す画期的コア技術は何か(「解けない技術」を解く技術;コミュニケーションの大進化;「実業立国」日本が世界を制する)
    第4章 途上国援助の画期的実践―日本人によるおもしろくて、採算も取れる活動を(最新テクノロジーで「貧困」に挑む;国連旗の下での民間による支援;マイクロクレジットを日本人の手で)
    第5章 公益資本主義の経営へ―市場万能・株主至上の弊害を斬る(世の中への貢献こそが価値;すべての会社は「中小企業」になる)

  • 金融資本主義の問題を鋭く分析し、日本企業が再び繁栄するための各種の助言を行っている;公益資本主義の経営 など

  • 『21世紀の国富論』(平凡社、2007年)は挫折していたので、やや腰が引けたのだが驚くほど読みやすく、動画の語り口そのものだった。原丈人〈はら・じょうじ〉は威勢がいい。気持ちのよい躍動感がある。更に実務的で観念を弄(もてあそ)ぶところがない。そして見逃すことができないのは相槌の深さである。「この人は武士だな」と私は直観した。
    https://sessendo.blogspot.com/2020/07/blog-post_40.html

  • <目次>
    第一章 金融資本主義の何が間違っていたのかー幸せは「数式」では表せない
     ? 金融資本主義の崩壊は必然だった
     ? ファンドを規制する具体的な方法
     ? あの「幻のような好景気」の理由
    第二章 「大減税」で繁栄する日本ー次なる基幹産業の覇者となる方策
     ? 「金の卵を産むガチョウ」を生み出せ
     ? 「コア技術」を開発できる理由
     ? 「投資減税」で夢ある日本を
    第三章 コンピュータはもはや足枷ー新ビジネスを生み出す画期的コア技術は何か
     ? 「解けない技術」を解く技術
     ? コミュニケーションの大進化
     ? 「実業立国」日本が世界を制する
    第四章 途上国援助の画期的実践ー日本人によるおもしろくて、採算も取れる活動を
     ? 最新テクノロジーで「貧困」に挑む
     ? 国連旗の下での民間による支援
     ? マイクロクレジットを日本人の手で
    第五章 公益資本主義の経営へー市場万能・株主至上の弊害を斬る
     ? 世の中への貢献こそが価値
     ? すべての会社は「中小企業」になる
    あとがき

    アライアンス・フォーラム財団 代表理事の原丈人氏の著書。
    2012.11.04 図書館で借りる。
    2012.11.05 読書開始/読了。

  • とあるセミナーで著者の原氏の講演を聞いて、面白かったのでその場でkindleを検索して購入、読み上げさせて聞きました。
    kindleと読み上げで、本当に本との接点が変わったなぁ!!

    短期的利益を追及する株主の求めに応じて、利益を社内の長期的な投資に回さず、株主に還元してしまうことによる弊害と、その打開策など、考えさせらる本でした。
    なかなかお勧め!

    もともと考古学者だったのに、その研究資金をためるためにITベンチャーを立ち上げた自由な発想の著者のファンになってしまいましたw

  • ポスト資本主義としての公益資本主義についての話。金融資本主義がいかにあやうい制度であるか、そして今後の社会制度というのはどのようなものであるべきかという考察と提案。実際に事業を行っている人間の話なので単なる絵空事ではない。
    経済学の本ではなく、日本の将来のビジョンを示すという意味でビジョナリー的な本である。
    おそらく似た様なコンセプトの本の中では新しさそして実現した時の日本の存在価値の絶対量では群を抜いた考え方ではないだろうかと思う。
    具体的な内容については本を直接読んでいただく方がよいだろう。

    「会社はだれのためのものか」という疑問に一つの答えを与えてくれる本である。

  • 8年ほど前に書かれた本だが、内容はそれほど古くなく、今読んでも正しいと思えることが多い。金融工学はダメ、現在のコンピュータアーキテクチャはダメ、まさしくその通り。RDBは(今でいうところのIoTに)そぐわないので、半構造データを柔軟に扱う技術が必要と、嬉しいことも書いてくれている。ただ、この本で触れられているIFX(インデクス・ファブリック)技術よりは、うちでやっている技術の方が原理的に(おそらく実装としても)優れているんだけど、世の中に出ることなく消えていくんだろうな…。

  • 産業を潰したIRRとROE。
    アクティビストが内部留保を狙う。アクティビストの弊害。
    中長期の資本市場が必要。

    コア技術の必要性。
    アメリカはコア技術の革新が困難。
    ベンチャーキャピタルの気風が崩れた。時価会計、減損会計で長期投資ができない。9.11以降、移民のシャットアウトで優秀な頭脳が集まらない。

    投資減税。

    IFXという理論(データベース)。
    強いものの論理に合わせて相手を無理やり改宗させようとする、のが欧米の論理。
    バングラデッシュのデフタbracNETモデル。
    スピルリナプロジェクト(タンパク質)

    公益資本主義=会社は社会に貢献するもの。その尺度で評価する。
    市場万能主義でいいか。
    ストックオプションは毒。悠長な研究開発はやっていられない。

    実は短期的なことより長期的に考えたほうが株主のためになる。これを指標化する。公平性、持続性、改良改善性。

    エネルギーと食料は市場に任せないこと。

  • シラフで電車乗り過ごした恐るべき本です
    ((((;゚Д゚)))))))

    冗談はさておき来週著者の講演会に参加してきます。
    参加前に読めてよかったです。
    とても共感できる本でした。
    一節を挙げるとすれば
    「会社の持つ技術を使って世の中に貢献し、その結果として利益も上がる。
    利益が上がるから、また貢献できる。」
    まさにここに日本型の資本主義の真髄があると思います。
    大きなことをするために内部留保を上げてるのに先人の積み上げを今の株主で食い潰そうとするハゲタカファンドは個人的に受け入れられません。

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著者プロフィール

アライアンス・フォーラム財団代表。27歳まで考古学研究を行い、光ファイバー事業会社を創業。90年代、シリコンバレーを代表するベンチャーキャピタリストに。米英Israelで情報通信、ライフサイエンス分野のベンチャー企業を世界的企業へと成長させた。デフタパートナーズ グループ会長、WAF@SFO再生医療会議議長、内閣府本府参与、大阪大学医学部招聘教授。

「2016年 『BIOCITY ビオシティ 65号 健康寿命を中心にすえたまちづくり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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