おもしろくて、ありがたい (PHP文庫)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569664231

作品紹介・あらすじ

人は、死ぬところに向かって生きている――人間を“有限の生命体”と捉え、絶えず、生きることの“はかなさ”と“おもしろさ”を作品に刻み続けた池波正太郎。従来の時代小説ファンのみならず、じつに広範な読者の心を魅了した池波作品は、現代においても多くの人に支持され続けている。▼本書は、池波正太郎の残した膨大な小説・エッセイ群の中から、「人生と処世」「男と女」「歴史のドラマに学ぶ」など、テーマ別に言葉を選りすぐって編んだ箴言集。▼「人は、おのれの変わり様に気づかぬものよ。なれど、余人の変化は見のがさぬ」(『真田太平記 十』)「ともあれ、人間というものは、辻褄の合わねえ生きものでございますから」(『剣客商売/浮沈』)「人のこころの奥底には、おのれでさえわからぬ魔物が棲んでいるものだ」(『鬼平犯科帳 十』)など、人間の心の奥底を知った男だから言える、味わい深いことば。そこに人間の本質を見出すことができる。

感想・レビュー・書評

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  • 人は、死ぬところに向かって生きている――人間を“有限の生命体"と捉え、絶えず、生きることの“はかなさ"と“おもしろさ"を作品に刻み続けた池波正太郎。従来の時代小説ファンのみならず、じつに広範な読者の心を魅了した池波作品は、現代においても多くの人に支持され続けている。本書は、池波正太郎の残した膨大な小説・エッセイ群の中から、「人生と処世」「男と女」「歴史のドラマに学ぶ」など、テーマ別に言葉を選りすぐって編んだ箴言集。

    鬼平、梅安、剣客商売のシリーズと、エッセイ以外はほとんど読んだことがない。小説の中でも、著者が読者に伝えたかったことはまったく同じであった。

  • おもしろくて、ありがたい / 池波 正太郎  / 2013.10.10(32/163)
    ・人間は、生まれ出た瞬間から死へ向かって歩み始める。それだけははっきりとわかって理う。その他のことは何一つわからない。
    ・自分のまわりすべてのものが、自分を磨くための「みがき砂」。役に立たないものはない。
    人間は死ぬんだということを忘れると、その人の一生はいたずらに空転することになる。
    ・自分を賭けるだけの生涯のロマンを見つける。
    ・おしゃれ=自分の気分を引き締めるためにやるもの。
    ・人間の欲望は際限ないので、あれこれ欲張ったところで、どうにもならない。欲望を満たすためには、金もそうだが、それ相応の時間が必要。人生の持ち時間こそ、人間がもっとも大切に扱わなくてはならない財産。
    ・余裕を持って生きるということは、時間の余裕を絶えず作っておく。分かっている予定はすべて書き入れて余分な時間を生みだす。そうすることが、人生の余裕を作ることになる。
    ・生きがいを感じながら仕事をしないと、挫折したときに立ち上がれない。
    ・努力だけではだめ。実らなかったら苦痛になる。一種のスポーツみたいに仕事を楽しむ、そうすることによって、次の段階が見つかり、次に進むべき道が見えてくる。
    ・気分転換がうまくできないと、仕事が小さくなる。体も壊す。細かい神経も必要だが、どうじにずぶとい別の神経も必要。
    ・まことの人は、くだくだしくものを考え、迷う前に、まず動き出す。
    ・我欲が強い人(=自分さえよければそれでいい)が不幸せ。結果が出るのに時間がかかるのも悪い 。出た時には遅い、手の尽くしようがなくなる。
    ・死ぬことは怖い。死は未経験だから。だけど、死んで心残りがなければいい。
    ・官僚社会=自分の生命をかけて何かするということではなく、いかに自分の生命を長引かせるかということのために何かする。それが官僚の本性。
    ・行く手の望みだけが目に映って、そこまでゆく過程を全然考えないでいると結局のところどうにもならない。毎日の積み重ね、そのときどきの生きがいが積み重なって、実力が知らずに蓄えられて、それが機会を得た時に開花する、人生そういうもの。
    ・人間は必ず死ぬのだから、意に沿わない仕事はしないものだ。
    ・人間の一生、特に男の場合、幼児体験によってほとんど決まる。
    ・甘い期待をしないで、常に最悪の場合を想定しながらやる。
    ・いつ死んでも後のものがこまらないようにしておく。
    ・土壇場になると其の人の思いがけない性格が出てくる。土壇場でないと、人間の真価は分からない。
    ・男の顔をいい顔に変えていくということが男をみがくこと。
    ・生き物の営みは矛盾を含んでいる。生きるために食べ、眠り、確実に死を迎える日へ近づいていく。おもしろくて、はかない。それでいて、一杯の味噌汁を味わっただけで、生きがいを覚えるように出来ている。なんとありがたいことか。

  • 男というもの

    男たるものの全てがこの一冊に入ってる気がした。

    年齢を重ねてきて…
    やはり「男」として成長したくなる一冊

  • 記念すべき令和第一冊目。「真田太平記」を再読したくなりました。

  • シンプルな考え方、わかりやすい表現で、ストンと腹に入る名言集です。
    読んだ後、自分のモノ(言葉)にした人がたくさんいたんではないでしょうか?!
    ボクもシレーっと、実践していこうっと。

  • 池波正太郎という非常に魅力的な男性をもっと深く知りたくて。解説も良かった。

  • 作家池波正太郎の残した数多くの小説、エッセイの中からテーマ別に人間、男、生き方、リーダー、死、男と女、家族、食など選りすぐった箴言集である。

  • テーマごとの選り抜き。
    言っていることに一貫性があり、読み終わった時に爽やかな気分になる。

    死ぬことを考えるべき。

  • 池波正太郎の 言葉を 抜粋したもの。
    池波正太郎に 魅かれたのは なぜだろう。
    と考えていたが この本を読みながら
    その物語の情景が 浮かび上がってきた。
    言葉が 現実に 足をおろしているのがいいのだと思う。
    「人は死に向かって生きている」という 
    当たり前の人間のさだめを うけたまること。 

    「死に向かって 生きている」
    ということを しっかり見据えて 自分の生き様を
    判断し、オトコを 磨くことの大切さを 
    物語 を通じて 表現する。
    バカな 死に方をしない。ということの意味。

    「自分の所業の矛盾は、理屈では解決できぬものだ」

    人間社会の矛盾の中に生きて、
    自分のすることも矛盾だらけであるときに、
    それを 理屈で 説明 しよう たって、無理な話だ。
    しかし、それを受けとめる 覚悟が なければ、
    生きている 意味がないのだ。

    人生の 余白 があるならば
    そのなかに 書き込んでいきたい言葉が あるはずだ。
    池波正太郎というオトコは 余白に 言葉を たたき込んでいた。
    あぁ。たぐいまれなる 才能。

    オトコの 美学。美意識。
    そして、やはり いい顔になりたいな。

  • 2014/4/1読了
    池波正太郎の箴言が詰まっている本。
    ここからさらに読みたい本が増えた。

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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