日本人とは何か 上: 神話の世界から近代まで、その行動原理を探る (PHP文庫 ヤ 2-5)

著者 :
  • PHP研究所
3.75
  • (2)
  • (5)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 72
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569564609

作品紹介・あらすじ

日本は有史以来、さまざまな国の文化や制度の影響を受けてきたが、その導入にあたっては単なる模倣に終始せず、一つ一つ日本に合った独自の形に同化・発展させてきた。上巻では、古代から中世の歴史の中にその検証を試みる。即ち、かな文字や律令制、鎌倉仏教、武家政治、一揆などの諸相に日本の独自性を丹念に探り、同時に日本人のアイデンティティをも浮き彫りにしていく。"山本日本学"の集大成といえる渾身の力作、待望の文庫化である。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • YS3a



  • mmsn01-

    【要約】


    【ノート】

  • 日本人の精神が形成されるプロセスを、伊達千広の『大勢三転考』の歴史観に従って記述した本。下巻の「解説」を執筆している谷沢栄一によれば、「この本は、山本七平の、最高傑作である」とのこと。

    幕末の紀州藩士・伊達千広が執筆した『大勢三転考』では、江戸時代までの日本の歴史が、「骨(かばね)の代」「職(つかさ)の代」「名の代」の3つに区分されています。これはそれぞれ、「氏族制の時代」「律令制の時代」「幕府制の時代」という意味になります。このような、政治形態の変化に基づいて客観的に歴史を区分し、儒教的な名分論や勧善懲悪といった価値観に基づく判断を加えない歴史観を持ちえたところに、日本の精神の独自性が示されていると著者は考えます。そして、日本の歴史を中国の基準や西欧のによって裁断するのではなく、日本の政治形態に基づく内在的な基準によって把握することが、本書の目標とされています。

    なお下巻の最後の章では、「なぜ日本は明治維新に成功したのか」という問いが立てられています。日本がアジアでいち早く近代化に成功したのはなぜか、という問いがしばしば建てられますが、明治以前に飛躍的な近代化を可能にする条件が醸成されていたことに、あまり目が向けられないと著者は述べています。江戸時代までの日本の歴史の中に、近代化を準備した要素を探ることも、本書の主要テーマの一つになっています。

  • 20070828
    山本七平

    良書。日本人らしさを歴史上のトピックで説明した日本人論。

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

1921年、東京都に生まれる。1942年、青山学院高等商業学部を卒業。野砲少尉としてマニラで戦い、捕虜となる。戦後、山本書店を創設し、聖書学関係の出版に携わる。1970年、イザヤ・ベンダサン名で出版した『日本人とユダヤ人』が300万部のベストセラーに。
著書には『「空気」の研究』(文藝春秋)、『帝王学』(日本経済新聞社)、『論語の読み方』(祥伝社)、『なぜ日本は変われないのか』『日本人には何が欠けているのか』『日本はなぜ外交で負けるのか』『戦争責任と靖国問題』(以上、さくら舎)などがある。

「2020年 『日本型組織 存続の条件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山本七平の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×