知価革命: 工業社会が終わる知価社会が始まる (PHP文庫 サ 7-4)
- PHP研究所 (1990年6月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569562629
感想・レビュー・書評
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1985年当時、ベストセラーになった本です。
「知価社会」「やさしい情知」という概念がとてもおもしろかったです。
「知価」とは知恵と価値を合わせた造語で、知恵に値段が付き、それが消費されていく社会を「知価社会」と言っています。
例えば、工業化社会での鉄の価値は、需要と供給のバランスによりその値段は上がったり下がったりするけど、決して価値が「0(ゼロ)」にはなりません。
一方、知恵や知識自体に価値がある場合は、それが消費され陳腐化すると価値が「0(ゼロ)」になります。
例えばネクタイなど、流行のデザインが販売当時に1万円の価値があったとして、流行が去った後、それが2千円まで価値が下がったとします。
だからといって、「もともとの価値が1万円だから、いずれ価値は上がっていく」とは考えられません。
このように社会の主観性が物の価値を左右する世の中にシフトしていくのではないか?と予測しているのが「知価社会」であると言っています。
そして、「やさしい情知」とは、
「どんな時代でも人間は、豊かなものをたくさん使うことは格好よく、不足しているものを大切にすることは美しい、と感じる。」
この情知が社会全体の根底にあり、人類の歴史は外部環境の影響にリンクするようにこの「やさしい情知」に則した形で国の文化や社会が変化していきます。
では、知価革命の行き着く先は?
僕の主観としては「大好きな事をすればするほど、その人が他人とシェアしたものに価値が生まれる」社会になっていくのかな、と思っています。
初版から28年を経た現在(2013年)僕たちの環境はインターネットの発展で大きく様変わりしたのかな、と思います。
特に「情報」の量が莫大になり、「豊かな物をたくさん使う」世の中になってきています。
新製品や新しいものや価値のある情報が絶えず消費される世の中で、次々と作られては消えていく知識や知恵は、あっという間に価値が「0(ゼロ)」まで下がっていきます。
そんな社会では、「消費されない」「価値が下がって行かない」知価をどのように作れるかが鍵になるんじゃないかと思います。
では、普通の人がどうすればそんな「価値ある物」が作れるのか?
それには「自分が大好きなことをする」がポイントになるんじゃないかと思います
知価を創造する職種にかかわる人たちは、自分の知識や専門性に縛られ、仕事に縛られつづける人生になっていくのかなと思います。
では、その「知価創造」を自分の大好きなことで発揮することが出来たら?
それこそが、次世代のベーシックな生き方になるのかな?と思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
30年近く前に書かれた内容ですが、今でも読む価値はあります。
これからの社会を予測するのに役立ちます。