知価革命: 工業社会が終わる知価社会が始まる (PHP文庫 サ 7-4)

著者 :
  • PHP研究所
4.19
  • (6)
  • (7)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 90
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569562629

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 1985年当時、ベストセラーになった本です。

    「知価社会」「やさしい情知」という概念がとてもおもしろかったです。

    「知価」とは知恵と価値を合わせた造語で、知恵に値段が付き、それが消費されていく社会を「知価社会」と言っています。

    例えば、工業化社会での鉄の価値は、需要と供給のバランスによりその値段は上がったり下がったりするけど、決して価値が「0(ゼロ)」にはなりません。

    一方、知恵や知識自体に価値がある場合は、それが消費され陳腐化すると価値が「0(ゼロ)」になります。

    例えばネクタイなど、流行のデザインが販売当時に1万円の価値があったとして、流行が去った後、それが2千円まで価値が下がったとします。

    だからといって、「もともとの価値が1万円だから、いずれ価値は上がっていく」とは考えられません。

    このように社会の主観性が物の価値を左右する世の中にシフトしていくのではないか?と予測しているのが「知価社会」であると言っています。

    そして、「やさしい情知」とは、
    「どんな時代でも人間は、豊かなものをたくさん使うことは格好よく、不足しているものを大切にすることは美しい、と感じる。」

    この情知が社会全体の根底にあり、人類の歴史は外部環境の影響にリンクするようにこの「やさしい情知」に則した形で国の文化や社会が変化していきます。

    では、知価革命の行き着く先は?

    僕の主観としては「大好きな事をすればするほど、その人が他人とシェアしたものに価値が生まれる」社会になっていくのかな、と思っています。

    初版から28年を経た現在(2013年)僕たちの環境はインターネットの発展で大きく様変わりしたのかな、と思います。

    特に「情報」の量が莫大になり、「豊かな物をたくさん使う」世の中になってきています。

    新製品や新しいものや価値のある情報が絶えず消費される世の中で、次々と作られては消えていく知識や知恵は、あっという間に価値が「0(ゼロ)」まで下がっていきます。

    そんな社会では、「消費されない」「価値が下がって行かない」知価をどのように作れるかが鍵になるんじゃないかと思います。

    では、普通の人がどうすればそんな「価値ある物」が作れるのか?

    それには「自分が大好きなことをする」がポイントになるんじゃないかと思います

    知価を創造する職種にかかわる人たちは、自分の知識や専門性に縛られ、仕事に縛られつづける人生になっていくのかなと思います。

    では、その「知価創造」を自分の大好きなことで発揮することが出来たら?

    それこそが、次世代のベーシックな生き方になるのかな?と思いました。

  • 30年近く前に書かれた内容ですが、今でも読む価値はあります。
    これからの社会を予測するのに役立ちます。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

堺屋太一

一九三五年、大阪府生まれ。東京大学経済学部卒業。通商産業省(現経済産業省)に入省し、日本万国博覧会を企画、開催したほか、沖縄海洋博覧会や「サンシャイン計画」を推進した。在職中の七五年、『油断!』で作家デビュー。七八年に退官し、執筆、講演、イベントプロデュースを行う。予測小説の分野を拓き、経済、文明評論、歴史小説など多くの作品を発表。「団塊の世代」という言葉を生んだ同名作をはじめ、『峠の群像』『知価革命』など多くの作品がベストセラーとなった。一九九八年から二〇〇〇年まで小渕恵三、森喜朗内閣で経済企画庁長官、二〇一三年から安倍晋三内閣の内閣官房参与を務めた。一九年、没。

「2022年 『組織の盛衰 決定版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

堺屋太一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×