59番目のプロポーズ キャリアとオタクの恋

  • 美術出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784568221220

感想・レビュー・書評

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  • 派手な日常とはうらはらに、何か満たされない30歳の女性と、異性からあえて目をそらし、趣味の世界に没入するオタク男性という現代社会を象徴するキャラクターどうしの、一見ちぐはぐなカップルの物語。

    私は基本的に恋愛本は読まないんですが、この人の本だけは別です。少し内容説明すると著者は国立大学を卒業後、大手広告代理店に就職。現在は独立してフリーの広告エージェントとして活躍しているそうです。で、今まで58人の男に言い寄られて59番目に出会った男がオタクの格闘家だったという話です。

    彼女の文章もさることながら59番氏のグレイシー柔術の道場に通っている頻度がこれまたすごい!
    いわく
    「大学時代は週7.就職してからは週3~5かな」
    とのこと。それで10年!モテなくてモテなくてそれでひたすらグレイシー柔術をやり続けたと。そして、僕にとってのハイライトがこの場面で、うろ覚えで申し訳ないけれど、著者が59番氏に語りかける場面で自分は過去に男関係でさまざまな裏切りにあって、最後に付き合った会社の後輩が別れるときに
    「あなたが私から離れていったら壊れるかもしれない」といったら一言
    「それは脅しですか?」と。

    だからあなたまで離れていったら今度こそ私は壊れる。だから簡単に返事を出せないのだと。彼はこう答える。
    「でも、僕がそんなあなたを受け止めなければだれがあなたを受け止めるんですか? 誰があなたを守るんですか?」と。
    並の男に言えるセリフじゃないと思う。きっと、彼にとってグレイシー柔術をやり続けた10年間はこの一言を言うためにあったのではなかろうか。と僕は勝手にそう思っている。

    今、これを打っている間も、涙があふれてとまりません。

  • 59番目のプロポーズ オタクとキャリアの恋
    アルテイシア



    ケータイサイトのコラムがきっかけで知った「アルテイシア」氏。

    赤裸々かつ軽快な発言が好きで、毎週欠かさず読んでいます。

    この本は、そんな彼女の、現在の夫であるオタク格闘家「59番」との出会いから結婚までを綴った、自叙伝的処女作。

    mixiの日記をおこして書籍化したもので、

    通ずるとすれば「電車男」か。

    普段読んでいるコラムでは悩み相談を受ける側の彼女が、

    自身の悩みを吐露し、戸惑いながらもきちんと59番と向き合っていく姿が新鮮だった。

    ひたむきな59番にも胸が打たれる。

    文章中あまりにオタク要素が満載で、事細かに注釈がついている。

    私は面倒だったのでそのあたり雰囲気だけですっ飛ばしちゃったけども。

    とにかく59番の発言は、もう名言としかいいようがない。

    「アウンサンスーチー」には本気でウケた。

    あー腹筋痛い。



    (本文より抜粋)

    喧嘩の後の熱いセックスや、ドラマチックな言葉に、意味なんてない。

    日常こそが、人生なんだ。

    それこそが、信頼に足るものなんだ。



    大切なことだから、いつまでも忘れないように。

    私にも、こんな出会いが訪れますように。

  • 『電車男』に代表される『醜いアヒルの子』のような優性思想でなく、『シュレック』のようなありのままの自分を互いに受け入れる話がとてもよい。深い人間観察・人生観察に溢れている。

  • アルテイシアさん29歳。彼との出会いを会話形式で面白おかしく描いたエッセイ。
    正直、当時mixiで読んでいたらもっと面白かったかもなあと思った。
    オタクとフェミニズム色の強いアルテイシアさんの文章は大好きだけれども、この頃は若いせいか、文章に少しまだ鼻につく部分はあるかなあ。でも、ご主人との出会いは本当に奇跡ですね。赤裸々で面白く読んだ。

  • 大いに楽しく読ませてもらった。ガンダム愛あふれる恋愛本。
    キャリア女子が同じくらいの学歴や職歴、年収の男性を求めてても、彼らは男尊女卑だったり、笑いを女子に求めていなかったりと、一緒にいて居心地がよくない。彼らは結婚相手として好条件なので、自分を変える必要があるとも思っていない。(ことが多い。もちろん、人による)。という、なんとなくわかっていたことが文章化されていてスッキリした。
    「つりあい」というのは、結局、他人からどう思われるとかではなくて、一緒にいてお互いが心地いいかどうかなのかと思った。

  • マニアック過ぎて、注釈は殆ど読まなかった。
    自分の人生にしっかり向き合ったからこそ、周りに流されない自分の幸せを掴めるのだと思う。

  • 当時アルテイシアさん29才かぁ。

    疾風怒濤の文章力と怒濤の展開で
    一気読み。感動です。

    FBではじめて読んだアルテイシアさんのコラムは、本書では「うちの実家は問題があって」くらいにぼかされているけれど

    長年連絡が取れず孤独死された父親の遺体確認をしにいくときのお呼ばれコーディネートがわからないとか

    あい変わらずの巧妙なコピーライティングが心地よく、笑えない状況を現夫の59番さんが支えているのがホロッとして本書に手を出しました。

    よかったです。
    おめでとうおめでとう。
    読ませてくださってありがとうございます。

  • 読了。いい話だった。ドラマにならないかなと思う。なってたようだ。

  • 少し前に読んだ本で紹介されてて面白そうだなと思って読んだ。当時私もmixiやってたけど全然知らず〜!
    アルテイシアの洞察力がすごいな〜職場の嫌な上司の分析は本当、当たりすぎてる。

  • 花田菜々子さんの「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」https://booklog.jp/item/1/4309026729でアルテイシアさんのことを知り、興味をもって読んでみた。
    控えめに言って最高でした。アルテイシアさんも59番さんも血が通った人間って感じがして親しみやすいし、アルテイシアさんのお友だちもとてもいい人。
    ところでサブタイトル?に「キャリアとオタクの恋」ってあるけど「人と人との恋」のほうがしっくりくるんじゃね?

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著者プロフィール

フェミニズムを明快に軽快に語り下ろす作家。
主な著書に、『フェミニズムに出会って長生きしたくなった。』『モヤる言葉、ヤバイ人』『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由』『40歳を過ぎたら生きるのがラクになった 』『オクテ女子のための恋愛基礎講座』『59番目のプロポーズ』ほか多数。

「2023年 『生きづらくて死にそうだったから、いろいろやってみました。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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